第51話 騎士団長…ロシアン・マフィアその4
ロシア人のアジト、その近くにある歴史のある寺の広い敷地には警視庁の車両や救急車など惨事に対応できるように大勢の警察官や救急隊員が待機していた。
デカいアンテナを立てて通信機器やデカいモニターを積んだひと際大きい大型トラックを改造した警視庁の特殊指揮車両が本部となっていて、その車両の中では警視庁警備局のSAT隊員を率いる有馬新一隊長が、事件担当の伊達管理官や天城係長にあきる野市の警察署長や消防署の署長などの責任者に制圧作戦について説明をしていた。
「昨日の夜から、このビルを監視していましたが誰も出入りしておりません、ロシア人達はこの鉄筋の二階建てビルの事務所にこもっていると思われます。」
「現場の正面出入り口にはすでに第一小隊と第二小隊総勢18名の隊員が待機しており、合図と共に発煙弾を建物の周辺に撃ち込み、SAT専用の銃器対策装甲車を先頭にして敷地を突破してから建物に突入させます。」
「さらに第三小隊の9名も正面右側のスチール製鋼板の囲いに爆薬を仕掛けて突破口を開き敷地に入り正面の部隊の支援をしながら同じように建物への突入をこころみます。」
日頃の訓練から自信をもって説明をする有馬隊長だった。
「そんな危険な連中があそこのビルに潜んでいるのか……」とSAT隊員が携帯している短機関銃をみて驚いているあきる野市の警察署長
「あそこには、ロシアの民間軍人会社にいた連中で中東シリアやアフリカでも実戦を経験していると思われます。どんな武器を持ち込んでいるか分かりませんよ」と答える伊達管理官
指令室の大型モニターには現場の上空を飛ぶドローンからの映像で周囲を固めている第一機動隊の様子と廃車中古車買取センターの入り口には、三菱ふそうスーパーグレートFR除雪車のシャーシをベースに改造された防弾装備の装甲車で車体両側面には3連の銃眼と、後部ドアには2個の銃眼が設置されており、これにより車内から銃撃が可能でまた、車両上部には防弾盾を兼ねた開閉式の扉があり、突入に際してそこから銃撃出来るようになっていた。
その周りでは短機関銃を構えたSAT隊員が突入の準備をしていた。
メインウェポンはドイツのヘッケラー&コッホ(H&K)社が設計したMP5短機関銃。第二次世界大戦後に設計された短機関銃としては最も成功した製品の一つであり口径は9mm、装弾数は32発マガジン(弾倉)、銃床を折りたたんだ状態で550mm(ストック展開時: 700 mm)発射速度は800発/分、命中精度の高さからイギリス陸軍特殊空挺部隊SASをはじめ、ヨーロッパを中心とした各国の軍や法執行機関で正式採用され対テロ作戦部隊などでは標準的な装備となっている。
拳銃はオーストリアの銃器メーカーであるグロック社が開発した自動拳銃グロック17(Glock 17)口径は9mm(9x19mmパラベラム弾)。複列弾倉式で17発装填できる。
有効射程は50m、弾の装填数と銃の軽量さや即応性、命中性能、安全性を高く評価された結果ロンドン警視庁の王室・要人警護部、アメリカのFBIなどの法執行機関にも採用されていた。
隊員は耳の部分に余裕を持たせた形状の無反射塗装がされたチタン製ヘルメットに強化プラスチック製の防弾バイザーを装着していたが、同バイザーは、厚さにもかかわらず視野の歪みがない、西ドイツの特許製品であった。
足元は編み上げ式のコンバットブーツに戦闘服については黒色の特殊部隊用活動服が貸与され同スーツの下にはチタン合金とケプラー繊維製の防弾ベストを着込んでいた。
日本の警察の警備部に編成されている特殊急襲部隊・SATの隊員は、高度な射撃訓練と強靭な肉体にそして最新鋭の装備を駆使して最前線に投入される日本の治安維持における最後の切り札‥‥
国内各地のSATの関連施設でヘリコプターからの降下訓練・航空機やバスへの突入訓練・狙撃などの訓練を行っている。
日本の特殊部隊の中では、比較的最近、発足したこの特殊作戦群は、準備にたっぷり時間と予算を掛け、満を持してのスタートだった。隊員たちには、最初から特殊拳銃や特殊小銃、黒い戦闘服であるアサルトスーツが支給されていた。
SATになるためにはまず、SATがある地域の警察官採用試験に合格しなければなない、そのうえで、おもに機動隊からの希望者のうち、選抜試験を通過した人物が入隊をする。
特に高い身体能力と強靱な精神力が求められ、また犯罪者からの脅迫などから身を守るため、隊員はSATに所属していることを家族にも秘密にしておかなければならない、機密保持は極めて厳しく警視庁のコンピュータ個人ファイルや機動隊の隊員名簿からも名前を消される措置を受けている。
少し前に内閣官房長官が警視庁SATを視察した際に「何が辛いか?」と尋ねたところ、隊長は「覆面部隊なので、父親が何をしているか家族にも言えず、同僚や奥さん同士の交際も避けなければならない日常が辛い」と述べた。
入隊すると隊員は、「部隊で見たり聞いたりしたことを他人に話せば、時には法で罰せられる。家族に対しても同様である」という訓示を受け、機密保持を徹底させられ在隊期間はおおむね5年間と言われている‥‥
