第128話 離反
休憩を終えて議場へ戻った時には、代表たちの間で続いていた話し合いも、ひとまず区切りがついたようだった。
近くの席へ集まっていた者たちがそれぞれの場所へ戻り、卓上に広げた書類を確かめている。中央の議長席では、イシュラがメイラと何かを相談していたが、書記から新しい書類を受け取ると、短く頷いて自分の席へ戻った。
俺たちも午前中と同じ場所に腰を下ろした。長く座っていたせいか、右膝には鈍い痛みが残っている。隣のフィアナがこちらを見たので軽く頷くと、彼女は何も言わずに俺の足元へ置かれた荷物を寄せ、脚を伸ばせるようにしてくれた。
やがて書記が議事の再開を告げ、議場の話し声が収まっていった。
「休憩の間にも、各氏族から意見を聞いた」
イシュラは代表たちを見渡した。
「交渉の条件については、かなりの部分で考えが一致している。王国軍の越境を認めないこと、氏族の領地や施設へ立ち入る際には承認を要すること、国境での紛争に備えて双方の責任を明確にすること。これらは今後の協議に反映させる」
書記たちが手元の控えを確かめ、何人かの代表が頷いた。
「古代施設の扱いについても、現地の自治権を尊重しながら、監視と安全確保に必要な協力を進める方針だ。費用や人員の分担については、各氏族の実情を調べたうえで改めて協議する」
イシュラは一度言葉を切った。
「だが、王国との交渉を継続すること自体に反対する者もいる。古代施設についても、連合として安全上の制約を設けることは認められないという意見が残った」
そこで議場の一角へ視線を向ける。
「ゼイン。休憩の間にも各氏族と話したはずだ。考えは変わらんか」
ゼインは椅子の背に身体を預けたまま、片肘を卓上に置いていた。
「何度聞いても同じだ。カシュラは王国との和平に応じねえ。施設の研究も続ける」
「今後、どのような条件が示されてもか」
「人間どもとの和平を前提にする時点で、話にならねえだろうが」
イシュラはしばらくゼインを見据えていたが、それ以上は問いかけなかった。
前の席では、年配の代表が隣の者と何かを話し、手元の書類を閉じた。午前中には和平へ強く反発していた人物だったが、休憩中の協議で条件の一部を受け入れたらしく、今は静かに議長席を見ている。
一方、ゼインに近い席では、誰も新たな発言を求めようとしなかった。
「本来なら、さらに協議を続けたいところだ」
イシュラが再び口を開いた。
「だが、王国との交渉はすでに始まろうとしている。各地の古代施設についても、監視や封鎖に必要な支援を待っている氏族がある。連合の方針を定めぬまま、いつまでも判断を先送りにはできん」
議場の空気が引き締まった。
「これまでの協議で、双方の主張は十分に聞いた。諸族評議会の定めに従い、これより採決を行う」
代表たちの間から、低い声が上がった。
北方の評議会では、意見がまとまらない場合に多数決を用いることが認められている。ただ、イシュラは可能な限り合議による決定を求めてきたらしい。昨夜ヴァレクから聞いた話でも、これほど大きな問題を採決にかければ、その後の氏族間の関係まで変わりかねないという懸念があった。
イシュラ自身も、それを理解しているはずだった。
「採決するのは、王国との正式和平に向けた協議を継続し、古代施設の危険に対して連合として協力する基本方針だ。条約の批准や、各氏族の戦士団の動員を決めるものではない。具体的な条件は、今後の評議会で改めて扱う」
書記が決議案を読み上げ、議事録に記載する内容を確認した。
異議が出なかったところで、別の書記が立ち上がる。
「評議会の正規議席は五十七。今回、議決権を行使するのは五十三議席です。残る四議席は、欠席または委任権限の不足により投票に加わりません」
