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私の同級生は異世界王国の最強騎士団長   作者: koike


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第41話 騎士団長…年末の中山競馬場

この現世界に転生してきて初めての年の暮れ、団長は中山競馬場に来ていた。


1956年に当時の日本中央競馬会理事長の名を付けた一年を締めくくる中央競馬最後のG1レースであり、「競馬の祭典」とも呼ばれる特別な重賞レースがはじまろうとしていた。


”すげ~人混みだぜ~、どのくらい集まっているんだ~”


”そうですね~ご主人様、10万人は超えていると思いますよ~”


”なんせ、出走馬の多くがファン投票によって選ばれる特別な存在ですからね~みんな自分の推している馬を見に来るんですから~”


”えっ!‥‥上位の強い馬だけが集まり走るレースだけじゃないのか~”


”まあ~人気があるという事は強いという事でもあるんですが‥‥”


”まずは、このレースは特別で獲得賞金の合計で上位にいる6頭は出走決定で、次にファン投票の上位10頭が選ばれ16頭での勝負になります”


”『アルフレート』はまだ3歳馬で賞金総額は4歳馬や5歳馬には追いつきませんが、G2クラスまで勝ち続けて、最近は注目されるようになりましたからね~”


”とくにあの小柄な馬体に額の白い斑点がハートのような形をしており、歩く馬の四つ足には白いソックスを履いているように見える白斑がある馬が”カワイイ”とアイドルのように熱狂的な馬ガール達が周りの友人達に頼み込み組織票をいれたようで、人気投票では二位に入っております。”


”ファン投票のダントツ一位はあの黒毛馬の『キングスター』ですよ、あの馬も一度『アルフレート』と競って負けましたが‥‥馬体も大きくて力強く実力は間違いなくありますから、あれいらい豪快な勝ち方がすごくて大勢の男性競馬ファンからいち推しですよ~”


パドックでエーアイからレースについて説明を聞いていた団長は目の前にやってきた『アルフレート』にいつもの「女神の加福の力を!」と小声で叫び、エナジーを送り込んだ。


”これで、ご主人様のおかげで小兵の『アルフレート』が力をもらって、横綱の『キングスター』とまた互角の対決になるんじゃないでしょうか~”


”そうか正直、こいつの事は気にいってしまって、実力以上のちからを与えて運命を狂わせてしまったからな~なにか反動がこなければいいんだが‥‥‥‥”


すでに競馬でお金を稼がなくてもエーアイのインチキ株価操作で十分な資金がある団長は『アルフレート』の事を気にかけていた。


中山競馬場の上層階にある馬主・関係者専用の特別観覧席には馬主の上田恵子と調教師の真田凛子も座りドキドキしながらレースを待っていた。


「ああ~ついに念願のG1レースよ、凛子ちゃん!」


「これで、あなたをバカにする調教師達に言ってやりなさいよ…女でもG1馬は育成できるって」


日本中央競馬会初めての女性調教師だった真田凛子は夢のG1レースについにのしあがってきたのである。


すべては馬の強さもあるが‥‥馬ガール達の推しのパワーが炸裂した結果であった。


美浦村の美浦トレーニングセンターに併設されている厩舎、真田調教師を馬鹿にしていた男性調教師達はみな脱帽してこのレースをTVで見ていた。


近くの特別観覧席では大手パチンコ企業のキンググループの会長、金島虎二と藤原和樹調教師が同じように『キングスター』のレースを見に来ていた。


「フフフ~あの岡田騎手を替えて正解だったな~」


「外人騎手ピエール・ロッシュに騎乗を頼んで大正解じゃ~」


「ここまでの重賞レースの勝っちぷりは見事なもんじゃわ~ハハハッハ~」


「それもお前さんの調教のおかげだからな~、これからも頼りにしてるぜ‥‥」


「はい、ありがとうございます。‥‥」これまでは『アルフレート』との対決を避けてレースを選んできた藤原調教師だったが、今日の対決で屈辱をはらすつもりで調教を続けてきた。


この芝2500mは馬の持久力とスピードを試される舞台、馬体や体力では絶対の自信がある『キングスター』だ絶対に負けられないと思っていた。


福島のいわき市にある競走馬を生産している家族経営の里見牧場でも里見健一と娘の彩夏も祈るようにTVを見ていた。


「お父さん、あの馬体が小さかった『アルフレート』がG1レースに出れるなんて夢みたい~」


「ああ~、きっとお母さんが天国から応援してくれていたんだ‥‥」


「お願い、お母さん‥『アルフレート』を勝たせてちょうだい!」と両手を合わせて母にお願いをする彩夏だった。


ファンファレーが鳴り響いていよいよレースが近づくと10万人を超える観客の応援する歓声はだんだんとヒートアップしてきた。


3番のゼッケンをつけた『アルフレート』と9番のゼッケンをつけた『キングスター』


中山競馬場の芝2500mは右回りの持久力戦、最後の直線は約310mと短く、上り坂での踏ん張りが必要で 先行力とコーナー機動力、坂を越えてからの持続性能が問われる。


スタンド前発走で 1コーナーまで約200m。 序盤は上り基調でペースは落ち着きやすい一方、内側を確保できるかが重要だった。


「スターター」と呼ばれる職員が専用台にあがり、最後の馬がゲートに入いるとすかさず「ガシャン!」とゲートが開きついにレースがはじまった。


~~~~~


三分ほどでレースが終わりすべての競走馬がゴールを通り過ぎていくなかで、外枠のゴールから10mほどの手前には落馬して地面に倒れ込み動きをとめている騎手の武田志帆


『アルフレート』は激痛をこらえて骨折した左前足を引きずるようにして落馬した武田志帆の元へゆっくりと戻り、心配そうに寄り添う姿が中央のオーロラビジョンに大きく写し出されていた。


スタンドでは大勢の馬ガールが馬と人の強い絆の様子を泣きながら見ていた。



