第4話 ハーレム嫌いな奴おる?
「言わずとも僕には分かる」第4話です。
お読みいただきありがとうございます。
「ごちそう様。」
僕は父さんが話している間黙々と食べ進めていた。
食べ終えた食器はそのままに苦々しくそう言ってリビングを出る。
説教臭い。
僕はその手の話は好きじゃない。
自分にとっての幸せなんてもう決まってるんだよ。
それを誰かにどうこう言われる筋合いなんて無い。
例え親でも。
「おい、お兄!
珍しくパパがまともな話してんだから聞け!
それに食器くらい片付けろ!」
千夏に呼び止められたがボーダーコリーに追い立てられる羊のように加速して僕は自分の部屋へ逃げ入った。
~~~
僕が去ったリビングで千夏はため息を漏らす。
「はあ。
お兄、昔はこんなんじゃなかったのに。」
「まあまあ。
思春期の男子はこんなものだよ。」
千夏は父さんがなだめるその言葉に反応して開きかけた口をつぐんで少し俯いた。
それを不思議がる二人。
ハッとした千夏はその意味ありげな仕草を誤魔化すように早口で母さんに話を振った。
「そ、そう言えばちなみにママさっきの話は初めて聞いたの?」
「ん。
いや、知ってたわよ。」
「え!?
知ってたの!?」
仰天する父さん。
『これまで喋ったことは無いし絶対に見つからないように気を付けて吸っていたのに。』
「これまで喋ったことは無いし絶対に見つからないように気を付けて吸っていたのに、って顔ね。」
「ええ!心まで読まれてる!?」
「何年一緒にいると思ってるの?
大体そんな考えだって分かってた。
結婚するならたばこは辞めるって言ってたのに(笑)
嘘つき。」
母さんはニヤとほころんだ。
「母さんには勝てないな。」
と悟って後ろに手を回して頭を掻く父さん。
『いつか蒼汰にも共感してもらえるといいんだけど。』
~~~
僕は暗い自室に戻るとおもむろにパソコンに向かい、Youjubeで急上昇に出てるゲームをザーッと流し見。
気になったのを調べてを繰り返した。
次に実況するゲームは何が良いかな。
一応ABEXもだいぶ練習してマスターになったら数字伸びたこともあったし、やり込み要素が多いゲームの方がウケ良いのかもな。
だとしたらこのままFPS系の開拓進めるっていう手もあるけど…。
チャンネルの規模だけじゃなくて比率がな~。
僕のチャンネルのリスナーは男女比率が今大体、七対三。
イケボで売ってるのに、やってるゲームが少し男寄り過ぎたのが原因だ多分。
今後は女性リスナーを増やしてかないと、今後僕のハーレムメンバーを選抜するとなった時の質にも係わる。
女ウケを考えると音ゲーが一番いい塩梅か…?
後、雑談ネタも考えておかないと。
ガチャ!と勢いよく扉が開け放たれた。
僕は腰を抜かしそうになった。
まただよ。
びっくりさせられ過ぎ。
流石に文句言わないと。
「何してんの?」と背中の方から千夏の声。
配信関係のことを言ったらまたどやされるかもしれない…。
僕は億劫だったので振り向きはせずパソコンへ相対したまま軽く返事をする。
「いや、何も?
明日の学校の準備。」
「あっそ。」
聞いておいて興味なさそうに空返事で流された。
千夏は足の踏み場を選びながら僕の方まで来ると「んっ。」と青いラベルが少し捲れているアルミ缶を一方的に手渡してきた。
「TikTok用の動画もう友達と撮って来たから。
この前貸してもらったやつ返す。」
それだけ言うと部屋を出ていく様子の千夏。
「ノックくらいして…。」
「うるさい。
追い出さなかっただけありがたいと思え。」
ぴしゃりと思い切り扉を閉められた。
…。
あれ、僕今何してたっけ?
忘れた…。
パソコンの画面に向き直ると思い出してきた。
あ、そうだ。
配信のネタ集めか。
…少し休憩しよう。
疲れた。
チェアを倒して仰向けになり白色無地の壁紙の天井を見つめた。
近頃ろくに寝てない疲れがどっと来る。
ちょっと最近根詰め過ぎたかもしれない。
今日陽菜にこっぴどくフラれたし。
あー、なんかネガティブな方向に考えてしまう。
僕が頑張った所でハーレムなんか作れるのかな?
そもそも僕、なんでハーレム目指してるんだっけ?
…。
いやいや!
それが男の夢だからだろ!
僕はハッと我に返った。
もうハーレムの良さが分からないような子供じゃないからな。
色んな人にチヤホヤされたいし、あれこれ世話して欲しい。
そもそも、皆望んでいるけど我慢しているだけなんだ。
一夫多妻はどの国でもNGな所なばかり。
そのルールに根負けして一度は夢見ても最終的にはほとんどの人が諦める。
父さんも絶対同じだ。
でも、僕はそんなのに負けない。
確かに、今日唯一の彼女がまたいなくなったばっかりかもしれないけど。
ていうか付き合うのも一か月持ったことないけど。
ていうかまだ童貞だけど。
…でも、オーラルフィールドさえあれば僕はモテモテになれるはずなんだ。
今に見てろ!
僕だけのハーレムを作って毎日幸せな生活を送ってみせるぞ!
吹っ切れて立ち上がっていた僕は再び机に向かった。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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