第40話 騎士団長…地縛霊
高校生将棋の頂点へを目指す全国高等学校将棋選手権大会は無事に終了して初優勝に飛びあがって喜ぶのは顧問の黒木綾乃先生
「す、すごい~すごいじゃないの~学校創立以来の快挙よ~、ああ~うちの将棋部がいきなり優勝なんて‥‥信じられない!」
表彰式が終わり将棋連盟の関連する月刊誌の取材を受けて緊張している黒木先生、最後は雑誌にのせるための記念撮影にはトロフィーを持った先生を中心に優勝メダルを首にかけて笑顔で写る壮太と桐山君に団長だった。
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高校三年生の最後の夏休み、ほとんどの生徒は大学受験対策の為に進学塾や特別補習授業などに参加していた。
団長は進学する気はなかったので警察官になることを決めていて、必要な資格として運転免許や女神からさずかった語学スキルを生かして各国の語学検定試験も受けていた。
”ご主人様、明日は中国語検定の試験ですよ、準備はいいでですか~”
”ああ~、少し疲れてきたぜ~英語検定にロシア語検定それにスペイン語検定だろう~いったい幾つの語学検定を受ければいんだよ~”
”そうですね~この国で悪さする外国人はいっぱいいますからね~‥‥まあ~あとは韓国語と中東のアラビア語、ペルシャ語、トルコ語くらいは取っておきましょう。”
”そんなもんとらなくても、この女神からもらったステータスでどこの国の言葉もわかるんだから必要ね~じゃないか”
”とんでもないです…なんでも資格重視のこの国で外国人犯罪も多くなり言葉がわかるご主人様は、この資格があればどこに配置されても警察の方々から一目おかれるのではないでしょうか”
”高卒枠でご主人様が、警察学校に行かれてもそういう方は少数ですよ、同期の方々はほとんどが高学歴の大学卒業の年上の方々ばっかりですよ~”
”ワタクシのご主人様がそんな奴らに舐められるわけにはいきません!‥そんな奴らよりも語学堪能で優秀なご主人様として見てもらいたいのです…”
”この夏休みに取れるだけの資格は取っておきましょう~、試験のスケジュールは全て把握していますから‥‥効率よくまわって資格を取ります。”
”ちなみにボイラー技士2級とか自動車整備士1級もありますけど‥‥どうしますか~”
”あほ~、そんな資格はいらね~よ”
そんな感じで団長は自動車教習所での授業の合間はこうして語学検定での資格を受験していた。
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週末に古武道の師匠の道場で修行のあと久しぶりにキッチンで夕飯をごちそうになる団長‥‥それは団長の一番好きなカツカレー、半袖のTシャツに胸当てのエプロンを付けてデニムのショートパンツからすらりと伸びた素足をだした玲亜がかわいいお尻をこちらに向けて、台所でガスレンジの上のカレーが入った鍋をかき回していた。
「聞いたぞ~永瀬君、全国高等学校将棋選手権大会で団体優勝したそうじゃないか、すごいじゃないか~」
「そんなに将棋が強かったのか~」
「そうよ、お爺ちゃん‥前にも言ったでしょ、彼の趣味は将棋とアニメ好きなんだから~」と料理をつくりながら答える玲亜
”イヤ~ぜんぜん違うけど‥‥好きなのはデカいオッパイとお酒で~す。”と思っている団長‥‥すっかりこの世界のビールの味を覚えてしまい、師匠がうまそうに飲んでる。
缶ビールを見ていたら、それに気が付いた師匠はまたニタ~と笑って前と同じようにそれを俺の空のグラスに注いでくれた。
”あああ~さすが師匠、、ごっつあんです。”と思いながら俺もニタ~と笑って頭を下げてそれをいっきに飲み干した‥‥
「それにしても、お前さんも強くなったな~、、師匠の儂でもお前に倒されるようじゃもう教えることはないじゃろ~」
