第133話 急使
朝食を終えた頃、盟主居館から使いが来た。
イシュラが俺たちに話したいことがあるらしい。できれば六人揃って来てほしいとのことだったが、使いの兵は詳しい用件までは知らされていなかった。
評議会が終わってからも各氏族の動きについては報告を受けていたが、全員が居館へ呼ばれるのは珍しい。俺たちは支度を済ませ、宿の警備についていた兵二人とともに高台へ向かった。
居館に着くと、前室で待っていたヴァレクが俺たちを迎えた。卓には北方の街道図と数通の書状が広げられ、廊下では書類を抱えた役人が行き交っている。
「何かあったのか」
「ああ。ハインツの護衛が一人、昨夕戻った」
リーネが顔を上げた。
「ハインツって、内陸を調べていた使徒の人よね」
「そうだ。帰還の途中で襲撃された。護衛の一人が報告書を持ち帰ったが、ハインツ本人と残りの三人は戻っていない」
「襲撃だと?」
ガルドが眉を寄せた。
「どこの連中がやったんだ」
「カシュラ側の関与を強く疑っている。今のところ、襲撃者の所属を確定できる証拠はないがな」
ヴァレクは卓に広げた地図の一角を指した。
「ハインツが調べていたのは、カシュラに協力する氏族の戦士団と物資の動きだ。帰還する街道で待ち伏せを受け、武装した集団に退路を塞がれた。逃げた護衛には、別の二人が追跡をかけている」
「報告書を奪うためか」
「その可能性は高い。ハインツが何を調べていたか、相手に知られていたとしてもおかしくない」
襲撃地点は北方内陸から盟都へ戻る道の途中だった。険しい山道で待ち伏せるだけでも準備が要るだろうし、経験のある護衛を連れた使徒を相手に、逃走者まで追いかける者を用意している。
偶然出くわした盗賊の仕業とは考えにくかった。
「捜索は?」
「昨夜、隊を出した。襲撃地点は絞れているが、現場へ入るのは明るくなってからだ。まだ新しい知らせはない」
ヴァレクは地図を畳み、俺たちを奥へ案内した。
ハインツ本人とはほとんど面識がない。だが、ヴァレクが内陸の動きを調べている使徒だと話していたのは覚えている。
その調査がようやく終わり、帰ってくるはずだったのに、今は行方さえ分からないという。
*
執務室ではイシュラとメイラが待っていた。
卓上には北方各地の地図が広げられ、氏族の領域や街道に幾つもの印がついている。俺たちが席に着くと、イシュラはハインツの報告書を手に取った。
「ヴァレクから襲撃の話は聞いたと思う。ハインツが持ち帰らせた情報についても説明しておこう」
報告書には、カシュラに近い氏族で進められていた戦士団の配置変更と、食料、飼料、武具の集積状況が記されていたという。
軍備の増強が進んでいること自体は、すでにヴァレクから聞いていた。だが、ハインツが複数の地域を回って調べたことで、それまで別々に把握していた動きの間に、いくつものつながりが見えてきたらしい。
「私が各地で集めた情報とも、かなり重なっています」
メイラが地図の一角を示した。
「戦士団の配置を変えた氏族と、食料や武具が運び込まれている地域が一致しています。評議会で離反が宣言されるより前から、準備が進められていたようです」
「ベルガンが主力をまとめているという話とも合うな」
オスカーが言うと、ヴァレクが頷いた。
「ああ。主力がどこに集結するかまでは分かっていないが、ベルガンの指揮下で連携して動く準備をしていると考えている」
「ゼインが盟都に来てる間も、向こうじゃ着々と進めていたわけか」
ガルドが腕を組んだ。
ゼインは評議会での採決が終わると、その場で連合からの離反を宣言した。あれほど迷いなく決断できたのも、すでに軍事的な準備を進めていたからだと考えれば辻褄が合う。
「それで、ハインツさんが狙われたんでしょうか」
俺が尋ねると、イシュラは頷いた。
