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第72話 勝手に決めるな

 事件から七日が過ぎた朝、俺は王都冒険者ギルドの二階で、追加の聞き取りに付き合っていた。


 最初に集められた報告だけでは足りなかったらしい。治療所へ運ばれた者の生死が確定し、行方不明だった者が別の避難所で見つかる一方、身元不明だった遺体にも少しずつ名前が戻っている。現場を何度も移動していた俺たちにも、見た人間や場所について確認が回ってきていた。


「この通りで、負傷者の搬送を見ていますね」


 向かいの職員が地図の一点を指した。


「見てます。荷車が二台と、担架で運ばれていた人が何人か。道の北側に寄せてました」


「人数は?」


「正確には分かりません。十人前後だと思います」


「この三名に見覚えはありますか」


 別の紙を差し出され、そこに記された特徴へ目を通す。二人は顔に覚えがあったが、一人は分からなかった。


「こっちの二人はいたと思います。この人は……似た人はいたけど、同じかまでは」


「それで十分です」


 職員は迷わず記録へ書き込み、次の紙を取り出した。


 机の端には確認済みの一覧が何枚も重なり、東区や西区、第1・第2師団の戦区、王城周辺、市街の避難路と、場所ごとに軍人、冒険者、市職員、神殿関係者、市民の名前が並んでいる。


 その中で俺が知っている名前は少ない。


 レナード・フォーゲルとエーベル・ハルトマンのところではどうしても目が止まったが、二人だけが死んだわけではなかった。聞いたこともない名前がその前後にも続き、行を追うほど、俺の知らない場所でも同じ夜に戦った人間がいて、逃げた人間がいて、それでも間に合わなかった人間がいたことだけは分かる。


「まだ増えるんですか」


 職員が顔を上げた。


「死亡確認ですか?」


「はい」


「増えると思います。ただ、全体の数字はまだ出せません。軍と市、それから神殿で確認の進み方が違いますから」


「そうですか」


「逆に、行方不明から生存確認へ変わった人もいます。数字だけなら毎日動いていますよ」


 職員は少し間を置き、机の紙束を揃えた。


「避難開始が早かった区画は、かなりの人数が先に逃げられています。軍や冒険者の配置も間に合っていましたし、何も準備していなければ被害はもっと大きかった、というのが今のところの見方ですね」


「聞いてます」


 その理屈なら俺にも分かる。軍も冒険者も、市の人間も事前に準備していたから動けたし、避難路や連絡所がなければ、あれほど早く人を逃がすこともできなかった。


 それでも、目の前の紙から名前が減るわけではない。


「次は回収品です。あなたが現場を通っているので、一応確認をお願いします」


 職員に案内されて一階の奥へ降りると、倉庫は事件前とは比べものにならないほど手狭になっていた。棚だけでは足りず、通路の両側に木箱が積まれ、武器や防具だけでなく鞄や工具まで、回収地点ごとに分けられている。


 持ち主へ返すものもあれば、まだ返す相手が決まっていないものもあった。


 奥まで進んだ職員が、細長い木箱の前で止まる。


「これはエルンスト・ヴォルフさんの装備です。第1師団戦区に近い通りで回収されています」


 札を確認して蓋を開けると、中には剣が一本だけ収められていた。その横には厚手の布で包まれたものが置かれている。


「もう一本は?」


「こちらです」


 布が開かれ、その中から柄と砕けた刃が現れた。


 残っている中で一番大きな破片でも刃の半分には届かず、他はさらに細かく割れている。


「左で持っていた方だそうです」


 職員の言葉を聞きながら、戦場で見たエルンストの姿を思い出す。


 俺が着いた時には、左腕は防具ごと潰れてほとんど動いていなかった。その前に何を受けたのかまでは見ていない。


「本人は知ってますか」


「装備の状態は伝えてあります。残った一本も、今はここで預かっています」


「面会は?」


「昨日から短時間なら許可されていますよ。急変の危険は下がったそうです」


 箱の中へ視線を戻す。


 二本を使って戦っていた男の装備なのに、剣の形を保っているものは一本しかなかった。


「場所、教えてもらえますか」


     *


 治療所の廊下では、杖をついた患者や、身体のどこかを固定された兵士と何度もすれ違った。片腕を吊った冒険者が治癒師と話しながら歩き、その先では別の兵士が壁へ手をついて、一歩ずつ足を運んでいる。


