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サポートキャラに悪役令嬢の魅了は効かない  作者: 宇和マチカ
番外編

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番外編そのろくの4 涙なんて浴びたくなかった

お読みいただき有難う御座います。ご評価ブックマーク有難うございます。

友情物語っていいですよね…。上手く書ければ更に良いんですが…。


今回シリアスパートですね。

どれだけ経っただろうか。

待てど暮らせどばあちゃんは何も答えない。

真っ青な顔でじっとルディを見ているだけだ。

そんなばあちゃんをルディは全く見た事がねえ痛ましい顔で見ていた。

横に座った俺も何も言えねえ。

空気が重てえ。

……マジなのか、これ。

マジな話か。ボケじゃねーのか。

…こういう時こそボケで有ってくれよ…。


「おばばさま…参ったな、答えることは出来ない隷属なのか…?」


口開いたと思ったら何かまたろくでもねー感じの台詞だな…。

くそっ、どうなってんだボケ!!


「……ルディ、どーいう事だ。隷属の徴って何のことだよ」

「うーん、簡単に言えば思うままに操ってしまう酷い契約って事だが」


……酷過ぎんだろ!!

本当にヒデエな!!


「おいマジかよ!?マジなのかよ!!誰だそんなん契約した奴!!

何でそんな物騒なもんが世の中に有んだよ!?」

「世の中は酷いもので溢れているんだ…」

「て言うか何でそんな契約結んでんだよウチの…親戚の誰かか!?」

「僕には分からん」


ばあちゃんは何にも言わねえし…ああ答えらんねえんだっけかくそっ!!


「しかも見た所命が懸けられた徴なのか…困ったな」


ハアアアアア!?命ィ!?

命が懸かってるだと!!


「ちょ…え…!?はあ!?ルディ……それどういうことだよ!?」


眉を寄せたルディはばあちゃんの手を握りながら、俺の問いに答えた。


「しかもこの感じは…下手な事を言うと首が物理的に飛びそうだ」

「……ハアアアア!?」


おい!!コイツ、何て言ったよ!?

物理的に、首が…飛ぶ?

首が飛ぶ!?

首ィ!?


「……」


こんな物騒な話なのに、ばあちゃんは何も言わない。

当たっているとも間違っているとも。

……ただ、真っ青な顔をしているだけだ。

勘弁してくれ。

……そーだよって言ってるようなもんじゃねーか。


「……誰がこんな徴を捺したんだ……?と言うか何故受け入れた…?」

「……おい、それ、本当なのかよ?」

「僕はこういうのには全く詳しくは無いが、死に直結する事は抜群に鼻が利く」

「……ぅ…おお」


……やべえ、叫びそうになったわ。

……まあ、オバケ使いだもんな。

それどころじゃねえ…それどころじゃねーんだ、耐えろ俺。

ばあちゃんの一大事なんだ…オバケにビビってる場合じゃねえ。


「…て言うか、それ俺にも在んの?」


最近切るのサボってた後ろ髪を避けて、首の後ろを触ってみるが…普通に皮膚の感触しかしねえ。

……ボコボコとかしてんのかと思ったけど、そしたら体拭く時に気付くもんな…。

三面鏡とかねーからな、このド田舎草原。

着飾るとか女でもねーし、しねえ。

仮に着飾っても見んの基本ジジババかガキしか居ねーし。

可愛い子が居るんなら洒落てやってもいいが…親戚のボケしかいねーしな。

って違う違う。それどころじゃねえ。


俺の問いにルディは眉を寄せたまま、頷きやがった。

…マジかよ。


「…言いにくいが、存在してるぞ」

「……その『下手な事』って言ったら、俺も首が飛ぶのかよ?」

「……多分、『知らない事は言えない』だろうから飛ばないと思う……」


何だ、『知らない事』って。

ああでもそれ知ったら俺も物理的に首飛ぶって事か!?

……ばあちゃんは知ってるから何も言えねえのかよ!!


「この徴のせいで、体調が悪化しているんだな……」

「……」

「何で何も答えねんだえよ、ばあちゃん」


俺の問いにもばあちゃんは滅茶苦茶静かだ……。

ばあちゃんの鳥も眠っちまったから、俺らが喋る声しかしねえ。

……マジかよ。

どんどん不安にしかなんねーんだけど。


「何かよく分かんねーけど、それ普通の医者じゃダメってことじゃねーの!?」

「そうだな…」

「……」


ばあちゃんは何にも言わねえ。

目にも力が無い。


「どうしたらいいんだろう…」


ルディは目を伏せてばあちゃんの手を撫でて、ばあちゃんはその手を撫で返してた。

……どっからどう見ても普通のばあちゃんと孫みたいな感じだ…。

いや、実の孫は俺だけどな…。

何つーか、そう見えたんだよ…。


「……仮定だが、僕が帰れば何か分かるだろうか」

「……ああ?」

「し…家に、徴についての本が…ああでも図書室は無事か?