「そう考えるのが自然だ。カシュラ側の軍備を調べていた使徒が、その帰路で組織的な襲撃を受けた。評議会での決裂直後という時期も重なっている」
「誰が命じたかまでは分からないんですね」
「ああ。ただ、カシュラ側にハインツの報告を阻止する動機があるのは確かだ。襲撃に加わった戦士たちの特徴も、カシュラに協力する氏族と矛盾しない」
イシュラは地図に目を落とした。
「現場を調べて証拠を集める必要はある。だが、警戒や防衛の判断まで先延ばしにするつもりはない」
メイラが続けた。
「ニールの証言では、街道を塞いだ戦士たちとは別に、軽装の二人が追跡してきたそうです。役割を分けて動いていた可能性が高いでしょう」
「使徒を狙うために、そこまで用意してたってことか」
ガルドが低い声で言った。
「単に兵を集めてるだけじゃねえな」
俺も同じことを考えていた。
ラウネを襲った時も、カシュラの部隊は集落への攻撃と施設の占拠を分担していた。戦士団を率いる者がいて、その目的に合わせて動く部隊がある。
今度の襲撃もカシュラ側の仕業だとすれば、使徒一人を狙うために人員を割くことまで考えているわけだ。
「ラウネへ向かう街道は、今のところ安全なのでしょうか?」
リーネが尋ねると、メイラは南側の街道を指した。
「同じような襲撃は、今のところ報告されていません。ただ、支援物資の輸送が始まっていますので、護衛の配置は見直しているところです」
「第一便は、その後どこまで進んだか分かっていますか?」
「途中の宿場に入ったところまでは確認しています。その先については、まだ報告が届いていません」
リーネは頷いたものの、地図から目を離さなかった。
ラウネでは施設の封鎖も防柵の修理も終わっていない。グレンの左腕もまだ十分に回復していなかったし、ヴァルドは住民の安全と施設の警戒を両立させなければならない。
そのうえ輸送路まで脅かされるとなれば、集落の負担はさらに大きくなるだろう。
イシュラは俺たちの顔を見回してから、卓に置かれた別の書状を手に取った。
「王国へ、正式な要請を送ることにした」
セレナが顔を上げる。
「和平協議についてですか?」
「それも含む。正式和平の早期妥結を求めるとともに、軍事同盟の締結と緊急の救援を要請する」
俺は思わずイシュラを見た。
王国と北方諸族連合は、国境の街で正式な和平協議を始めるところまで合意している。しかし、長く敵対してきた両者が軍事同盟を結ぶとなれば、それだけで大きな政治的決断になるはずだった。
「そこまで踏み込むのか」
オスカーの問いに、イシュラは頷いた。
「ああ。カシュラの軍備が整いつつある以上、こちらも備えを急ぐ必要がある。和平の成立を待ってから救援を求めていては間に合わん」
「王国軍を北方へ派遣するとなれば、向こうの判断も必要だろう」
「もちろんだ。レオポルト王と王国側の承認が要るし、こちらも受け入れる地域や氏族との調整を進めなければならん。評議会で可決された基本方針だけで、軍の越境まで認められるわけではない」
そこでオスカーが、地図から顔を上げた。
「王都はあれだけの被害を受けて、まだ復旧も終わってねえ。何千人もの犠牲者が出たうえに、街の守りにも人手が要る。そこから兵を割くとなれば、簡単には決められねえぞ」
その言葉に、王都の光景が頭をよぎった。
崩れた建物と道路を塞ぐ瓦礫。市街に入り込んだ黒い獣と、それを食い止めようとしていた兵士や冒険者たち。火災の消火や負傷者の搬送も、各地で同時に進められていた。
俺たちが王都を離れた時も、被害の大きかった区画では復旧作業が続いていた。亡くなった人たちのことも、まだ見つかっていない人たちのことも、忘れられるはずがない。
「王国にも事情があるのは分かっている」
イシュラは答えた。
「だが、カシュラが古代施設を利用しようとしている以上、北方だけの問題として扱えるものではない。ラウネで起きたことを考えれば、王国にとっても無関係では済むまい」
