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サポートキャラに悪役令嬢の魅了は効かない  作者: 宇和マチカ
番外編

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番外編そのろくの2 地元のものはその辺りに在る

お読み頂き有難うございます。

ルディくんがはっちゃけます。

外でギャアギャア鳥の鳴く声がする。

居候が来たせいでなんだかよく眠れなかった。

畜生が。寝坊しちまったじゃねえか。

後鳥煩え。勝手に狩りをして勝手に食え。


隣の敷布にはルディは居なかった。

あの野郎、どう見ても寝汚そうに見えたのに意外に早起きだな。

て言うか寝具は畳めよ。習慣ねーんだろうけど絶対明日から自分でやらす。

しかし放置して怒られるのは俺だ。

しょうがないから二人分の寝具を畳んで隅に寄せておく。


まだギャアギャア鳴き声がする。

餌の時間が遅れたからってマジ煩え。

俺はお前らの忠実な手下じゃねーんだよクソ鳥共が。

あー、5食くらい抜いてやりてー。


俺はテントの扉にしている布を開けたら…

鳥が群がってきやがった!!

何時もの事だけどよ!!

毛玉…いや羽玉がスゲー勢いでぶつかられるのってマジ首痛めるって!!

風で障壁張らなきゃ毎日むち打ちだ!!


「ぼふぁっ!?」

「おお、おはようレルミッド!遅いな!鳥いいな!!」


ルディが朝早くから滅茶苦茶デカい声でこっちに声を掛けてきやがった。

煩え。お前は早朝徘徊のジジイか。

早速文句を言おうとした俺の目に…見慣れぬものが映った。


「おい、何だその…」

「これか?」


ルディの横に居たもの…。

そこには、何かが居た。

背の高さは俺らよりずっと高い、大人?のような大きさ。

…男か?多分…そう?

マジか??


何と言うのだろう…。

纏う空気が、気配が…全く何か違う。

生ぬるく、ヒヤッとすると言うか…。

何だこれ。何か気持ち悪ィ。

俺は身震いして、それから目を離した。


「知らんのか?土人形だ!」

「土人形?……これが?」


ああこいつ土属性なのか?

じゃあ土人形くらい…ってのは分かる。

ただ、それにしちゃあ何かやけにやたら人に…似まくってないか。細かすぎる。

普通はもっと大雑把なもんだ。

親戚のじいさんがたまに作ってるの見たけど…。

子供がそこらの土捏ねて作ったのより人か?ってレベルで超ショボい。

動きも…確か歩かせるのに5時間くらいかかったって言ってた気がする…。

て言うかそん時は飽きたから帰ったし、結局結果は誰も見てねえ。

動いたって保証もねえ。


しかしこれは…特に顔とか…、この辺の民族衣装とか名乗ってんけど、実際単なる時代遅れ服の加減とか…ちょっと、普通の人間に似すぎてる。

いや、人だよなこれどう見ても。

ちょっと顔色というか全身土気色だけどよ…。

服も泥色だけど…。ハハハ…何でだろーな?


「昨日その辺に居た死霊を中に入れたからな!」

「………」


……え?

今コイツ何て言った?

聞き間違いだよな?


「大丈夫だ!働き者で無口なのを選んだから」

「え、いや、働き者で、無口?」


うん?土人形の方が聞き間違いか?

あの馬車にも一人顔色悪いお付きとか乗ってた…んだよな?

あ、もしかしてそいつが土人形って名前か?

おいおい渾名でも名付けヒデーなハハハ…。


「あんまりお喋りだと働かないし煩いからな」

「いや、聞きたいのはそこじゃねえ!!」

「何だ?」

「何を…入れたって?」


ルディはにこっと笑って、口を開いた。

俺はその笑顔に…聞き間違いであろう事を、期待した。

いや期待すんだろ。

今なら俺医者に行ってもいいわ。スゲー嫌だけど。

耳に昨日虫でも入ったかもしんねーわ。


なあ、違うと言ってくれ。そう縋る目で見る俺を…


「その辺で最近死んだ人間の霊だ」



ルディは…俺の希望をバッキバッキに砕きやがった。



「ハギャアアアアア!!」

「何だどうした!?」


お前がどうかしてるわあああああ!!!


