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第106話 手の届くところ

「布はそのまま押さえていて。私が出血を止めるから」


 石造倉庫に運び込まれた戦士は、脇腹を深く切られていた。


 防柵の内側へ退く途中で敵の刃を受けたらしく、搬送してきた戦士が傷口を圧迫していたものの、敷いた布にはまだ血が広がっている。意識はあるが呼吸は浅く、額には冷たい汗が浮かんでいた。


 私は傷の周囲へ手を添え、治癒魔法を集中させた。


 まず出血を抑え、傷ついた血管を修復してから、深い部分へ少しずつ魔力を送る。戦士は何度か苦しそうに身体を動かしたが、そばにいた手当て役が肩を支えてくれたおかげで、治療を続けることができた。


「もう少しだよ。ゆっくり息をして」


 やがて傷口から新しい血が滲まなくなり、戦士の呼吸も少し落ち着いた。内側の損傷は残っているものの、命に関わる出血は止められたはずだった。


「しばらく動かさないでね。痛みが強くなったり、また血が出たりしたら、すぐ呼んで」


 戦士が頷くのを見届け、私は手当て役へ包帯の交換を頼んだ。


 倉庫の中には、すでに何人もの負傷者が横たわっている。


 腕を射られた人、脚を切られた人、頭を打って意識がはっきりしない人。自分で歩ける人は壁際に座り、重傷者には奥の寝台を使ってもらっていたが、それでも場所が足りなくなり始めていた。


 ハルヴァの手当て役たちは、装備を外し、傷を洗い、包帯を巻いている。私は出血が止まらない人や、呼吸に問題のある人を優先して診ていた。


 一人の傷を完全に治すまで魔力を使えば、その人は早く回復できるかもしれない。けれど、次に重傷者が運ばれてきた時、治療する力が残っていなければ助けられなくなる。


 まだ痛みに耐えている人を残して次へ移るのは苦しかったが、手当て役たちと相談しながら、必要な治療を分けて進めていた。


「フィアナ、担架が来る!」


 入口に立つ戦士の声で顔を上げると、盾を持った二人が外を確かめ、家屋の陰から運ばれてきた担架を倉庫へ通していた。


 横たわっていたのは若い戦士で、左肩に矢を受けている。


「矢は抜いてない。動かすと血が増える」


 搬送してきた戦士の説明を聞き、私は傷の位置と出血の程度を確かめた。矢は肩の外側に刺さっており、指先は動かせている。痛みは強そうだが、意識も呼吸も安定していた。


「今すぐ抜くと傷を広げるかもしれない。矢が動かないよう固定して、少し待ってもらって」


 手当て役の女性が頷き、布と添え木を用意する。


 私は処置の準備を頼んでから奥の寝台へ向かった。


 倉庫の一角には布で仕切られた場所があり、北の防柵で亡くなった戦士が安置されていた。運び込まれた時にはすでに息がなく、私にもできることは残っていなかった。


 家族への知らせは、まだ届いていないという。


 仕切りの向こうには血のついた装備がまとめられ、別の布で覆われていた。


 その前を通って先ほど治療した戦士の状態を確かめると、脇腹の包帯に新しい血は滲んでおらず、呼吸も落ち着いていた。


 倉庫の外では、まだ戦闘が続いている。


 北側の防柵からは木材を打ちつける音や、弓手へ指示を飛ばす声が聞こえてきた。グレンが防衛線を内側へ下げてから、負傷者を運び込む道は短くなったが、北東の高所を敵に奪われているため、家屋の陰を選んで移動しなければならない。