「そいつは確かだな」
オスカーは頷いた。
「まず状況を知らせて、何ができるか判断してもらうしかねえ。王都に残ってる連中も、あの施設がどれだけ厄介かは知ってるからな」
ヴァレクが書状の控えを開いた。
「盟都から王都までは、優先伝令でも十日前後かかる。王国側で内容を検討し、返答を寄越すまでにはさらに時間が必要だ。その間にこちらの状況も変わるだろう」
十日かけて届いた報告に、王国がすぐ返事を出せるとも限らない。
軍を派遣するとなれば、その後に兵の編成や物資の準備も必要になる。どれだけ急いでも、今すぐ援軍が到着するような話ではなかった。
「王国へは、評議会の結果とカシュラ側の軍備の状況を伝える」
イシュラが続けた。
「ハインツの報告も必要な範囲で添えるつもりだ。ゼインが盟都の市街でアレンたちを連れ去ろうとした件についても、正式な記録を送る」
「それなら、俺たちの証言も使ってください」
俺が言うと、ヴァレクが頷いた。
「警備側の記録はすでにある。出発前に内容を確認してもらいたい」
「分かった」
「神殿にも知らせてもらえますか?」
フィアナが尋ねた。
「私が見たことも、必要なら報告に加えてほしいです」
「そうしよう。王国への要請とは別に、神殿にも連絡を取る」
イシュラはそう答えると、書状をヴァレクへ渡した。
「急使は今日中に出したい。国境での取り次ぎも頼む」
「ああ。準備は進めている。証言の確認が済み次第、送り出せる」
ヴァレクが書類をまとめ始め、メイラも協力氏族への連絡を確認しようとしていた。
俺は少し考えてから、イシュラへ声をかけた。
「イシュラ様。俺たちにも、何か協力させてもらえませんか」
イシュラが手を止めた。
「協力というと?」
「護衛でも調査でも、今ここでできる仕事があると思うんです。俺たちは王国を代表して何かを約束できる立場じゃありませんが、冒険者としてなら動けます」
王国との交渉は、イシュラたちが進めるべき仕事だ。俺たちが口を挟んだところで、軍を動かせるわけではない。
ただ、ラウネでカシュラの部隊と戦い、施設の中で起きたことも見てきた。ゼインが俺たちを狙っている以上、盟都にいるから安全とも言い切れない。
それなら、できる範囲で力を貸したいと思った。
「ラウネには世話になりましたし、今も施設の危険が残っています。あの場所を守るためにできることがあるなら、手伝いたいんです」
イシュラはしばらく俺を見ていた。
「……これから先、カシュラとの争いがさらに激しくなるかもしれん。それでも構わないのか」
「危険があるのは分かっています。だからこそ、勝手に動くつもりはありません。必要な仕事を相談してもらえればと思っています」
そこでガルドが口を開いた。
「俺も構わねえぞ。隊商の護衛なら何度もやってるし、街道で面倒な連中に絡まれた時の対応も分かる。人手が足りねえなら言ってくれ」
「私も協力したいです」
フィアナが続けた。
「負傷した人たちの治療や、救護の準備なら手伝えます。ラウネでも治療師の方たちと一緒に働いていたので、必要なものを確認することもできると思います」
イシュラは彼女の方を向いた。
「フィアナはゼインに狙われた当事者でもある。救護に出てもらう場合も、安全を確保しなければならん」
「はい。そのことは分かっています」
リーネも身を乗り出した。
「私も協力します。ラウネの事情は分かっていますし、必要な物資についても相談できると思います。ただ、父さんから正式な返事が届くまでは、氏族としての判断を勝手に下すことはできません」
「それは助かります」
メイラが答えた。
「ラウネの受け入れ状況については、こちらも詳しい返事を待っているところです。現地で何が不足していたのか教えてもらえれば、追加の支援を検討する際にも役立ちます」
