第二話:僕は君で僕は僕①
リアク「ぼくのなかのぼく?」
リアク?(そう、僕は産まれた時からずっと君に中に居て、ずっと君を見ていたのさ)
リアク「ごめんなさい、よくわからないよ・・・」
リアク?(そっかぁ・・・、まあ、またお話をしよう)
リアク「うん、わかった」
こうして転生してきた俺とリアクの最初の会話が行われた。
翌日、リアクは教会で洗礼を受けたがスキルの発動は無かった。
どうやら、3歳になった以降に一度洗礼をすると次に洗礼をしても賜経本には反応が現れないらしい。
大体の洗礼は誕生日に行うらしく、誕生日前にまず賜経本に触れる事もなければ、宣言も知らない。
稀に病気で誕生日から遅れてする事はあっても、結局当日まで洗礼は出来ないし、家族そろって来るので誰かに見られた中での洗礼となるのでリアクのみたいなケースは稀だったが、リアクは結果的に教会には「3歳スキル無」として記憶された。
誕生日が分からない上、賜経本の存在を知っていて、さらに宣言まで事前に分かっている子供何て居ないのが当たり前だったのが災いしていた。
「回復魔法」をスキルとして付与されたと分かったら、下手をしたら教会本部での保護は確実、何処の王族も我先にと婚約や養子に引き取られるのが確実なスキルとなる為、リアク?は運よく見つからずに5歳までは今の生活が出来るようななっていた。
リアクが回復魔法を付与されてからはリアク?が気を付けて普段の生活を監視していた。
突発的にスキルが発動しない様に出来るだけ家の外に出ない様にし、家の中で言語辞典と魔術書を読み書きしていた。
洗礼から3か月後の事、ロックが夕ご飯の片づけ中に床で躓きテーブルの角で額をぶつけ流血した。
マリアンナ「ロック!」
リアク「まって!、おかあさん!」
慌てるマリアンナを止めてロックの額の上に手をかざし呪文を唱える。
リアク「われ、このきずを、いやさん、ひーる」
リアクの手から光が現れロックの額に光が移る。
マリアンナ「リアク・・・、あなた・・・」
リアク?(しまった、咄嗟にやってしまった・・・)
リアク「このまえ、ひかるようになったから、できるかなっておもってやってみたの」
マリアンナ「その呪文がどうしてケガを治せると思ったの?」
リアクは貰った魔術書を急いで持ってきて、角が折ってあるヒールのページを見せた。
リアク「ここに、ひーるはけがをなおす、まじゅつってかいてあったから、れんしゅうしてた」
リアクもスキルでヒールを使う事を知らないのとリアク?がなんとか誤魔化す為にリアクを動かした結果、ヒールを練習して習得した事となり見回りから帰って来たジョンに事の顛末が話されるとジョンは非常に喜んだ。
こうしてリアクが魔術でヒールを使えるという事が知れ渡ると、村の人からちょっとしたケガなどの治療をお願いされる事が増えていた。
ヒールの魔術は初歩の初歩で使える人が沢山いるとはいえ村に一人二人居る程度、何処かに養子に~って事はならないのが一般的であるのでリアクは呼ばれたらマリアンナと共に赴き、ヒールを掛け御礼に食べ物を貰って家族で分けて食べたりと少しだけ行動範囲とリズムが変わっていた。
ある日、ヒールを頼まれマリアンナとお礼のパンを抱えて家に帰る途中で牛飼いのポロクの牛が一匹、道の窪みに足を取られ酷く足を腫らして困っていた。
通りかかったマリアンナとリアクは様子を伺っていたのだが、リアクが試しに牛にヒールを掛けてみたいと言い出して、マリアンナがポロクに相談した。
ポロク「どうせこのままだと、こいつも助からないから、一か八か掛けて貰っても良いか?」
マリアンナ「リアク、掛けても良いって」
リアク「わかったよ、かあさん」
リアクが牛の足に手をかざし、呪文を唱える。
リアクの手から光が牛の足に移り消えていく。
牛の足の腫れ無くなり、立てるようになったのをみてポロクが喜んで二人に頭を下げている。
ポロク「このまま、こいつが居なくなると稼ぎが減る所だった、本当にありがとう」
また何れ御礼をすると言ってポロクはケガが治った牛と共に帰って行った。
次の日ポロクの奥さんがリアクの家を訪ねてきて、昨日の御礼と卵と牛乳を持ってきた。
はじめて飲んだ牛乳は・・・
リアク「んまい!」
リアク?(うまい!)