 入口から差し込む光も弱まり、集落の石壁には夕暮れの影が伸びていた。


 手当て役に水の補充を頼み、入口近くに置かれた桶を確かめていると、外からグレンの声が聞こえた。


「前へ出るな! 盾は道の内側へ寄せろ。弓手は右の斜面を見ておけ!」


 家屋の隙間から北側を覗くと、防柵の内側で戦士たちに指示を出しているグレンの姿が見えた。


 左腕は胸の前で固定されたままだった。大柄な身体を少し傾け、右手で防柵の位置を示しながら、前列の戦士たちを下がらせている。


 長柄斧を振るえる状態ではない。


 それでも戦士たちは彼の指示に従って動き、退いてきた者と交代するように、新しい盾兵が家屋の間へ入っていった。


 私はその姿を確かめ、倉庫へ戻った。


「フィアナ、布が少なくなってきたよ」


 手当て役の女性が声をかけてきた。


「奥に予備があるけど、全部出していい?」


「うん。使えるものは持ってきて。汚れた布は分けておいてね。洗えるものは、あとで使いたいから」


「分かった。水も追加を頼んであるよ」


 女性が戻っていくのを見送り、私は壁際で水を一口飲んだ。


 何人も続けて治療したせいで、指先が重い。魔力はまだ残っているけれど、最初と同じ調子では使えなくなっていた。


 その時、倉庫の外から慌ただしい足音が聞こえてきた。


「施設からの伝令だ! ヴァルドはどこにいる!」


 入口へ現れたのは、泥と埃にまみれたハルヴァの戦士だった。


 片方の袖が裂け、額にも浅い傷がある。息を切らしているものの、足取りはしっかりしていた。


 外はもう薄暗くなり始めている。施設から山道を急いできたのなら、相当な距離を走ったはずだった。


「ヴァルドは集会所の方だ。すぐ呼んでくる」


 入口の戦士が一人を走らせると、伝令は壁へ手をつき、荒い息を整え始めた。


 私は水を差し出しながら、額の傷を確かめた。


「まず飲んで。怪我は?」


「途中で転んだだけだ。それより、施設で大変なことが起きた」


 施設という言葉に、思わず顔を上げる。


「アレンとリーネは?」


 伝令は水を一口飲んでから答えた。


「二人は施設に残った。俺たち六人のうち、俺がラウネへの報告に出されたんだ」


「……何があったの?」


「カシュラが封鎖を外したあと、古代の兵器が動き始めた。黒い獣まで外へ出てきて、入口では大勢の兵士がやられた」


 王都の市街地を襲い、多くの人を傷つけた黒い獣。


 あれと同じものが、北方の施設からも現れたという。


「その獣は、今どこにいるの?」


「分からない。俺が離れた時には施設道を下っていた。カシュラ兵を追っていたが、その先は確認できていない」


 ラウネまでは、歩いて二時間ほどしか離れていない。黒い獣なら、山道をどれほどの速さで移動するのだろう。


 北側では今も戦闘が続いているのに、東からまで襲われたら大変なことになる。


「アレンたちは、どうして残ったの?」


「奥に大型の統制体が二体いるらしい。外へ出さないために、第一隔壁を閉じに行くと言っていた」


「二体も……」


 私は思わず伝令を見た。


 統制体の恐ろしさは知っている。


 王都で黒い獣を率いていたあの人型は、普通の武器では簡単に壊せないほど頑丈で、頭部から放つ光は周囲の建物まで破壊した。


 その相手が二体もいる場所へ、アレンとリーネは戻っていったのだという。


「二人が怪我をしたところは見た?」


「いや。俺が離れた時には無事だった。ただ、坑道へ入ったあとのことは分からない」


「そう……ありがとう」


 それ以上尋ねても、彼には答えられない。


 私は器を受け取り、伝令の傷を手当て役に任せた。


 ほどなく、ヴァルドが二人の戦士を連れて現れた。


「施設から戻ったのはお前か」


「ああ」


「見たことを順に話せ」


 伝令は施設で起きたことを報告し始めた。


 カシュラ側が第二封鎖を撤去し、古代隔壁がひとりでに開いたこと。その後、小型の浮遊兵器が坑道から現れ、入口の兵士たちを襲ったこと。


 さらに内部で崩落が起こり、四本脚の黒い獣が封鎖を破って外へ出たという。


「大型の人型が二体いるというのは、直接見たのか?」


 ヴァルドが尋ねた。


「いや。逃げてきたカシュラ兵が奥に二体いたと話していた。だが、入口の奥から光が走って石積みを吹き飛ばしたのは見た。アレンは、王都で戦った統制体の攻撃だと言っていた」