セレナは地図に記された街道と氏族の領域を見比べていたが、やがて顔を上げた。
「私も調査を続けたいわ。カシュラが古代施設を利用しようとしているなら、軍の動きと施設の位置には関係があるかもしれない。王都とラウネで得た記録も使って、確認してみたいの」
「それについては、こちらからも相談したいことがある」
ヴァレクが答えた。
「ハインツの報告には、まだ確認の必要な地域が幾つか残っている。古代施設との関係があるかどうか、調べる価値はあるだろう」
「ええ。地図と記録を見せてもらえるなら、私の方でも確かめてみるわ」
最後にオスカーが腕を組んだ。
「俺も力は貸すぜ。ただ、王国軍を動かす話は別だ。俺にはその権限はねえし、陛下たちの判断が要る」
「分かっている」
「俺個人としてなら、護衛や防衛の相談には乗れる。ゼインの腕も見てるからな。あいつが出てきた時に、どう戦力を動かすか考えることもできるだろ」
イシュラは六人を見渡した。
「……ありがたい申し出だ」
少し間を置いてから、言葉を続ける。
「だが、皆に無理をさせるつもりはない。盟都の警備には直属の兵がいるし、各氏族にもそれぞれ戦士団がある。お前たちの力が必要な仕事を選んで頼みたい」
「それで構いません」
俺が答えると、ヴァレクが地図を引き寄せた。
「まずラウネ方面への輸送だ。第一便はすでに出ているが、追加の支援物資も準備している。街道の警戒を強める必要がある以上、護衛の編成を見直したい」
「次の便について相談するってことか」
ガルドが尋ねた。
「ああ。輸送担当者と警備隊の責任者を交えて話したい。実際にラウネまで通ったお前たちの意見も聞いておきたい」
「そいつなら任せてくれ」
ガルドが頷くと、オスカーも地図へ身を乗り出した。
「荷車の数と護衛の人数が分かれば、組み方も考えられる。道の狭い場所じゃ、人数を増やせばいいってもんでもねえからな」
「そうだな。詳細は担当者にも確認してもらう」
ヴァレクは続いて俺とセレナへ目を向けた。
「古代施設に関する調査も進めたい。カシュラの戦士団がどこへ兵を動かしているのか分かれば、関連する記録がないか確かめられるだろう」
「分かった。セレナと相談して、必要な資料を揃えておく」
「お願いするわ」
セレナも頷いた。
フィアナには救護物資の確認を、リーネにはラウネとの連絡について協力を求めたいという話になった。それぞれの仕事を進めるうえで、誰に確認を取ればいいかも教えてもらえることになった。
軍を動かすような大きな判断は、俺たちにはできない。だが、今いる場所からでも、手を貸せることはありそうだった。
*
会議が終わると、俺たちは別室でゼインの連行未遂について記録を確認した。
警備兵がまとめた報告には、ゼインが俺たちに何を要求し、どのように武器を抜いたのかが記されている。俺とリーネがその場で答えた内容も残っていたので、細かな表現を確かめながら、必要な箇所だけ補足した。
オスカーが到着してからの経緯は本人に確認してもらい、フィアナも自分が聞いたことを伝えた。
書記が修正した内容を読み上げ、俺たちが確認を終えると、王国へ送る写しが用意された。
中庭へ出た頃には、急使の出発準備も整っていた。
馬が二頭用意され、革袋や替えの外套が鞍に取り付けられている。伝令を務める兵たちは経由地と交代の手順を確認し、荷の重さを確かめていた。
ほどなくヴァレクが現れ、封印された書状を先頭の兵へ渡した。
「王国への要請書だ。国境から先の取り次ぎは手配してある。受領の記録を確実に残せ」
「承知しました」
「道中の状況が変わっていれば、無理に予定の道を通るな。こちらへの連絡が必要になった場合も、経由地の担当者を使え」
伝令は頷き、書状を革袋へ収めた。
俺たちが見守る中、二人は馬に乗り、居館の門を抜けて坂を下っていった。