「どうしたもこうしたも有るかボケエエエエ!!

オバケじゃねえか!!!

ものっスゲエオバケじゃねえかアアアア!!」

「おばけ?お化けじゃないぞ、死霊入り土人形だ」

「同じだボケエエエエ!!

何しくさってくれてんだこのキンキラアアアア!!」

「別に怨みを持ってない死に方だから、そこらの生きてる人間より安全だぞ。

彼は狩りの途中で落馬をしたんだ」


聞いてねえし聞きたくねえわそんなオバケの…し、死に方とか!!


「何の安全を保証してんだボケエエエエ!!

普通にオバケってだけで危険に決まってんだろおおおお!!」

「仕事内容に同意はさせたし、安全だ」


話聞けや!!

オバケってだけで危険だっつってんだろ!?

何で不確かな安全に拘るんだよコイツバカじゃねーの!?

何ケロッとしてんだよおおおお!!


「仮に安全だとしても何の同意だよこのガキャア!」

「レルミッドが昨日言ったんだろうが、水汲みとか家畜の世話って。

だから態々地元の死霊に語りかけたのに」

「死霊は語りかけるもんじゃねーーー!!」


アホかコイツ!!

何普通に死霊に語り掛けるとか言っちゃってんの!?

地元の死霊…ぎゃああああ!!!地元とかああああ!!!


「レルミッドはお化けが怖いのか?」

「バカじゃねえの!?俺は…俺は…オバケなんか怖くねえ!!

危険を排除したいだけなんだ!!」

「そうか、よく分かった落ち着け。これを飲め」


いつのまにか俺の手には木製のコップが渡されていた。

いやウチのだけどよこれ。

どっから持ってきた?母ちゃんか?

中身は水だった。

あれ?まだ俺水汲みしてねーけど、ルディがやったのか?

やるじゃねえか…オバケがいなけりゃ褒めてやってたのに。

地味に何も出来ねえ坊っちゃんをイビろうと思ってたのによ…オバケ付きじゃなければ!!


「ぜえ、はあ…お前、井戸使えたのか」

「まだ出来んからそこの死霊に汲んで来てもらった」

「ゴガハァァッ!!!」


盛大に中身を吹き出した俺は悪くない。


「噎せるからゆっくり飲め」

「ふざけんな何を飲ましてくれてんだこのボケ!!」

「何だ?お前の家の井戸から汲んだ普通の水だぞ。水質は普通だろ?」


そこじゃねえ!!

水質を気にしてる訳じゃねえ!!


「なななな何でオバケに水汲みさせんだよおおおお!!」

「家の使用人より気が利くんだぞ、褒めて遣わせ」

「オバケを褒めて遣わせとかあるかああああ!!」


ふざけてんのか!?何考えてんの!?

て言うか何でコイツオバケ呼び出せんの!?


「頼むからオバケを消せえええええ!!」

「煩えレルミッド!!お前こそちゃんと働かんかボケ!!」

「ぎゃ!?」


いつの間にか出てきた親父に拳骨を喰らわされた。


「親父!?コイツマジおかしいぞ!?オバケを使いこなすとか超危険人物じゃねーか!」

「お前は何を言ってんだ。ったく、まだオバケとか怖えのかよ」

「怖がりなんだな」


何を和やかにルディと語り合ってんだクソ親父!!

頭おかしくね!?

横に土の塊(人形)オバケが居るんだぜ!?

何で怖がらねえんだよおおお!!


「違えええ!!未確認生物信じてねえだけだボケ!!」

「死霊だから確認できるようにしたじゃないか」

「見たくねええええ!!」


何親切そうなこと言ってやがんだこのボケルディ!!


「全く煩いねえ。いいじゃないか働き手が増えて」

「おお、おばばさまもそう思うか?」

「勿論ですよ坊ちゃん」

「ふむ…じゃあ問題無いな。レルミッドよりおばばさまの方が実権が有るからな」

「ばあちゃああああああん?!」


ウチの家族頭おかしいいいいい!!