「それで二人は奥へ?」


「ああ。第一隔壁なら閉じられるかもしれないと。リーネも一緒に行くことになった」


 ヴァルドは続けて、残った戦士の配置を確かめた。


 伝令の説明によれば、弓手二人が高い岩場から入口と施設道を見張り、年長の戦士を含む三人が負傷者の搬送と道の警戒を引き受けているらしい。


「カシュラの部隊は?」


「施設の確保を諦めて退き始めていた。ただ、負傷者が多く、道にはまだ大勢残っていた。オルザも下がる兵士たちの中にいた」


 ヴァルドはしばらく黙っていたが、やがて隣の戦士へ向き直った。


「グレンに伝えろ。施設で統制体が二体動いている。黒い獣も外へ出た。アレンとリーネは隔壁の閉鎖に向かったまま、戻っていない」


「分かった」


「救出に出る者を選ばせろ。すぐ動けるよう支度を整えさせる。ただし、北の防柵から人を抜くのは、グレンが守備を維持できると判断してからだ」


 戦士が駆け出していく。


 ヴァルドはもう一人に東側の見張りを強化するよう命じ、施設方面から黒い獣が近づいた場合の連絡経路も確かめていた。


「ヴァルド、救出に行くの?」


「当然だ。あの二人を置いておくわけにはいかん」


「でも、北ではまだ戦ってるんでしょう?」


「だから準備だけ先に進める。北を守れなくなるような人数は出せんが、行ける時になってから人を集めていては遅い」


 ヴァルドは倉庫の奥に並ぶ寝台へ目を向けた。


「負傷者を受け入れる場所も空けておいてくれ。施設に残った五人や、カシュラの負傷者を連れ帰ることになるかもしれん」


「分かった。動ける人を別の建物へ移しておくね」


 ヴァルドは頷き、伝令へ向き直った。


「よく戻った。傷を手当てしてもらったら休め。施設に残った者たちのことは、こちらで引き受ける」


 伝令はようやく肩の力を抜き、壁際へ腰を下ろした。


 私は手当て役に彼の傷を任せ、移動できる負傷者を順に確かめ始めた。


 脚に浅い傷を負った戦士は、付き添いがいれば歩けそうだった。腕を切られた人も、包帯を巻き直せば移動できる。


 重傷者を残して空いた場所をまとめ、搬送用の布や水を集めてもらう。


 アレンとリーネの安否は気になったけれど、もし二人が負傷して戻ってくるなら、治療に必要な場所と魔力を残しておきたかった。


 肩に矢を受けた若い戦士の処置を始めた頃、外からグレンの怒鳴り声が聞こえた。


「予備を下げろ! 今は持ち場を空けるな!」


 私は顔を上げかけたが、すぐに手元へ意識を戻した。


 矢の周囲を固定し、手当て役に身体を支えてもらいながら、傷を広げないよう慎重に取り除く。出血を抑えて治癒魔法を送ると、戦士の強張っていた表情が少し緩んだ。


 倉庫の外から聞こえる戦闘の音が変わり始めたのは、処置を終えた頃だった。


 断続的に響いていた矢の音が減り、代わりに遠くから大勢の人が移動するような物音が聞こえてくる。


 入口の戦士たちが盾を構え直し、外の様子を窺った。


 ほどなく、北側から伝令が駆け込んできた。


「グレンからだ! 敵の前列が下がり始めた!」


「退いたのか?」


「まだ分からん。北東の高所には弓手が残ってるが、主要道の方へ隊列を戻している。防柵への攻撃も止まった」


 伝令は続けた。


「グレンは追撃を禁じた。守備位置を維持して、敵の動きを見ろとのことだ」


 敵が下がっている。


 理由は分からないけれど、防柵への攻撃が弱まっているのは確からしかった。