俺の隣で、リーネが膝に置いた書状を押さえた。
ハルヴァの議席も、その四つに含まれている。リーネがヴァルドから託されたのは、ラウネで起きたことの証言と氏族の意見表明までで、連合の基本方針について票を投じる権限は与えられていなかった。
本人もそのことは承知しているらしく、書記の説明を聞いて静かに頷いただけだった。
「では、始めよ」
イシュラの指示を受け、書記が議席を順に読み上げていった。
呼ばれた代表は、それぞれの席から賛否を告げる。
最初の数人は賛成が続いた。続いて国境に近い氏族が反対を表明すると、その周囲の席からも同じ答えが上がる。午前中に強く反発していた代表が賛成へ回った時には、近くの者が意外そうに顔を向けたが、当人は何も付け加えなかった。
書記は返答のたびに記録を取り、隣に控えた者が別の用紙で集計を進めていた。
しばらくして、カシュラ氏族の名が呼ばれた。
「反対だ」
ゼインは間を置かずに答えた。
書記が記録を終えると、彼は隣の代表へ何かを話しかけ、そのまま椅子へ深く座り直した。
採決は淡々と進んだ。
長く考え込んでから答える者もいたが、一度表明された票を覆そうとする声は上がらなかった。反対する代表たちも、採決そのものを妨げるつもりはないらしい。
最後の議席まで確認が終わると、二人の書記がそれぞれの集計を照合し、結果を議長席へ運んだ。
イシュラは受け取った紙に目を落とし、記載された数字を確かめてから顔を上げた。
「結果を告げよ」
書記が一歩前へ出た。
「有効投票五十三票。賛成三十二票、反対二十一票。賛成多数です」
議場に声が広がった。
安堵したように隣席と握手を交わす者がいる一方、反対票を投じた代表たちは厳しい表情で結果を聞いていた。賛成した者の中にも、素直に喜んでいるとは言い難い顔があった。
イシュラは議場が静まるまで待ち、それから決議案へ目を向けた。
「本議案は可決された。王国との和平交渉の継続、および古代施設の安全確保に向けた連合の共同方針を、諸族評議会の決議として採択する」
書記がその言葉を記録した。
イシュラは反対側の議席にも目を向け、今後の協議について話し始めようとした。
その時、椅子を引く音が響いた。
「決まったか」
立ち上がったのはゼインだった。
長い銀白色の髪を肩の後ろへ払い、周囲を見渡している。採決前から変わらない態度だったが、声が上がると、近くの代表たちは話すのをやめた。
「三十二対二十一。結構じゃねえか」
ゼインはイシュラへ視線を向けた。
「連合がその方針を選んだってんなら、好きに進めばいい」
イシュラは黙っている。
「だが、カシュラは従わねえ」
ゼインの声が、議場の奥まで届いた。
「王国との和平にも、古代施設の研究を制限する方針にも応じん。今日、この場で連合からの離反を宣言する」
議場が静まり返った。
それまで採決結果を確かめ合っていた代表たちも、一斉にゼインの方を見た。
「ゼイン」
イシュラが低い声で呼んだ。
「カシュラ氏族長としての正式な宣言か」
「ああ。記録に残せ」
短い返答だった。
イシュラは書記へ目を向けた。
「今の発言を、そのまま記録せよ」
筆を取る音が聞こえた。
次いで、議場の中ほどから声が上がった。
「我が氏族も、カシュラと行動をともにする」
毛皮の外套を羽織った壮年の氏族長が立ち上がっていた。
午前中から和平への反対を表明していた人物だったが、ここまで明確に離反の意思を示したのは初めてだった。向かい側の代表が何か言いかけたものの、男はそのままイシュラへ向き直った。
「氏族長として申し上げる。今後はゼイン殿の方針を支持します」
さらに二人の氏族長が立ち上がり、相次いで同調を表明した。