まさか今アレキは燃やしてないだろうな…。

この非常時に燃やしてたら今度こそ引導を…」


ルディが苛立ったようにキラキラした金髪をガリガリ掻き乱していた。

コイツが荒れんの珍しいな…。

……いや、待てよ。

この流れって…まさか。


「……お前、調べてくれんの!?」

「当たり前だ。

どう見ても隷属の徴でおばばさまが苦しんでいるんだから、契約解除は必須だろ」

「ばあちゃんを助けてくれんのか!?」

「当たり前だ!!此処ではおばばさまは僕の家族なんだからな!」

「ルディ!!」


コイツ、常識はねーしオバケは使うし底なしに訳分かんねーけど…。

やっぱり……悪い奴じゃない!!

ちょっと変…相当変だけど、悪い奴じゃねえ!!

俺の家族をこんなに思ってくれてる奴なんだからな…。

いけねえ、ちょっと鼻水が出て来たぜ…。


「坊ちゃん、いけません」

「ばあちゃん!?」


……ハァ!?

何で喋ったと思ったら止めてんだよ!!

折角ルディが助けられっかもって言ってんのに!!


「ぐっ……わたしのような下賤なものに……貴方様は慈悲など……」

「……ばあちゃん?」


喋り方が、変だ。

何なんだ、この……手下?臣下?みたいな喋り方…。

ばあちゃんは、そんな喋り方、しねえ。

聞いたことねえ。


「おばばさま!?」

「ひゅー、ひゅー……」

「ばあちゃん!?」


喋ろうとするばあちゃんの喉から変な音がする……。

……何でだ!?

どうして今まで平気だったのに、こんな……!?


「何故だ!?…何故そんな…」

「ばあちゃん!!」

「え、まさか、そんな……これは……」

「ルディ!!」


ルディがばあちゃんに負けねえくらい真っ青になっている。

一体何だよ!?

何でお前迄こんな!?


「何でお前が倒れそうになってんだよ!!

ああもう手間かかる奴だなこのボケルディ!!」

「すまん…レルミッド…」


俺はルディを自分の方に寄り掛からせた。

白い顔は青白いし…薄茶色の目は涙で滲んでいる。

……手が無茶苦茶冷てえ…。


「あーくそ、…何か掛けるもの…ちょっと待ってろ」

「大丈夫だ、僕は大丈夫だから…」


寝かそうにもばあちゃんが寝てるし、大体布団もねえ。

俺のテントに連れてこうにも流石におんなじ位の身長の奴を抱えらんねえし…。

ああくそっ、何処行ったクソボケ親父!!


イライラしながらルディの背中を擦ってやる位しか出来ねえ。

するとその時、ばあちゃんのテントの扉の布が開いた。


「おい退け、レルミッド」

「親父!?……そいつ、誰だよ」


て言うか遅えだろ…!?今まで何してんだ。

何だその後ろの…この草原に似合わねえ堅苦しいカッコのオッサン共は!?

どう見ても医者じゃねーだろ!?


「医者は必要ない」

「親父!ルディが…隷属の徴がどーのって!?」


必死に俺が言っても親父はチラッと俺の方を向いただけだった。

ばあちゃんには見向きもしねえ。

その代わり、ルディをじっと見て口を開いた。


「……ルディ様、ご帰還が迫っております」

「!?」

「なっ!?ど、どういうことだ!?」


帰還!?

こんな具合悪そうなルディをかよ!?

しかもばあちゃんが具合悪ぃんだぞ!?


「馬車はもう外に。お急ぎください」

「ちょ、ちょっと待てよ親父!!ばあちゃんの具合はルディが…!!」

「黙れレルミッド」

「っ!?」


親父が睨んだとたん、信じられないくらいの負荷が俺に掛かった…。


気が付いたら強制的に地面に引かれた敷物と顔がくっついていた。

背中に掛かる、何もない…いや、これは風の力の圧力か!!

必死に抵抗したけど、堪えらんねえ……?!腕が上がらねえ!?

ガタガタブルブル筋肉が、骨が、軋む。

……これ、親父の力かよ!?

何でこんな……親父が何で俺を攻撃してんだよ!?


「が…あぁ!?」

「お前は口を出すな」

「レルミッドに何をする!?やめてくれ!!!」


俺がのた打ち回ってんのを見かねたのか、

ルディが俺の上に覆いかぶさってきた。


「ぐあっ…お前、具合悪いのに何やってんだ退け!!

「バカ言うな!!」


それでも親父は俺に対する負荷を解こうとはしない。

これ、俺にのみ圧力が掛けらんのか?!

何でこんな細かい事してんだよ!!どういう神経の使い方だ!!


「ぐぁ…おや…おやじ…!?」

「レルミッド!!止めろ!!鳥籠の!!分かった分かったから!!」

「ではお帰りになられますか?」

「帰る!!……そうか…やはり、そういう事なんだな!?」


悔しそうに親父を見るルディの目が潤んでいる。

何だ一体。

何が分かったって言うんだよ!!

説明しろよ!!

後、術解けよ!!

背骨がギシギシ…潰れる!!