 エルンストの部屋へ着く少し前に扉が開き、中から母親らしい女性と小さな男の子が出てきた。


「本当に、ありがとうございました」


 女性が部屋の中へ頭を下げると、その横から男の子も顔を覗かせた。


「また来てもいい?」


「俺に聞くな。母親と治療師に聞け」


「じゃあ、また来るね」


 少し間があった。


「……好きにしろ」


 聞き覚えのある声に足を止める。


 親子は俺へ軽く頭を下げ、そのまま廊下を歩いていった。入れ替わるように部屋を覗くと、寝台の上からエルンストがこちらを見ている。


「何だ」


「見舞い」


「手ぶらでか?」


「何か欲しいものあるのか?」


「ねぇ」


「じゃあいいだろ」


「そういう問題じゃねぇよ」


 追い返すつもりはないらしいので中へ入り、扉を閉めた。


 そこで初めて、左腕がなくなっていることを正面から見た。


 寝間着の左袖は肩の下で整えられ、その先に腕の輪郭は続いていない。戦場から運ばれていく時には、ひどく潰れていたとはいえ確かに残っていた。


 視線を戻すのが少し遅れたらしい。


「そんなに見るな」


「悪い」


「謝るな。それも腹立つ」


 寝台脇の椅子へ座る。


 顔色はまだ悪かったが、少なくとも受け答えをするだけなら、いつものエルンストと大きく変わらない。


「さっきの子は?」


「あの日に助けたやつだ」


「避難してた?」


「列から外れてた。黒い獣がそっちへ向かったから、先に潰しただけだ」


「礼を言いに来たのか」


「母親がな。ガキは、また冒険者するのかって聞いてきた」


「何て答えた」


「まだ決めてねぇ」


 隠す様子もなくそう言って、エルンストは自分の左側へ一度だけ視線を落とした。


「今まで通りは無理だからな」


「剣、見たよ」


 右手の動きが止まった。


「ギルドで?」


「ああ。一本と、砕けた方も」


「そうか」


「あれで受けたのか」


「まあな。胴へ来たのを左で止めた。剣が砕けたところまでは覚えてる。そのまま腕もやられたらしい」


「その後は?」


「細かくは覚えてねぇ」


 エルンストは右手を持ち上げ、何でもない動作のように指を開いてから閉じた。


「今でも左を使おうとする」


「無意識に?」


「ああ。物を取る時も、起きる時もな。右を出した後に左も動かそうとする。ねぇのは分かってるのに、身体の方が先に反応する」


「ずっと二本だったからか」


「剣を持ち始めてから、ほとんどずっとだからな」


 しばらく右手を見ていたエルンストが顔をしかめた。


「双剣が使えねぇってだけの話じゃない。歩く時の重心も、構えた時の肩も、相手が動いた後にどっちを出すかも身体に入ってる。一本になったから半分だけ変えればいい、なんてわけにはいかねぇ」