いずれも反対票を投じていた者たちだった。議場へ集まった時から互いに相談していたらしく、発言する順番にも迷いがない。
ゼインを含め、四つの議席から離反が宣言された。
それでも、反対した残りの代表たちは動かなかった。
議場には二十一の反対票があった。今立ち上がった者以外にもゼインの主張を支持していた代表は多いが、連合を離れるという決断には、誰もがすぐに踏み切れるわけではないようだった。
「待ってもらいたい」
奥の席から、年配の代表が立ち上がった。
「我々も和平には反対した。だが、連合から離脱するかどうかまで、この場で決められるものではない。氏族へ戻り、皆と話さねばならん」
ゼインはそちらを見た。
「だったら帰って話せ。俺は止めねえ」
「それで済む話か! このままでは――」
「お前の氏族のことだろうが。俺に聞くな」
ゼインはそれ以上相手をせず、卓上へ置いていた手袋を取った。
「ゼイン、まだ話は終わっていない」
イシュラの言葉に、ゼインは足を止めた。
「何だ。採決なら終わっただろ」
「離反の宣言は記録した。だが、連合を離れることで生じる問題は何も解決していない。各氏族が維持してきた街道も、交易も、防衛上の取り決めもある。お前がここで宣言したからといって、明日からすべてを放棄できるものではない」
「必要なことはカシュラで決める」
「ほかの氏族に関わることまで、一方的に決めるつもりか」
「そいつらも自分で決めりゃいい。俺たちと取引を続けたいなら続ければいいし、敵に回るなら相応の覚悟をしろって話だ」
ゼインは淡々と答えた。
その言葉に、議場の一角から怒声が上がった。
「それは脅迫ではないか!」
「そう受け取りたいなら構わねえぞ」
「ゼイン!」
イシュラの声が鋭く響いた。
ゼインが口を閉じると、彼女は立ち上がったまま、議場を見渡した。
「ここは諸族の意思を確かめる場だ。互いに敵意を煽ることは慎め。今日の決議に反対した氏族にも、今後の方針を考える時間は必要だ」
それまで声を上げていた代表たちも、次第に口を閉じた。
イシュラは再びゼインへ向き直った。
「お前の宣言については、連合の正式な記録に残し、関係する氏族へ通知する。私は離反の撤回を求めるが、ここで無理に意思を変えさせるつもりはない」
「なら、話は済んだな」
「盟都での襲撃については、調査を続ける。聖女フィアナとアレンを連れ去ろうとし、護衛を負傷させた件だ。離反を宣言したからといって、責任が消えるわけではない」
ゼインは俺たちの方へ一度だけ目を向けた。
昨日、剣を交えた時のことを思い出し、身体がわずかに強張った。右膝の痛みはまだ残っているし、あの距離で再び剣を抜かれれば、今の俺にできることはほとんどない。
だが、ゼインはすぐに視線を戻した。
「調べたきゃ調べろ。俺は何も隠しちゃいねえ」
「必要な確認には応じてもらう」
「……はっ」
ゼインは鼻を鳴らし、外套を肩へ掛けた。
そのまま出口へ向かおうとしたところで、入口近くに控えていた警備兵たちが動いた。剣に手をかける者はいなかったが、通路を塞ぐ形で数人が並び、責任者が議長席へ視線を向ける。
「盟主殿、このまま帰すのですか!」
別の代表が立ち上がった。
「連合からの離反を宣言したのですぞ。帰郷すれば兵を集めるかもしれん。今ここで身柄を押さえるべきではありませんか!」
賛同する声が上がったが、イシュラは首を横に振った。
「道を開けよ」
警備の責任者が姿勢を正した。
「よろしいのですか」
「私は、正式に招集した代表と随員の往復の安全を保障した。その約束をこちらから破ることはできん。盟都の警備は引き続き強化し、昨日の事件についても必要な調査を進めよ」
イシュラはそこで声を強めた。
「この場で新たな衝突を起こすことは許さん。帰還する者たちの安全を確保し、ほかの代表との接触にも十分注意するのだ」
