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サポートキャラに悪役令嬢の魅了は効かない  作者: 宇和マチカ
番外編

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28/212

番外編そのにの8 遠ざかる手

長くなりました、8話です。

崖っぷち令嬢、もだもだしています。

恋愛偏差値が低いので、ご主人さまへの好感度爆上げ展開が始まらない…。

そしてまたまた数日経過した。

ご主人さまの機嫌が頗る悪い。

やべえ、全然分からない。

地面に転がしたことは全力で謝ったんだけど…。

平謝りしたんだけど…。

全然ご機嫌が直らないわ…リアクションも薄いし…。


まさか、まさかのまさか!!

不純な動機で見てたから、気付かれたんだろうか。

後頭部を見ていただけだけど!!

気付かれたの、その不純さを!?

借金返済の為に自分が狙われてるって…。

いや、それもあるけど…!!


この頃ちょっと、いや、かなり気になる存在なのは本当なのよ。

でないとこんなにモダモダしてるもんですかああああ!!

うおおおおお!!どうしたらいいの、どうしたら進展するの!?

誰か、誰か私に恋愛の仕方を教えてえええええ!!

なるべく恥ずかしくない方法で!!

そしてお金の掛からない方法をおおおおお!!


「……」

「……」


ああ、沈黙がとても針の筵!!

ご主人さまってば、冷たいのも…あ、素敵じゃない。

別に嬉しくない。

普通に声かけて欲しい。

あわよくば笑ってほしい。

と言うか笑ってるの見た事ない。

…どう状況を鑑みても、詰んでるわ。


「あのー、ご主人さま…」

「用があるなら帰っていいよ」


精いっぱいのとっておきの笑顔も威力なーい。

わー、取りつく島も無ーい。

こっちを見てくれすらしなーい。

うああああひどーい!!

冷たくされて喜ぶ性癖の人物になれそうも無いわ!!

良かった、変な性癖が無くて!!

あれは特殊な人なのよね!!


「あのお、私には何も、用事はございませんが…」


なのでもうちょっとお傍に居ては駄目ですかね?

駄目?

駄目かなあー?

…首を傾げておねだり…ああ、身長差が…見下げてしまう。

別にいいけど、何か良くない、多分良くない!!


「……俺にも無いから帰っていいよ」


目を逸らされたあああ!!

駄目だったあああああ!!

私、何かしたああああ!?

いや、何かしましたね。

後頭部を熱く凝視したくらいだけど!!

直ぐ止めたよ!?

だって何か恥ずかしいから!!

あ、抱えたのが駄目だった!?

怒りに触れた!?

服汚されたから!?

あーあの時のご主人さま、細くて可愛かった!!いい匂いした!!


そしてあわよくば、ご主人さまを婿に迎えたいとか邪念を抱きましたけど!

お金込みで!!

でもね!でもね!!

チャラくて意味の分からない口説き文句の上に、暴言野郎のイケイン伯爵令息より、ずっとご主人さまの方がいいと思うのよ、人格的に!!

そりゃ銭ゲバだけど、話はちゃんと聞いてくれるし…今は相互理解が不可能だけど…。

守ってあげたいタイプって言うの!?


「あのお……」

「帰っていい」

「そ…そうですか」

「……」


おお、現実は本当に非情。

…ヤバい、全く空気が和む気がしない。

そして場を和ます言葉を何も思い浮かばない。

殿方の機嫌取りってどうするのよ。

ご主人さま限定で知りたいいいいいい!!

誰か教えてええええええ。


「……」


返事が無い。

滅茶苦茶機嫌が宜しくないようだ…。

悲しい。滅茶苦茶悲しい。本当に悲しすぎる。


私は荷物を下ろして、石板を出した。

勿論お返しするためによ。帰りには必ずそうするからね。

他の荷物は家に置いて、朝には背負ってくるんだけど石板だけは返している。

勿論強奪する気は無いけど、疑われても嫌だしね…。

返却を忘れてこれ以上ご主人さまの好感度を下げたくない。

おお、嫌われたくない。


あ、ご主人さまも条件反射で手を出してくれたわ。

ああ良かった。本当に良かった。

此処まで無視されると悲しいものね…。

こんな些細なことで喜ぶ私って恋する乙女だわ。

…全然報われないけど!!