「右一本でやるとしても?」


「簡単に言うな」


 声が低くなった。


「簡単だとは言ってない」


「だったら軽く言うな」


「分かったなんて言ってないだろ」


「そういう聞き方が腹立つんだよ」


 普段なら、この辺で適当に流したと思う。


 今日はエルンストの視線が外れなかった。


「哀れむなら帰れ」


「哀れんでない」


「なら何だ」


「考えてるだけだ」


「何を」


「お前がこれからどうするのか」


 眉間の皺が深くなる。


「それを俺より先に考えるな」


「先に決めるつもりはない」


「なら黙ってろ」


「随分機嫌悪いな」


「腕一本なくしたんだぞ。機嫌まで取れるか」


 強い言い方に、俺も少し腹が立った。


「別に愛想は求めてない」


「だったら余計なこと言うな」


「お前が何も試さず辞めるとは思ってないってだけだよ」


 エルンストの表情がわずかに変わった。


「何でそう思う」


「知らない。お前だからじゃないか」


「……適当だな」


「今すぐどうするか決めろって言うよりマシだろ」


「知るか」


 そう返しながらも、さっきまでより声は少し落ち着いていた。


「……一回負けたこと、忘れてねぇだろうな」


「忘れるか」


「ならいい」


「何が?」


「今のお前が勝ったみたいな顔してるのが腹立つ」


「そんな顔してないだろ」


「してる」


「じゃあ、治ってからまたやるか」


「は?」


「片腕のお前とはまだやってない」


 数秒、エルンストが黙った。


「本気で言ってんのか」


「今やるとは言ってない」


「そういう問題じゃねぇ」


「じゃあ何だよ」


 右手で額を押さえたエルンストが、呆れたように息を吐く。


「お前、本当に時々腹立つな」


「知ってる」


「褒めてねぇ」


 それでも、さっきまで張っていた空気は少しだけ緩んだ。


「それより、お前の脚はどうなんだ」


「普通に歩くならもう問題ない。走るのは禁止されてる」


「まだ走る気だったのか」


「必要ならな」


「馬鹿だろ」


「クラウディアさんにも言われた」


「じゃあ確定だな」


「そこまで言うか?」


「他は」


「肩と脇腹も戻ってきてる」


「怪我の話じゃねぇ」


 何を聞かれているのかは分かったが、すぐには答えられなかった。


「……何だよ」


「何かあるんだろ」


「別に」


「それで済むなら、さっきからそんな顔してねぇだろ」


「お前、寝てる間に人の表情読む訓練でもしてるのか」


「暇だからな」


 冗談で終わらせてもよかった。


 けれど、今朝見た紙束と、倉庫の木箱が頭から離れなかった。


「何人死んだんだろうな」


 エルンストの表情が変わった。


「王都で?」


「ああ。まだ数が確定してないって」


「そうだろうな」


「東でも西でも、軍の戦区でも死んでる。避難路でも、治療所へ運ばれた後でも」


「それで?」


 あまりに平坦な返事で、少し苛立った。


「それでって何だよ」


「死者が出たのは知ってる。何が言いたい」


 少し迷ってから、口を開く。


「俺が最初に戦った人型、知ってるか」


「話は聞いた。南東にも出たやつだろ」


「左肩を傷つけた。でも統制体が避難してる人たちを狙ってたから、その場では追わなかった」


「それも聞いてる」


「後でそいつが人を殺した」


「知ってる」


 短く返されるたびに、胸の奥がざらついていく。


「エーベルさんもそこにいた。市の技師で、何度か一緒に地下を見た。息子に会ってくれって言われてた」


 道路脇に散らばっていた測量道具が浮かんだ。


「南東で見つけた時、まだ間に合う距離だった。人型がエーベルの方を向いて、俺も動いた。あと一歩出れば届くと思ったのに、脚が動かなかった」


 エルンストは黙って聞いている。


「あの時までに使いすぎてたのは分かってる。最初に追わなかった理由も分かってるし、報告でも判断に問題はなかったって言われた」


「なら、それ以上何がある」


