第5話 騎士団長…学校へ行く‥その2
俺の前で立ちつくし、驚いた顔でこちらを見つめている、その清楚な女子生徒…このクラスの学級委員長の天城玲亜だ。
「永瀬君…永瀬君だよね~…あなた…長野の軽井沢でおきた交通事故で骨折や内臓損傷で意識不明の重体だって先生や…それにニュースや新聞にっのていたのに‥も、もう大丈夫なの~」
「あっ…ああ~、おかげさまで…信じてもらえないかもしれないけど…なんか~不思議な奇跡が起きて……治ってしまったんだ~」
”なんだって~あの事故はTVのニュースや新聞にものっていたのかよ~それじゃ~、みんな驚くはずだよ~”、優紀の記憶からTVや新聞の事はわかっていた。
飛び石の連休で、途中に二日間の平日の学校の授業も普通にあって、祖母から学校に事故の事や優紀の状態については連絡は入っていた。
それが連休が明けた翌日から学校へ優紀はやってきた。
そんな事で事故で重症のはずの優紀を見てクラスメイトは驚いていたのである。
祖母は優紀が登校すると、すぐに学校へ連絡して担任の先生に事情は説明していたのであるが……
「そ、そうなの…不思議な奇跡か~いいな~私にもおきないかしら~…」と自分にも奇跡を願う玲亜
「そう言えばご両親の事については…クラスメイトを代表してお悔やみ申し上げます。なにか困ったことがあれば言ってね。」
「あ、ありがとう‥‥委員長…もう…両親の事は受け入れて…前を見て生きて行くから…いつものようにしてくれればいいよ…」
「そう…そうだよね……いつものように…わかったわ…ごめんね…」そう言うと彼女は振り向き自分の席に戻っていった。
その両耳には不自然な肌色のイヤフォンが差し込まれていた。
そうだ、昨年の秋頃から彼女は先生や友人の話す声が聞きづらくなったと言って席が一番前になって、その冬からあの補聴器を耳につけ始めたのだった。
それはこいつの記憶からわかった。
若い頃の妻にそっくりな天城玲亜、ライアン団長は彼女を見ながら鑑定をした。
名前 天城玲亜
年齢 17歳
職業 学生 王子南高校三年生
身長165cm 体重47kg
能力レベル
体力 20
筋力 15
俊足 10
剣技 30
スキル 天城神道流 三段
※「若年発症型両側性感音難聴、指定難病」
”ゲッ!…なに~剣技が30だって~17歳の少女がCランクの冒険者なみのスキルを持っていやがる…おそろしい~…天城神道流か~”
”ご主人様~注目するべきはそこじゃなくて~一番の下の「指定難病」ですよ~”
”え~…これ…なんか病気なの??~若年発症型何とかと言うのはどういう病気なの~教えて~”
さすがに17歳の優紀の記憶でもこの病気のことはわからなかった……
”いいですか~この病気は、主に十代の思春期や二十代の若年層に見られる病気で、両耳の聴力が徐々に低下します。最後は音を正確にとらえる事ができなくなって聴力障がい者となってしまいます。”
”なに~それは、本当かよ~治療する方法はね~のかよ!”
”う~んありません…原因不明の難病ですから…… ちょっと待ってくださいね…”
”天城玲亜、17歳…あっ!‥ありました~近くの耳鼻科の開業医の電子カルテにのってました。”
”そこから患者紹介状が、有名な医大の附属病院の耳鼻科に…”
”待ってください、今大学病院のメインコンピュターに入って、そこの電子カルテが‥ありました~ふむふむ…なるほど~”
”やはり…指定難病です~電子カルテには聴力検査の結果が、ああ~少しずつ聴力が落ちています。かわいそうに来年の今頃には完全に聴力を完全に無くなると書いてあります。”
”きっと…普通の大学への進学は難しいかと…聴力障がい者向けの大学へ行かれるかも知れません…”
”それでか~…俺の不思議な奇跡の話しで気になったわけか~…あの女神のポーションまだ残ってたっけ~”
”あります!…ありますよ!ご主人様~まだいっぱいありますよ~”
”ちょつと……タイミングを見て渡そうかな~”
”そうしてあげてくださいよ~あと…天城神道流もわかりました…彼女の祖父…天城義信72歳…戦国時代からつづく天城神道流の14代目で、この王子で道場を開いております。”
”それでか~そのじ~さんに相当しごかれてきたんだな~…それでなきゃ~あの剣技のレベルにはいかないぜ”
”え~と、父親は天城達也、46歳、警視庁の組織犯罪対策部のエリートですね~母親は天城恵子42歳で無職です~”
”そんなこともわかるのかよ~、すげな~エーアイ!”