そして、石板をお返しした時に、少しだけ指先が触れた。

おお、触ってしまった…。

やったあ…じゃないわね。

今、地底を張ってる並みに嫌われている私が触ってしまったって…ヤバいわね。

恐る恐る視線を下げたら、ご主人さまの薄い黄色の目が見開かれている。

眉も顰められている…!!

口も引き結ばれているわ…!!

そ、そんなに嫌!?

そ、それとも静電気!?静電気かしら!?


「……っ」

「す、すみません!!…静電気でしょうか」


…即座に引っ込められてしまった…。

そんなに乾燥してるかな、私の指…。

風属性だから静電気溜めやすいって昔言われたしなあ。

静電気防止用の装身具はあるらしいけど、

そんな予算のない風属性はどうしろって言うのよ。

酷いわ。

冬の時期も激しいけど…こんな時期でも駄目か。

よりによって若干私を嫌がりつつあるご主人さまに静電気を浴びせるなんて…凹むわ。


「……」


しかし、ご主人さまは何にも言わない。

あ、静電気じゃないんですね?違いますね?

…そうでないのね。嫌われたのね。

…もっと、もっと凹むわ。


「君はおかしい」

「おかしい…ですか」


あ、喋った!!ご主人さま…喋ったけど…。

おお、あんまり嬉しくない台詞…。


普通なんだけどなあ…。

おかしいと恋愛の対象内にならないよなあ。

…ご主人さまの事、ちょっとお金以外で好きになって来たんだけどなあ。

……嫌がられると、凹むなあ。


そしてまた数日…。

まだご主人さまとは微妙な距離だ…。

顔すら見てもらえなーい…。

石板も渡して貰えなーい。

うわああああああ、今度こそ駄目だ、嫌われてるうううう!!


「サジュ…どうしよー!!」


私は授業が終わって走り回った結果、裏庭を歩いていた弟をとっ捕まえた。

良かった!1人ね!!

あの馬鹿王子とか居ないわよね!?

サジュと学年が一緒だから、遭いかねない。

警戒するわよくっそおおお!!

天罰が下れあの王家えええええ!!


「姉さん!?何だその顔!?この暑さで腹でも下したのか!?」

「何でだ!!」


やっと探し当てた実の姉に出会い頭に失礼だな!!

どういう顔だよ!!

鏡なんか見て無いわよ!!余裕ないっての!!


「目の下にクマが出来てるぞ」

「熊はもういいいいいい!!」


もう熊の事は聞きたくない!!

女神像の次に聞きたくない!!


「落ち着け、姉さん…そんなにイケインがうざったいのか?」

「今日も投げ飛ばしてきたけどそっちじゃないいいい」

「じゃあ何だよ」


私が今更そんな事で凹むと思っているのか!?

どうでもいいわ、あんな令息!!


「ご主人さまが無茶苦茶冷たいのよおおお!!!」

「え、フラれたのか!?」

「口説いてすらいないのに嫌がられてるのおおお!!」

「え、何で!?」


こっちが聞きたいけど…多分…多分…。


「きっと、私がご主人さまを利用しようとしたのがバレたんだわあああああ。

今結構めっちゃ好きなのにいいいいい!!」

「え。えええええ、マジか!?」

「うえええええん、令息に執拗にまとわりつかれるわ王子にエロく絡まれるわ…

この国に来なきゃ良かったああああ」

「姉さん…」


涙にくれる私の背中をサジュがポンポンと叩いた

反射的に弟に抱き着こうとしたら避けられた。

…滑りそうになったじゃないの!!

おい!!コケたらどうしてくれるんだ!!

今あんたの姉は涙にくれているんだぞ!?


「ちょっと!!何すんのよ!?」

「あ、ごめん。つい反射的に避けた」


避けたじゃないでしょ!?

弟迄酷すぎるわ!!