「承知しました」
警備の責任者が部下へ指示を出すと、入口の兵たちが通路を空けた。
ゼインはその様子を眺めていたが、イシュラへ向き直ると口元をわずかに歪めた。
「最後まで自分の決めたことは曲げねえか」
「お前たちにも保障した約束だ」
「そうだったな」
ゼインは短く答え、議場を出ていった。
続いて、離反を表明した三人の氏族長も席を離れる。
彼らの一人が出口へ向かったところで、近くに座っていた代表が立ち上がった。
「本当に行くのか」
声をかけられた氏族長が足を止める。
「お前のところとは、長い付き合いだった。これからもそうだと思っていたんだが」
問いかけた代表は、それ以上の言葉を続けられなかった。
氏族長もすぐには返事をしなかったが、やがて小さく頭を下げた。
「世話になった。だが、決めたことだ」
それだけ告げると、彼は随員を伴って扉の向こうへ消えていった。
後に残された代表は、しばらくその場に立っていた。
誰も声をかけず、やがて男が席へ戻ると、議場には低い話し声が広がり始めた。
リーネが俺の隣で、何かを言いかけて口を閉じた。
「どうした?」
「あの人……」
彼女は今出ていった氏族長の席を見ていた。
「あの氏族の商人、ラウネにもよく来てたんだ。父さんとも付き合いがあるし、私も何度か話したことがある」
「そうだったのか」
「うん。冬に入る前には、いつも交易の話をしてたから……」
リーネはそこで言葉を止め、手元の書状へ目を落とした。
フィアナもその話を聞いていたが、何も言わなかった。
ラウネでは、ほかの氏族との交易で手に入れる物資も多い。道中の集落でも、北方の各地から運ばれてきた荷が市場に並んでいた。政治的な対立が深まれば、そうした往来にも影響が出るかもしれない。
リーネが心配しているのは、すでに顔を知っている人たちのことなのだろう。
その間にも、議長席ではイシュラが書記たちへ指示を出していた。
「離反を表明した四氏族の発言は、採決の記録と併せて各代表へ渡せ。まだ態度を決めていない氏族にも、正確に伝える必要がある」
「承知しました」
「各氏族へ帰還する使節の宿泊先と出発予定も確認しておけ。道中で争いが起きれば、今日の協議が終わった後まで影響が残る」
書記たちは手分けして記録をまとめ、警備の責任者も部下へ指示を伝え始めた。
イシュラは一通りの確認を終えると、残った代表たちへ向き直った。
「今日の決議は有効だ。王国との和平交渉は、連合の基本方針として継続する」
静かな声だったが、代表たちは揃って顔を上げた。
「ただし、カシュラが離反を宣言した以上、各地の安全については改めて確認しなければならん。自領へ戻った後も、周辺の氏族と連絡を取り合ってほしい。街道の通行や物資の輸送に支障が出た場合には、速やかに盟都へ報告してくれ」
中ほどの席から、代表の一人が手を上げた。
「兵を集める必要があるということでしょうか」
「現時点で共同動員を決めるつもりはない。各氏族の守備状況を確認し、必要な備えを整えてほしい。連合として兵を動かす場合には、改めて判断する」
「ゼイン側が先に動いた場合は?」
「各地の情報を集め、状況に応じて対応する。自治領での守備まで止める理由はないが、周辺の氏族と連絡を取らずに軍勢を動かすことは避けてもらいたい」
代表は頷いた。
ほかにもいくつか質問が出たが、イシュラはその場で答えられるものを確認し、個別の協議が必要な案件は担当者へ引き継いだ。
やがて議場が落ち着いたところで、正式な閉会が告げられた。
代表たちは次々に席を立ち、持参した書類や荷物をまとめ始める。