「伊達管理官、半径500mの住人の避難はほぼ完了しました。」とあきる野市の警察署の署長が部下からの報告をそのまま伝えていた。
SATの有馬新一隊長はすでに廃車中古車買取センターの入口近くに移動して現場の指揮をする為に警察車両を弾除けにしながら様子を見ていた。
その耳につけていた警察無線用のイヤフォンから「作戦を開始してください」と伊達管理官からの指示を受けるとロシア語が喋れる防弾チョッキを着た警察官に合図を送った。
その警官は右手に持った拡声器を口にあてて「この周りはすでに警察が包囲している‥‥建物の中にいるロシア人は両手をあげてすぐにでてこい!」と何度もロシア語で警告を始めた。
どこで聞きつけたのかこの前代未聞の捕り物劇を取材する為に大手のTV局のヘリコプターがすでに上空を飛び回っていた。
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二階の事務所からワグネルの迷彩戦闘服に着替えて防弾ベストを付けたリーダーのチャップマンが投降を呼びかける警察の警告を聞いていた。
”しかし、本当に呑気だな~日本人は‥‥”
”日本はいつまでも、戦争もない安全な国だと国民はまだ思っているんだな~”
”TVから映る、遠くの国で起きている戦場を眺め世界情勢を憂いながらも自分達には絶対に危害が及ばないと思っているんだったら‥‥‥”
”これから目を覚まさせてやるぜ!‥‥”
「準備ができました~!」と事務所の屋上にいる部下からの声が耳につけた無線イヤフォンから響いた‥‥
警察に包囲されたあきる野市の廃車中古車買取センターの現場上空を大手TV局所有の、米国の航空機メーカー、シコルスキー・エアクラフト社が開発した双発ターボシャフトエンジンを積んだ中型ヘリコプターが物凄いエンジンの音と振動が鳴り響くなか現場から数百m離れた上空から望遠レンズを付けたTVカメラが現場を撮影していた。
頭にヘッドフォンをつけたTV局の人気のリポーターがマイクもって脇にいたカメラマンの肩に担いでいた放送用ショルダーマウントカメラのレンズに向って生放送中のスタジオの司会者に向って絶叫していた。
「こちら、あきる野市西多摩霊園近くの廃車中古車買取センターの上空に来ています。」
「この建物には先日起きた浅草交差点警察官襲撃事件の犯人のアジトがあるという事で機動隊が出動し、周りの住人が避難して騒然としております。」と全国のお茶の間に生放送で状況を伝えていた。
「え~と、ちょっと待ってください、犯人のたてこもるビルの屋上に誰かいますね~、人です、人が二人見えます、カメラさんズームして下さい!」
「あれ~何か筒のようなものをこちらに向けております。」そう言ってカメラの映像が屋上にいる二人をズームすると‥‥
「あ、あれは~……」と言ってる間に屋上にいる不審者の肩に担いだ筒から白煙をあげて一筋の炎と煙を上げた物体が自分達のヘリコプターに向ってまっすぐ近づく映像が最後の画像となってスタジオやお茶の間のTVに映し出された。
朝のワイドショーの現場からの生中継画面はそこで途切れて「ザザ~」と雑音が流れ出ると、すぐにリポーターの身に何が起きたか、勘のよい女性のコメンテーターが理解すると「キャー!」と口に両手をあて悲鳴をあげる!
番組のディレクターは「CMだ!~CMをすぐに流せ~!」と大声で叫んでいた!
ソビエト連邦時代に開発され何世代も改良進化した携帯式対空ミサイルシステム『9K38 イグラ』 重量約10kg 全長約1.5m 直径72mm 射程約5km 2波長光波誘導による誘導ミサイルによって、ヘリコプターは物凄い閃光と同時に爆炎にデカい爆発音をたて、そのまま破片をまき散らし回転しながら、炎と白煙をたてて廃車中古車買取センター裏の野鳥の森自然公園の山並みに墜落して巨大な爆炎と煙を上げていた。
警視庁の特殊指揮車両の大型モニターで伊達管理官や天城係長に、あきる野市の警察署長や消防署の署長がそろって口を開けその様子を見ていた。
すぐに伊達管理官は「消防と救急はすぐに、あの山に墜落した取材ヘリコプターの乗員の救助に向かってください!」とそこにいた消防署の署長に指示を出した。
「とんでもない連中だ!、こんな街中であんなものを平気で撃ちやがって~ここはシリアじゃないんだ!」と憤る天城係長
「こ、これは、自衛隊の出動が必要かもしれませんよ……」と年配のあきる野市の警察署長がボソッと言いだした。
”ひょっとしてSAT部隊では手に負えないのでは‥‥‥”と考え出した伊達管理官達だった。
山に黒煙を吹きながら墜落するヘリコプターを地上にいた他のTV局のカメラがしっかりと撮影しており、事務所の屋上から白煙を吹き出して一直線にヘリコプターに向かうミサイルとヘリコプターが物凄い閃光と同時に吹き飛ばされる様子が別の情報番組の生放送の映像として全国のお茶の間のTVに届いていた。
それを中継をする興奮したレポーターが「ここ、日本でついに‥ついに戦争が始まりました~」とわけのわからないことを唾を飛ばしながら絶叫していた。
この番組を見ていた平和ボケしていた国民はこれが日本で起きている本当の事なのか?‥‥ドラマの撮影じゃないのか‥問い合わせの電話がTV局に殺到していた。
つづく、、、