「王都に届くのは、十日くらい先だったな」
「ああ。返事が戻るまでには、まだ時間がかかる。王国側も、派兵の可否を含めて検討しなければならん」
ヴァレクはそう答え、伝令の姿が見えなくなるまで街路の方を眺めていた。
王都では、今も多くの人が復旧作業に携わっているはずだ。崩れた建物を片づけ、道路を直し、負傷者の治療を続けながら、残された人たちの生活を立て直そうとしている。
レオポルト王が北方への救援をどう判断するかは分からない。クラウディアやアルノルトたちも、王都の守りを考えなければならないだろう。
それでも、カシュラが古代施設を利用しようとしているなら、いつか王国にも危険が及ぶかもしれない。王都で経験した災害を思えば、北方で何が起きているのかを知らせる意味は大きいはずだった。
「ラウネへの連絡も、今日出るの?」
リーネがヴァレクへ尋ねた。
「すでに手配している。ハインツの襲撃と、各地で確認された軍備の動きを知らせるつもりだ。支援物資の護衛についても伝える」
「分かった。父さんから返事が来たら、私にも知らせてね」
「ああ」
メイラが書類を抱えて中庭へ出てきた。
「皆さん、ちょうどよかったです。輸送担当者と警備隊の責任者が、午後には時間を取れるそうです。打ち合わせに参加していただけますか?」
「俺は大丈夫だ」
ガルドが答えると、オスカーも頷いた。
「荷の内容も見せてもらえるか?」
「ええ。準備している便については、数量も確認できるようにしておきます」
「なら話が早い。必要な護衛の人数も、そこで見当をつけられるだろ」
ガルドが言うと、メイラは手元の書類を確かめた。
「実際の編成は輸送担当者と警備隊の責任者に決めてもらうことになりますが、皆さんの意見も伺いたいと思っています。ラウネへの道を実際に通ってきた方々ですから」
俺たちは午後に集まる時間を確認し、いったん宿へ戻ることにした。
坂を下り始めると、セレナが俺の隣へ来た。
「アレン、ヴァレクが言っていた地図、少し気になるわね」
「戦士団の配置か?」
「ええ。古代施設の所在地と重ねてみたいの。ラウネのように、施設を利用するために兵を動かしている場所があるかもしれないでしょう」
「確かにな。あの連中はラウネの施設を占拠しようとしていたし、ほかでも同じことを考えていておかしくない」
「そうなのよ。ハインツの報告に出てきた集積先が分かれば、周辺の記録も調べられると思うわ」
セレナは早くも、どの資料を使うか考えているらしい。今まで集めてきた北方の施設記録に、ハインツの調査結果を加えれば、何か見つかる可能性はある。
「宿に戻ったら、必要なものを探そう。ヴァレクにも、どの地図を使わせてもらえるか聞いておく」
「ええ。午後の打ち合わせが終わったら、史料庫にも寄りたいわね」
そう話している間に、前を歩いていたガルドとオスカーは、荷車の護衛に必要な人数について相談し始めていた。
リーネは二人の話に耳を傾けながら、ラウネへ向かう街道の状態を補足している。フィアナも、輸送する薬や治療用の布について確認しておきたいことがあるようだった。
宿に戻ると、昼食にはまだ少し早かったので、俺たちは午後の打ち合わせに備えて手元の資料を揃えることにした。
セレナは持ち帰っていた施設の記録を確かめ、俺もラウネで見た区画の位置を地図で追った。王都の地下で確認した表示や、ラウネの装置に残されていた記号についても、必要なものをすぐ取り出せるようにしておく。
ガルドたちは街道図を広げ、ラウネまでの道で荷車が通りにくそうだった場所を思い出しながら印をつけていた。
ヴァレクから新しい報告が届けば、調べる場所も変わるかもしれない。俺はセレナが示した地名を手元の紙に書き写し、午後の打ち合わせで確認したいことを一緒にまとめていった。