 顔を上げた。


「結果だよ」


「結果?」


「正しい判断だったって言われても、人が死んだ事実は消えないだろ」


「当たり前だ」


 その言い方に、はっきり腹が立った。


「簡単に言うなよ」


「何が簡単なんだ」


「お前はそこにいなかった」


 エルンストの目つきが変わる。


「お前は見てないだろ。あと一歩で助けられると思った相手が、目の前で死ぬところを」


「だから?」


「だから、正しかったで終われるわけないって言ってる」


「誰が終われって言った」


「さっきからそう聞こえる」


「お前が勝手にそう聞いてるだけだ」


「じゃあ何なんだよ」


 気づけば声が大きくなり、廊下を通っていた足音が一度止まった。


 それでもエルンストは引かなかった。


「さっきからそればっかりだな。もっとやれた、もっとできたって」


「実際できたかもしれない」


「じゃあ何だ。脚が潰れてなきゃ全員助かったのか。お前がもう一人いれば、西も東も死人は出なかったのか?」


「極端な話にするな」


「極端にしてるのはお前だろ」


「俺は他の戦区の話をしてない!」


「同じだ!」


「同じじゃない!」


 俺も立ち上がりかけ、椅子の背へ手をかけた。


「俺はあいつを一度逃がしてる。最後も目の前にいた。だから俺の話だって言ってるんだ」


「そうやって全部自分の話にするから腹が立つんだよ!」


 エルンストも身体を起こそうとしたが、反射的に左でも支えようと肩が動き、その瞬間に顔を歪めた。


「おい」


「触るな」


 伸ばしかけた手を止める。


 呼吸が戻るまで待ってから、エルンストは俺を睨んだ。


「あの夜、お前が見たのは死んだそいつだけじゃねぇだろ」


「当たり前だ」


「だったら、そいつ一人で全部決めるな」


「一人じゃない。ほかにも死んでる」


「分かってる。けど今、お前が見てるのはそいつだろ」


 言葉に詰まった。


「だから何だよ。知ってる人間なら重く感じるのがおかしいのか」


「そんなこと言ってねぇよ」


「じゃあ何だ」


「そいつが目の前で死んだからって、あの夜のお前がやったこと全部まで間違いにするなって言ってんだ」


「してない」


「してるだろ」


「してない!」


「じゃあ最初に追わなかったことまで間違いみたいに言うな!」


「俺は――」


「追わなかった時、何を見てた」


「避難路だよ」


「人がいたんだろ」


「いた」


「だったら、その時のお前はそっちを選んだ。それだけだ」


「それだけで済むかよ!」


「済むなんて言ってねぇ!」


 一瞬、どちらも黙った。


 エルンストの右手が掛け布を強く掴む。


「死んだ奴のことは気にしろ。忘れたくねぇなら忘れるな。俺だって助けられなかった奴はいる」


 声は荒いままだった。


「でも、お前が関わったのは死んだ奴だけじゃねぇだろ」


 そこで何を言われるのか分かって、余計に腹が立った。


「お前のことか」


「そうだよ」


「腕なくしてるだろ」


「だから何だ」


「だから――」


「勝手に決めるな!」


 戦場で聞いたのと同じ声だった。


「俺は生きてる。剣は一本砕けた。腕もねぇ。これからどうするかなんて、まだ俺にも分からねぇ。それでも、今ここにいる」


 返す言葉が出なかった。


「お前が逃したやつに殺された奴がいる。それは消えねぇ。知ってる奴が目の前で死んだなら、好きに悔やめ」


 エルンストは俺から目を逸らさなかった。


「けど、救った命までなかったことにするな。俺は、お前が来なきゃ死んでた」


 言葉は刺さった。


 それでも、そのまま頷く気にはなれなかった。


「じゃあ、お前は納得してるのか」


「何に」


「その腕だよ」


 エルンストの顔が固まる。


「あそこで左を出したのは、死なないために必要だったんだろ。正しい判断だったなら、腕を失ったことももう納得できるのか」


「できるわけねぇだろ」


「なら俺も同じだ」


 今度はエルンストが黙った。