朝には隣席の者と激しく言い争っていた代表が、帰り際に相手へ声をかけている姿もあった。協議の結果に納得していない者もいるはずだが、長い付き合いのある氏族同士なら、今日の賛否だけですべてを決められるわけでもないのだろう。
俺たちも帰り支度を始めた。
フィアナは荷物をまとめながらリーネに話しかけ、セレナは持参した資料を確かめている。ガルドとオスカーは出口近くに立ち、廊下へ出ていく代表たちの様子を見ていた。
そこへヴァレクが近づいてきた。
「リーネ。イシュラ様から伝言だ」
「はい」
「今日の採決と離反宣言については、盟都からヴァルドへ正式な報告を送る。お前も父親へ伝えたいことがあるなら、私信を用意しておけ。使者の手配は引き受ける」
「分かりました。ありがとうございます」
リーネは頷き、書状を抱え直した。
「父さんには、早く知らせたいです。周辺の氏族にも関わることなので」
「ああ。すでに各地で小規模な衝突が起きている。ハルヴァの守備も含め、状況を確かめる必要がある」
ヴァレクはそこで俺たちへ目を向けた。
「お前たちは宿へ戻れ。必要な報告があれば、こちらから人を出す」
「分かった」
「アレン、膝はどうだ」
「まだ痛むが、歩く分には問題ない。急に動かなければ大丈夫だ」
「なら、今日は休め。昨日の件もある。街へ出る時は護衛から離れるな」
「ああ。気をつける」
ヴァレクは短く頷くと、議長席へ戻っていった。
その先ではメイラが書記たちと帰路の連絡を確かめており、イシュラも残った代表の一人と話し込んでいた。閉会した後も、彼女たちにはまだ多くの仕事があるらしい。
「アレン、行ける?」
フィアナが荷物を肩へ掛け、俺を見た。
「ああ。そろそろ戻ろう」
椅子から立ち上がると右膝に少し痛みが走ったが、体重をかける位置を変えれば歩けそうだった。フィアナは俺の様子を確かめてから、隣を歩き始めた。
リーネはまだ議場の中を見ていた。
ゼインの席は空になり、その近くにも、立ち去った三人の氏族長が使っていた椅子が残っている。彼らの前に置かれていた書類はすでに片づけられ、書記が卓上を確認していた。
「……父さんに、何て書こうかな」
リーネが呟いた。
「今日決まったことは、公的な報告で伝わるんだろ?」
「うん。でも、あの氏族が離反したことは、私からもちゃんと伝えたい」
彼女は少し考え、それから書状を胸元へ抱え直した。
「宿に戻ったら書く。帰りの使者に間に合わせたいから」
「分かった。必要なら、俺も手伝う」
「ありがとう。でも、自分で書くよ」
リーネは小さく笑い、出口へ向かった。
廊下へ出ると、代表たちの随員が迎えに来ており、宿へ戻る一行や伝令を探す者で混み合っていた。出発の予定を相談する声に交じって、荷馬車をどこへ回すか指示する声も聞こえる。
門の外では、帰途につく準備を整えた馬車が何台か並んでいた。
まだ議場に残っている代表もいる。明日出発する者もいれば、盟都に留まってほかの氏族と協議を続ける者もいるのだろう。
俺たちが階段へ向かう途中、背後から複数の足音が聞こえた。
振り返ると、午前中に和平への反対を表明していた年配の代表が、随員を連れて廊下を歩いてきた。彼は俺たちの少し手前で立ち止まり、別の氏族の代表に呼びかけた。
「帰ったら、長たちを集めて話すことにする。今日の決議も、ゼインの宣言も、そのまま伝えなければならん」
「ああ。うちでも同じだ」
「結論が出たら連絡を頼む」
「分かった。道中、気をつけてな」
二人は握手を交わし、それぞれの随員と歩き始めた。
リーネもその様子を見ていたが、特に何も言わず、俺たちとともに階段を下りていった。
高台から見える盟都の通りでは、いつもどおり荷車が行き交い、市場へ向かう人々の姿があった。
俺たちは往来を避けて道の端を歩き、宿のある市街へ向かった。