~~~~~


白熱したレース、後方で押さえながら馬群についていく『アルフレート』と『キングスター』の二頭は最後のコーナーを曲がってから勝負に入った。


内側につけていた『キングスター』は最後の直線の約310mを猛ダッシュして坂を駆け上り、前をいく馬をおきざりにしながら先頭を走っていくとコーナーの大外から馬群を抜け出して一気に駆け出して先頭の『キングスター』を追いかける『アルフレート』‥‥投票一位と二位の一騎打ちになったレース


どんどん追い上げる『アルフレート』その勢いは『キングスター』をうわまっていた。


「いけ!!~そのままいけ~!」と馬主の上田恵子と調教師の真田凛子それにTVに向って里見健一と娘の彩夏は絶叫していた。


ゴール手前の数十mで『キングスター』に大外を走って追いついた『アルフレート』二頭が並び頭一つ飛び出しその勢いでは誰もが『アルフレート』が勝ったと思った瞬間‥‥悲劇が起こった‥‥


突然ガクンと勢いを止めて前に倒れそうになった『アルフレート』その瞬間に勢いの止まった馬から飛ばされて前に落馬した武田志帆は受け身をしながら落ちたが体を強く打ってしまいその痛みですぐには動けなかった。


馬ガールの大きな歓声が一瞬で悲鳴にかわった。


『キングスター』が先頭をきってゴールを駆け抜けると両手を上げて万歳をするキンググループの会長、金島虎二、次々とゴールする馬群達‥‥そのゴールから10mほど手前の大外には倒れ込んだ騎手の武田志帆と、どれだけの激痛を我慢しているのか、骨折した左前足を引きづり武田志帆を心配そうに寄り添う『アルフレート』が残されていた。


その様子はTVでも中継で放送されて自分の怪我よりも騎手の心配をする様子に馬との深い絆を視聴者も感じていた 担架をもって係員が来る頃には武田志帆騎手も立ち上がり『アルフレート』の首を撫でながらいっしょに退場する時は来場していた10万人以上の観客が皆たちあがって拍手でその健闘をたたえていたのである。


”あちゃ~心配した通りだ‥‥やっぱりちょっと無理させてしまったか~”


”あの様子だと骨折か‥‥そうなるともう駄目だな安楽死しかないのか~”馬にくわしい団長はレースの様子を見て確信していた。


”エ~!‥‥ご主人様‥ほ、本気でそう思ってるんですか~”


”そんなわけね~だろう~‥もう少し暗くなったらここの厩舎に忍びこむぞ!、あの馬の居場所がどこか調べておけよ”


”了解しました!”と元気よく返事を返すエーアイ


~~~~~


中山競馬場のレースが全て終わり‥‥人の波も消えて関係者だけが暗くなったレース馬用の厩舎に残っていた。


専任の臨床獣医が『アルフレート』に痛み止めの注射と軽い処置を終えて事務室に戻り、馬主の上田恵子と調教師の真田凛子それに獣医の顔を見て何かを悟ってもう泣き始めた武田志帆に向って駄目ですね左前足の関節部の骨折です、回復が極めて困難な「予後不良」です。」そう言ってレントゲンのフイルムを見せながら説明する獣医


「ギプスとか手術で治療できないでんですか~」と頼み込む馬主の上田恵子「恵子さん、きっとダメだと思います。体重が400kg以上のあるので1本の足に100k以上の負担が掛かります。」


「1本の足だけでも、骨折しますと、その体重が、他の3本足に負担がのしかかることになります。」


「そうなると、こんどは健康な他の足にも、蹄葉炎ていよう えん蹄叉腐爛ていしゃふらんといった病気を発症してもっと苦しみます。」と馬の病気にくわしい調教師の真田凛子が説明をした。


「それで、多くの競走馬が骨折をするとその症状によっては苦しまないように安楽死させます。」


「獣医さんが「予後不良」と言えば‥‥もう回復ができないと言う意味です。」とはっきり説明する調教師の真田凛子


「‥‥‥分かったわ……アルフレートに最後のお別れをさせてちょうだい‥‥」そう言って大粒の涙を流す馬主の上田恵子


最後のお別れをしようと全員がそろってアルフレートのいる厩舎へ行くと‥‥


「えっ!‥‥」


「ええっ!‥‥」


「えええっ!‥‥」と馬主の上田恵子と調教師の真田凛子それに騎手の武田志帆が驚いたようにアルフレートを見た。


そこにはしっかりと四つ足で立ちながら元気よくエサを食べているアルフレート‥‥先ほどまでは三本足で立って辛そうにしていてエサも食べずに痛みを我慢していたが、いまは”なんか、用ですか~”という感じでエサの入ったバケツから顔を上げてこちらを見ていた。


すかさず獣医がそばによって左の前足を触診する獣医、痛がらずにすきにさせてエサを食べるアルフレート‥‥


「すぐにもう一度ポータブルのレントゲン撮影器をもってきて~」と助手に叫ぶと‥‥


馬主の上田恵子に向って‥‥「あの~……も、もしかしたら、治っているかもしれません……そ、そんな奇跡があるんですか‥‥」と首を傾げる獣医だった。





つづく、、、



奇跡の復活を果たしたアルフレートは翌年のG1レースで大活躍‥‥年末の中山競馬場では人気投票一番になって大勢の歓声を受けながら今度はみごとに期待に答えたのである。



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