こうして気になる少女、天城玲亜の個人情報をエーアイに調べさせていたらいきなり背中をバンバン叩いてきた奴がいた。
それは優紀の後ろの席に座る保育園からの幼馴染で、親友の山崎壮太だった。
「お前さ~死にそうになっていたんじゃなかったか~、なんで学校にいるんだよ~?」
壮太は事故の話しを聞いてからは、ず~と優紀の事を心配していたが‥元気になっている姿を見て喜んでいた。
「ああ~俺は不死身のヒーローだぜ!~あんな事故ではくたばらないよ~」
壮太との普段のやりとりが自然と記憶からでてきた~こいつとはよく遊んでいてばあ~さんの家にも二人で遊びに行って死んだ祖父からよく将棋を習っていた。
「すっげ~…漫画みたいだぜ!」
「ところで…おじさんもおばさんも残念なことになったなったけど‥‥お前は、いまどうしてんだよ~」
「ああ~祖母の家で‥二人でと暮らす事にしたよ…お前もよく遊びにきていたじゃないか~」
「そっか~あの将棋を教えてくえれた、おじいさんの家か‥よかったよ~本当に‥お前がこんなに元気になってくれて‥これでも心配していたんだぞ~」そう言って壮太はまた俺の肩をバンバン叩いていた。
こいつだけが‥いつものように俺の相手をしてくれた‥‥‥
朝のホームルームの時間がはじめる5分前ともなるとクラスの全員が席についてざわついていた。
俺の隣には山田芽依さんちょっとふっくらとした、安定感のあるフォルムの少女が俺のことを驚いた顔して見ながら席についていた。
前の席には、この優紀と同じくアニメ好きの少し影が薄くおとなしい伊藤貴信君が座っていた。
ホームルームがはじまり担任の黒木綾乃先生がやってきた生徒の出欠を確認していた。
先生は祖母から朝に連絡を受けていたので、俺を見ても驚く事もなく一言やさしい言葉をかけてくれた。
それから先生はプリントを配り5月の行事予定として三年生の修学旅行について説明をしていた。
それが終わるとこの”異世界”にきての初めて授業は現代国語からだった。
こいつのカバンから教科書を出してみたが、飛び石の連休だったので二日学校にきていなかったのでどこを開けばいいのかわからなかったが…となりのふっくらボヨヨ~ンとした胸部の山田芽依さんがこちらを見て笑顔で教科書のページを開いて指をさして教えてくれた。
俺は軽く頭を下げてお礼をしてそのページを開いて見ると女神の加護のおかげで書いてある内容は読むことができた‥ただ、こいつの頭の知識を使っているのでまだ習ってない事や‥できの悪いこいつが勉強不足で読めない漢字がいっぱいあった。
何しろ学年で148名中いつも3桁の成績だ! 下から数えた方が早いのである。
あんな漫画やアニメのフィギアに夢中になっていれしかたがねえか~
現代国語の石黒先生はいつも窓側の端の席から教科書を読ませる、前の席の少し影が薄くおとなしい伊藤貴信君が立ち上がりぼそぼそと教科書を読みあげた。
”次は俺の番じゃねかよ~…できの悪いこいつの頭で読めね字がいっぱいあるじゃねいか~エーアイなんとかしろよ~”
”ハ~イ…ご主人様…お任せください~”
俺の番になって席から立ち上がると‥読めない漢字は頭にひびくエーアイの声に合わせて上手に読み上げる事ができた。
こうして今日習ったこの国の漢字4文字で構成される言葉、「四字熟語」と総称される言葉に感銘をうけてしまい、俺は必死に覚えていた。
一発逆転、起死回生、九死一生……この「四字熟語」が魔人との対決を思いだして何となく気にいってしまった。
つづく、、、