 それからしばらく、新しい担架は運び込まれてこなかった。手当て役たちは汚れた布をまとめ、水を替え、空いた寝台を整え始める。


 入口の向こうでは、集落の家々に夜の影が落ちていた。防柵からの指示はまだ聞こえてくるものの、戦闘の音は次第に遠ざかっている。


 私も少し休むよう勧められ、水を飲んでいると、倉庫の外から聞き慣れた低い声がした。


「ヴァルドはいるか」


 入口に立っていたのはグレンだった。


 左腕は胸の前で固定され、肩から腕にかけて厚い包帯が巻かれている。革鎧には土埃がつき、右手の手袋にも新しい擦り傷があった。


 彼の後ろには武装した戦士が二人おり、周囲の警戒を続けている。


「グレン、前線は?」


「まだ終わってない。だが、敵は下がっている。北東の高所を見張らせて、追撃は禁止した」


「ヴァルドは集会所の方へ戻ったと思う。呼んでこようか?」


「使いは出してある。ここで落ち合う」


 グレンは入口の脇へ寄り、肩の固定具を確かめた。


「腕、痛むんでしょう?」


「動かさなければ問題ない」


「ずっと前線にいたんだから、少しは休まないと」


「その時間はあとで取る」


 彼は倉庫の中へ視線を向けた。


「負傷者は?」


「重い人はここに残してる。歩ける人は別の建物へ移して、少し場所を空けたよ」


「施設から戻る者を入れられるな」


「うん。準備はしてある」


 グレンが頷いたところで、ヴァルドが数人の戦士を連れて現れた。


「北はどうなった」


「敵の前列は主要道へ戻った。まだ高所に弓手がいるが、攻撃は止まっている。こちらから出なければ、すぐに再開する様子はない」


「追撃は?」


「禁じた。連中が道を下がるなら、そのまま行かせる」


 グレンは入口の外を指した。


「予備から五人抜ける。弓手二人、盾を持つ戦士二人、それに巡回路をよく知る者を一人。北の守備は残る戦士だけで維持できるよう配置を変えた」


 ヴァルドが頷く。


「救出隊の指揮は誰に任せる?」


「俺が行く」


 私は思わずグレンの左腕を見た。


 ヴァルドも同じところへ目を向ける。


「その傷でか」


「歩けるし、指示も出せる。斧を振る必要があるなら、そもそも救出は失敗だ」


「北の守りはどうする」


「防柵の指揮は、第二列をまとめていた古参の戦士に引き継いだ。各組の配置と、敵が戻った場合の対応も伝えてある。判断に迷う事態が起きれば、お前に報告が上がる」


 グレンはそこで一度言葉を切った。


「施設に残った五人の位置も、巡回路も知っている。統制体が相手なら、誰をどこまで進ませるか、その場で判断する必要がある。俺が行った方が早い」


 ヴァルドはすぐには答えなかった。


 北の防衛戦を指揮していたグレンが抜けることになる。それでも、彼の代わりに施設への救出隊を率いられる者が、今すぐ動けるとは限らなかった。


「無理をするなよ」


 しばらくして、ヴァルドが言った。


「統制体を倒しに行くわけではない。入口の状況を確かめ、アレンとリーネを捜せ。危険なら引き返して報告しろ」


「分かってる」


「北の守りは俺が引き受ける」


 グレンが頷き、二人の間で話が決まった。


 私は彼らのやり取りを聞きながら、グレンの左腕を見ていた。


 古代施設の小型兵器に焼かれた傷は、まだ完全には治っていない。私も治療したけれど、深い部分には損傷が残っている。


「グレン、出発する前に腕を診せて」


 彼は一瞬こちらを見たが、すぐに頷いた。


 私は倉庫の奥から清潔な布を持ってきて、固定具を慎重に外した。