それから暫くはたまに貰える牛乳を楽しみに、ゆったりとした時間を楽しんでいた。
その頃からロックの稽古が少しだけ激しくなり始めた。
家に帰るとヒールをロックに掛けている事が多くなり、少しジャックがマリアンナに小言を言われ始めている。
ただ、当のロックはどうやらリアクのヒールの練習台になるのと、少しリアクの存在が焦りになっているらしく、ジャックとの稽古が激しくなっていた。
ロック「はやく、とおさんにたいに、つよくなるんだ!」
と寝ても覚めても剣術しか無く、すっかり「剣術バカ」となり果てていたのをマリアンナが心配していたがジャックは喜んでいた。
マリアンナ「ロックはすっかり父親の跡を継ぐ気でいますね・・・」
困った顔をするマリアンナ。
マザー「取り敢えず、今は好きな事をやらせておくのが一番ですよ」
にこやかに微笑みロックを見るマザー
マリアンナ「それは分かって居るんですが傷が絶えないのと、少し威張り始めているので、どうしたものかと・・・」
ロックは村の子供達の間でも小さいが年上の子供達の間に入って遊べるぐらいの身体能力があり、村の子供達の中でも扱いに困り始めている。
マザー「気になるのでしたら、お祭りで子供達に少し怖がらせましょうか?」
マリアンナ「そうですね、他の皆さんとも話してやりましょうか」
二人は顔を見合わせてニコリと笑う。
マザー「そうと決まれば村長と相談してきますね♪」
嬉しそうに村長の元へ向かったマザーを見送るとリアクが眠い目を擦りながら玄関の扉を開ける。
リアク「かあさん、おみずがのみたい・・・」
リアクはポロクの牛を助けてから忙しくなっていた。
人の怪我や軽い病気などは隣街の医者がヒールで大丈夫と診断したら、リアクの所へやって来る様になったのだが、人より家畜が多い村なので人にヒールをするよりも家畜にヒールをする方が多くなった。
言動や考えが大人びていても所詮まだ3歳児、ロックみたいな身体強化のスキルを持っているわけでは無いので体力的な限界は子供そのもの、良く家で昼寝をする様になっていた。
リアク?(このままだと、村の良い様に使われそうだなぁ・・・)
実際、何処の村や小さな町に居るヒール使いは体良く使われる傾向が多い。
村や町の村長や町長達は住民と上手くコミュニケーションを取ってヒール使いをそこへ留める事に必死ではあるが、使われる方も使われる方も、人間なのでトラブルは良く起こる。
国によってはヒール使いを手厚く保護して国から派遣している国もあるぐらいではあるが、そんな国でも野良ヒール使いまでは管理しきれていないのが現状で、ヒールを使える事を隠す人も多い。
そこへ動物まで回復出来るとなると、村にとっては重要人物になって来る。
豚や鶏などの繁殖力が強い家畜などは怪我をしても人の口に入るだけだが、羊や牛などの繁殖力が低い家畜は大切に育てられる為、畜産家は怪我や病気には神経を尖らせている。
リアクの性格もあるが比較的この村ではリアクの事を見守る傾向が強く、無理させない程度に活躍をしてもらっており、昼寝の時間もしっかり取れている。
それでもやはり必要にはなるので村人達はリアクにこの村で一生を終えて欲しいとは思っている人達が多い。
そんなある日これからお昼寝が近くなったのか昼食を摂りウトウトし始める頃に何時もは近くに巡回に出ているダバットが慌てて家にやって来る。
ダバット「ジョン!、ジョンは居るか!」
ジョン「どうした?、ダバット」
ダバット「森に魔馬が出た!、怪我をしていて暴れてるんだ、このままだと村にまで被害が出るかもしれん」
その話を聞くとジョンが皮の鎧と鞭、ロープを持ってダバットと一緒に出て行こうとした時にリアクが普段言わない我儘を言った。
リアク「ぼくも、いきたい」
ここから少しづつ話が動いて行きます。
相変わらず不定期での投稿となりますがよろしくお願いいたします。