「可哀想な姉を慰めようとは思わないの!?」

「んー、この間の殿下のことも有るし、正直あんまり姉さんにしがみ付かれたくないな。

オレは可愛い普通の女の子がいい」

「……まあ、私も別にサジュにしがみ付きたくないけどさ」


…まあ確かに言い分は分かるわ。

あの馬鹿王子のせいでサジュと噂になっても困るわね。

実の姉弟だっつーの!!誰も居ないから主張してもしょうがないけど!!

あの王子、マジで蹴りたい。

そして実の姉弟だ馬鹿野郎と罵って謝らせて慰謝料払わせたい!!

人の話を聞かない上に、うら若き令嬢の胸をジロジロ見やがった上に、一晩のポイ捨て相手にするからウチに来いだなんて。

あんな顔だけ王子の所だけは、どんなに大金積まれても行かんわ!!

アレッキア様に手酷くポイ捨てされてしまえ!!


「じゃあ何で言った」

「……まあ、弟の方が柱にしがみ付くよりは建設的かなって」

「ハンカチ貸す」


…くっそう、建設的ね。

ちょっとシワシワだけどいい生地遣ってるわね。

遠慮なく顔を拭かせてもらおう…。

拭いても繊維が解れて来ないって良いわね。


「洗って返すわ」

「やるよ」

「じゃあ貰う…」

「そうしといて」

「嫌だわ、この頃遠慮が無くなってきてしまったわね」

「いいよ、姉さんには今頼れるのはオレくらいしかいないんだし」

「そうね…サジュしかいないのかしら」


ついこの間まではご主人さまに頼り切る気満々だったのに。

家族とはいえ、養子先の弟に頼るなんて…。

私ってどうしてこう…駄目なのかしら。

1人で何にも出来ないなんて…。


「でもずっと頼る訳にも行かないわ。私…」

「姉さんはオレが守るよ、とりあえず今は」

「そうね、しっかりしないといけないわ」


私の肩には御家断絶が…今は婚活とかホント考えたくないいいいい。

ご主人さま、ああご主人さまの顔がチラつくわ!!

冷たい視線のご主人さまが…ああああ辛い、辛すぎる!!

全ッ然立ち直れる気がしないわあ…。


「とりあえずノロットイとちゃんと話し合えよ」

「……結構無視されて心が痛めつけられているんだけど」


本当にズタボロよ。

ここ最近そんなのばっかりよ。


「金以外のことは諦めないのが信条なんだろ」

「恋も付けといて…」

「ホントに参ってるんだな…あの姉さんがねえ」

「ホントに参ってるんだってば…」


一体何故なの、ご主人さま…。

どうしてあんなに冷たいの…。結構普通だったのに…。

…普通じゃないのか…君はおかしいって言われたもんなあ。

余裕で脳内再生可能なんだけど…聞きたくない!!

もっと何か、マシな台詞を思い出したいけど!!

何か優しい系のご主人さまの台詞聞いたかなあ。

全然思い出せないわ…。


ああ、辛い…。

一体どうしてこうなってしまったの。

どうせ借金に追われるなら、もっと他の国に留学しとけばよかった…。

…でも、それだとご主人さまに会えないってことよね。

いやだあああああ。


サジュはぐすぐす泣くそんな私の横に付いて、背中を撫でてくれていた。

休み時間を潰させてごめんね。



「ねえねえ、モブゼロさんだよね?」


散々泣き明かしたけど、時間は過ぎる。

心配してくれるサジュと別れ、

凹みながら自分を叱咤して教室へ向かう最中、…不愉快な声が私の耳に届いた。

この声、チンピラかよ!!

何なのよ!?

何処へ行っても敵だらけか!?

もし私の名前呼んでるんなら、ぶっ飛ばすぞ!?

本当にこの頃ろくでも無いな!?この国は!!

チンピラ系移り気主人公、推参しました。

顔は滅茶苦茶可愛いです。

そして学力と気遣いパラメータは初期値です。

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登場人物紹介
矢鱈多くなって来たので、確認にどうぞ。とてもネタバレ気味です。
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