「ぐぁ…ルディ…!?」

「すまない、本当にすまない、レルミッド……僕は弱い」


必死でルディが背中を撫でてきたけど、圧力は全く消えねえ!!

死ねクソ親父!!!


「ぐ…ハァ!?何一人で納得してんだよ!?」

「徴の事は必ず僕が何とかする。少しかかる。おばばさまを…間に合うようにする」

「お捨て置きください」

「親父!?…がっ!?」


それはばあちゃんの事を言ってるのが信じられねえくらいに冷たい声だった。

何でだ、親父。

そりゃ口喧嘩は耐えねえけど…実の母親だぞ!?仲良かったよな!?

どうしてそんな、どうでもいいように喋るんだよ…。


「此処に僕が居てはいけなかったんだな。

でも……僕はレルミッドと友達になれて本当に楽しかった。

ずっと草原で暮らすルディになりたかった」


何で今生の別れみたいな事、言ってやがんだ。

ぽたり、と俺の頭とかデコにルディの涙が滴り落ちた。

背中は痛えし……冷てえよボケ!!


「ぼ…ボケ……男の涙とか…浴びたく…」

「っふ、僕も泣きたくない!!」

「ぐあ……ルディ、マジでばあちゃんを救ってくれるんだよな!?」

「当たり前だ…必ずおばばさまのこと解決する……!!」


ルディは相変わらずキンキラしている。

それは泣いて顔がぐしゃぐしゃになってもだった。

……コイツ、顔いいけど泣くと汚えんだな。



何時の間に集まって来たんだか分かんねーけど、ルディの周りには大人が沢山いて、

親父に強制的に這いつくばらされた俺は確認できなかったけど。

多分、外に来た馬車に乗せられたんだと思う。


そして、来た時と一緒で突然に俺の前からルディは居なくなった。

馬車の車輪の音が聞こえなくなるまで、

親父もばあちゃんも、勿論俺も誰も口を利かなかった。


それから。

どん位経ったか分かんねーけど、ふっと上に載ってた圧力が失せた。

俺は思わず短く呼吸を繰り返して必死に空気を取り込む。

……クソボケ親父!!


「さーて、悪かったなレルミッド……」


……口調が戻ってる。さっきの薄ら寒い言い方じゃねえ。

顔も何時ものボケた顔に戻ってる…。

それどころじゃねえ。

何が悪いだ、ふざけんじゃねえ!!


腹の中が煮えくり返って、自分でも周りの空気が渦を巻くのが分かる。

血の流れと一緒に、俺の魔力が風になってるのが分かる。

…久々にキレたぞ、ボケ!!


「親父!何で俺の話を聞かねえ!?どうしてルディを帰した!?

さっきの事はどういう事だ!?」


俺は吼えて、目の前の親父を風ごとぶん殴ろうと腹に力を込めた。

もう親父からの反撃とかどうでもいい。敵わねえのは知ってる。

だけど止まれるか!!

ルディとか俺の気分とか混ざってぐちゃぐちゃでごちゃごちゃだ!!


「おやめ、レルミッド!!」


死ぬほど込めた風の力を親父にぶつけようとしたとき、

ばあちゃんがさっきとは比べ物にならないくらい力強く俺の腕を引いた。


「ばあちゃん!?」


……何で、元気になってんだ?

どういう事だよ。

さっきまで震えてたし顔色も青白かったじゃねーか!!

ヒューヒュー喉から音出てたのに!!


「まあ、怒るのは最もだ…俺だって好きで抑えつけた訳でも、言った訳でもねえし」

「……は?」


どういう事だ。

好きで言ったわけじゃない?

意味が分からなさすぎる。

…あ、術発動の制限時間が切れちまった。


「抑えつけるって…肺が潰れそうになっただろうが!!」

「死なねえ程度に苦しませないと、相手からそう見えないだろうが」

「……何が言いたい、ボケ親父。

どうしてばあちゃんも止める。

何でルディはあんなに具合が悪いのに連れ帰らされる!?」


親父は口の端だけ吊り上げた。

ふざけんなクソムカつく!!


「この忌々しい大茶番の種明かしをしてやるよ。

何にも知らねえルディ坊や…。

王位継承順位第一位、ショーン・ジェラルディン・ドゥッカーノ様が、暴きそーになって宣いやがった俺らの忌々しい徴の種明かしをな」


親父のドヤ顔が滅茶苦茶ムカつく。

だけど……そのクソ長い名前…ルディが何だって?


「……何だと?」



……ド田舎の草原のガキの俺でも知ってる。

この国はドゥッカーノ王国。

王族は、その名前を冠するって。


そして、王位継承者第一位…王子ショーン。

…知ってる、ド田舎のガキでも知ってる。

アイツが…ルディが王子ショーン!?

ルディは……マジもんの王族……王子なのかよ!?


ルディ君は『王子ショーン』でした。

特に捻らなくてすみません。

この話に出てくる友情関係って…本当に少ないですね。



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登場人物紹介
矢鱈多くなって来たので、確認にどうぞ。とてもネタバレ気味です。
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