「頭で分かってるのと、納得できるかは違う。追わなかった理由も、脚が動かなかった理由も分かってる。それでも、人が死んだ結果まで全部飲み込めるわけじゃない」


 しばらく、どちらも口を開かなかった。


 窓の外を荷車が通り、石畳を車輪が擦る音が遠ざかっていく。


 やがてエルンストが大きく息を吐いた。


「……それなら最初からそう言え」


「言ってただろ」


「全部自分のせいだって言ってるように聞こえた」


「全部なんて言ってない」


「さっきのお前見てりゃ――」


「もういい」


 遮ると、エルンストは少しだけ口元を緩めた。


「やっと戻ったな」


「何が」


「いつものお前に」


「やっぱり腹立つな、お前」


「お互い様だ」


 苛立ちはまだ残っていたが、さっきまでのように喉元までせり上がってはいなかった。


「で、次も同じならどうする」


 エルンストが聞いた。


 すぐには答えられない。


 統制体の白い光と、その先にいた避難民を思い出す。あそこで俺が抜ければ、ガルドたちの負担が増えていた。


「……多分、追わない」


「だろうな」


「でも、次は逃がさない方法を考える」


「それは好きにしろ」


「お前もな」


「何が」


「右一本でどうするか」


 エルンストが睨んだ。


「まだ続けるとは言ってねぇ」


「まだ辞めるとも言ってない」


「人の言葉使うな」


「そっちも散々使っただろ」


 しばらく睨み合った末、どちらからともなく視線を外した。戦ったわけでもないのに、模擬戦の後より妙に疲れている。


「もう帰れ」


「面会時間か?」


「俺が疲れた」


「それは悪かった」


「次に来る時は何か持ってこい」


「欲しいものないって言っただろ」


「手ぶらで来られると、本当に見舞いなのか分からねぇ」


「果物でいいか」


「甘すぎるのは嫌いだ」


「注文多いな」


「帰れ」


 椅子を戻して扉へ向かうと、背後から呼び止められた。


「アレン」


 振り返る。


「……次にやる時まで、勝ったつもりでいるなよ」


「まだ一敗のままだよ」


「ならいい」


 それだけ言うと、エルンストは枕へ頭を戻した。


     *


 神殿へ戻った頃には、日が傾き始めていた。


 宿泊区画へ向かう途中、中庭へ続く扉の近くにフィアナがいた。治療から戻ったところなのか、結んでいた青いリボンを直しながら、こちらに気づいて顔を上げる。


「おかえり」


「ただいま」


「エルンストさんのところ、行ってたんだよね」


「ああ」


「どうだった?」


 腕がなくなっていたことも、剣が砕けていたことも、これからどうするかまだ決めていなかったことも話せる。


 それなのに、いちばん頭に残っているのは、途中から互いに声を荒げてぶつけた言葉だった。


「元気ではあったよ。途中で喧嘩したけど」


「喧嘩?」


 フィアナが目を丸くする。


「アレンが?」


「なんで俺だけ驚かれるんだ」


「だって、アレンってあんまり人と喧嘩しないから」


 言われてみれば、その通りだった。


「エルンストさんと何を話したの?」


 すぐには答えられなかった。


 エルンストの言っていたことは分かる。自分が言い返したことも、まだ間違っているとは思えなかった。


 それでも、あの道路で動かなかった左脚の感触も、倒れたエーベルの姿も消えてはいない。


「……フィアナ」


「うん」


「前に話した、俺の前の人生のこと、覚えてるか」


 フィアナの表情が少し変わった。


「覚えてるよ」


「その時のことで、まだ話してないことがある」


 周囲には何人か人がいた。


 フィアナは一度だけ廊下の向こうへ目をやり、それから俺へ視線を戻す。


「話したい?」


 その聞き方に、少しだけ迷った。


「……たぶん」


「じゃあ、聞くよ」


 理由も内容も先には尋ねず、フィアナは中庭へ続く扉を開いた。


 俺は、そのあとに続いた。

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