 傷口に新しい出血はない。ただ、上腕にはまだ腫れが残り、少し動かしただけでも筋肉が強張るのが分かった。


「左腕は使わないで。転びそうになっても、この腕で身体を支えちゃ駄目だからね」


「分かった」


 私は傷の具合を確かめ、負担のかからない位置で腕を固定し直した。


 背後では戦士たちが、水袋と包帯、担架に使う丈夫な布を集めている。グレンは右手で装備を受け取り、持っていくものを確かめながら、入口に待つ戦士たちへ指示を出した。


「集落の東端から森へ入る。北東の高所から見える開けた道は使うな。林の中を上がって、尾根の巡回路に出る」


「了解した」


「先頭は道を知っている者に任せる。弓手は前後に分かれろ。施設の見張り場が見えるところから先は、俺の指示なしに進むな」


 戦士たちが頷く。


 夜の山道を進むため、足元を確かめる灯りも必要だった。ただ、敵の見張りに気づかれないよう、開けた場所では光を隠して進むという。


「先に残った五人と合流する。負傷者がいれば搬送を優先しろ。統制体を見つけても、こちらから仕掛けるな」


 グレンは一人ずつ装備を確かめ、最後に水袋を右肩へ掛けた。


 私も包帯と応急処置の道具をまとめた袋を差し出した。


「これも持っていって。出血がひどい人がいたら、まず圧迫して。無理に歩かせないでね」


「ああ」


「それと、アレンもリーネも、怪我をしていたら無理に動かさないで。必要なら誰か先に知らせに戻して」


「分かった。フィアナはここを頼む」


 グレンは袋を受け取り、入口の外へ目を向けた。


「施設から負傷者を運ぶことになれば、治療する者が必要だ」


「うん。こっちは任せて」


 私は頷いた。


 アレンとリーネがどれほど深く施設へ入ったのかは分からない。統制体との戦闘が続いているのか、隔壁を閉じられたのかも、ここにいる誰も知らなかった。


 グレンたちが施設へ着くまでには、まだ時間がかかる。


「できるだけ早く連れ帰ってね」


 そう言うと、グレンは一度だけ頷いた。


 私は倉庫の入口から、武装した六人が東へ向かう姿を見送った。


 先頭の戦士が家屋の間を抜け、残りの者たちが間隔を空けて続いていく。グレンは左腕を固定したまま、列の中央で周囲を確かめていた。


 やがて一行は集落の東端へ差しかかり、暗くなり始めた森の中へ消えていった。


 ヴァルドはその姿を見送ると、北側の守備を確かめに向かった。


 私も倉庫へ戻った。


 手当て役たちは空いた寝台を拭き、新しい布を敷いている。奥では治療を終えた戦士が水を求め、別の寝台では包帯を替える準備が進んでいた。


「フィアナ、少し休んでおいで」


 年配の女性が声をかけてきた。


「施設へ向かった人たちが戻ってきたら、また忙しくなるよ」


「うん。少しだけ休ませてもらうね」


 私は木箱へ腰を下ろし、残っていた水を飲んだ。


 倉庫の外では、防柵の見張りを交代する戦士たちの声が聞こえている。敵が退いたとはいえ、北東の高所にはまだ弓手が残っており、入口の護衛も盾を手放していなかった。


 少し休んだところで、手当て役の女性が新しい包帯を持ってきた。


「奥の人、傷の具合をもう一度見てほしいんだけど」


「分かった。今行くね」


 私は器を置いて立ち上がり、寝台へ向かった。


 グレンたちが戻ってくるまでに、まだ診ておきたい人が何人もいた。

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