「……うう、うわああああ…」

「何だ、人が嫌だって言うから馬にしたのに…」


今俺の上には鳥が、横にはルディと馬がいる。

馬だ…。見た目はすげえ馬だ…。

只…これも、横に居て全く息をしていない。

俺はマジでこの狂った場から居なくなりたい……。

布団引っ被ってマジ眠りたい。この変な状況からマジ逃げてえ!!

て言うか何でこの状況で鳥普通に飛んでられんの!?

俺がおかしいのか?

いや俺おかしくねーよ!!


「レルミッド、鳥に餌をやらんでもいいのか?」

「鳥よりそのう、馬を何とかしろおおお!!」

「僕は今の所この草原ではお荷物だからな。力も思う存分使えるし、此処はいい所だ!!」

「ふざけんなああああ!!」

「僕の能力は王都…都会には向かんからな。石を使うと後始末が大変だ」


ふざけんな此処でもオバケ使いは向いてねえよ!!

そう怒鳴ろうとすると、ルディは寂しそうな顔をした。


「僕も鳥とか欲しいなあ…。

でも生きてるものはあんまり僕を好いてくれないんだ…」

「……え」

「……大体の生き物からは嫌われるんだ…。この鳥は平気そうだけど」

「いや……図々しいだけなんだけどな…」


それは…やっぱり、オバケを使うからなのか?

生き物はあんまり寄ってこないってのは…。


「レルミッドは家族とも仲がいいよな。僕の家族は僕をそんなに好きじゃなんだ」

「お前…」


…家族とは仲が良くないのか。

家が無茶苦茶広い貴族の坊ちゃんなのに。

草原に放置されてるって時点で、そうじゃないかとは思ったけど…。


「お前、友達とかいんの?」

「いない」


俺の問いにルディはキンキラな睫毛を伏せた。

こいつ本当に見た目キンキラしてんな…。


「まあ、お前そんだけツラ良いんだし、そのボケを直せば…その内友達出来るんじゃねえか?」


オバケ出さねえんなら俺がなってやってもいいし。

オバケ出さなければだけどな。


「女の子はやたら寄ってくるんだけどな…」

「……くたばっちまえお前えええ!!!」


……俺の同情を返せボケエエエエ!!!


「寄ってくるのは優しくして仲良くなってやるんだぞ?」

「顔の良い野郎はマジ死んじまえ」

「僕の顔はそんなに女の子ウケがいいのか?

この周辺の女の子にも試してみるか!」

「何言ってんだボケエエエエ!!」


ふざけんなコイツ!!

この歳で何考えてんだボケ!!

て言うかコイツ別の意味でもマジヤバくねえ!?


「可愛い子なら好きだし歓迎するぞ?」

「ふざけんなボケ!!」

「でもまあ暫く女の子はいい…。アレキが悪夢に出そうだ」

「何だよお前のそのイトコは…」

「アレキの顔はとても好きなんだがな。

ウザそうな顔と悪い顔しかしないし性格が歪んでるんだ」

「知らねえよ…絶対会わねえし」


て言うか何で俺コイツと会って二日目なのに、こんな濃い情報に塗れてんだ?

俺普通の一般の草原の住人だぞ?

謂わば普通の庶民だ。

オバケとか縁の無い平民の筈だああああ!!!

…そんな感じで俺とルディの生活が始まった…。


「お前は一体何が好きなんだ?鳥か?」

「鳥なんか好きじゃねーよ…猫だ」

「猫か…この辺には居ないなあ」


空中を見つめるのはやめろおおおおお!!!

そんな所何にもねえだろおおおお!!!


「まあ鳥も僕だけでは飛ばせないからなあ…。鳥の死霊なら山程いるのに…。

死霊入れた鳥の土人形をレルミッドが風魔法使って飛ばしてくれれば…」

「誰がやるかああああああ!!」



俺は…全くオバケなど怖くない。全く怖くない。

未確認生物が危険で嫌いなだけだ。

だがな、コイツと仲良くなれる気が全くしねえ。

全く気がしねえけど、慣れて来たのが恐ろしいぜ。

突然のホラー回ですみません。



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登場人物紹介
矢鱈多くなって来たので、確認にどうぞ。とてもネタバレ気味です。
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