「もともと、基本ができているし、お前さんの格闘戦でのセンスはずば抜けている‥‥‥それは相当な実戦をくぐりぬけないと身につかないだろうが、それがお前さんにはある。」
「今まで、いろいろな連中には教えてきたが‥‥お前さんが一番じゃ~」
「あ、ありがとうございます。」すでに3ヶ月間朝、夜の自主練習と師匠の指導で剣術や体術は師匠の数値レベルには少し及ばなかったが、最後は命をかけた実戦の経験の有無が師匠との勝敗に影響していたのである。
「もう、教えることもないわ~…ハハハハッハ~、今日からはここの天城神道流の師範代にしてやるわ~」
すでに、この弟子がただ者ではないことを感じていた天城信義はこの道場をつがせる気でいた。
「免状もあとで用意してやるから~これから警察官を目指しておる、お前さんにちょうどいいだろう~」
「偉そうにしている警察学校の指導教官を驚かせてやれ~ハハッハハハ~」と言って弟子の強さを喜ぶ師匠だった。
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玲亜のうまいカツカレーを堪能した団長はいつものように玲亜の自宅のマンションに送るため二人は商店通りから路地に入り、人通りの少なくなった住宅街に入っていくと‥‥
「玲亜は進学するんだろう‥‥」
「そうよ……卒業したら私もあなたやお父さんのように警察官になりたの‥‥」
「その為にも法学部のある大学を受けるつもりよ……」そういう夢の話しをしながら道路が交差する十字路にくるとその横断歩道のたもとには小さな花やお菓子にこどもが飲むようなジュースがたむけられていた。
「そう言えばここで、一昨日に自転車に乗っていた小学生の男の子が横断しようとしたら左折してきた車に轢かれて死んでしまったそうよ‥」
「まだ、小学校三年生よ……かわいそうに~」そう言いながら玲亜はそこでしゃがみ込み手を合わせて拝んでいた。
「そうか‥まだ、自分が死んだことには気がついていないようだ‥‥」その横断歩道をじ~と見つめて突然言い出す団長
「えっ!‥‥なに言ってんのよ~」と立ち上がり驚く玲亜
「その子、お前の隣に立っていてお前を見ているよ…」
「う、うそでしょう‥‥驚かせないでよ‥‥」と言って周りを見渡す玲亜
「うそじゃない‥‥」
「俺も一度死んでいるからな~そのせいか、こっちにきたら病院なんかでは何気なく霊的なものを感じていたんだが、今でははっきりと見えるようになった。」
「向こうの世界でも生と死の狭間を彷徨う者はいるよ、何らかの強い未練や、あるいは邪悪な力によって現生に縛り付けられ腐敗した肉体を引きずる化け物になったり骨だけの姿で動き回る化け物なんかも出てくると討伐対象になっていたからな~」
「こうして、突然の死に気がつかないでいる霊たちは「死の自覚」を持てるまで、そこにとどまる事になる‥‥」
「こっちの世界ではそう言う霊の事をなんというんだ?」
「そ、そういうのは‥‥地縛霊とか言っているわ~」
「そうか‥‥この世界でもやはり霊的な存在は信じられているんだな‥‥」
「ねえ~君の名前は何と言うんだ‥‥」
そう言って玲亜の近くによって腰をかがめて話しかける団長
「そうか、”いけださとる”くんっていうのか~」
そばで見ている事しかできなかった玲亜もその名前を聞いて、自宅の近所で起きた事件にくわしい母親が言っていた死んだ子どもの名前と同じだと思った。
”永瀬君には見えている!”とはっきり確信した。
「な、なんとかならないの~、可哀そうよ~このままここにず~と自分が死んだと気が付くまで成仏できないでしょ~」
「あなたら、この子を成仏させることはできないの~」
「できるよ‥‥もう一度殺せばいいだけさ‥‥」
「えっ!‥もう死んでいるのにどうやって殺すのよ~‥‥」
静かに立ち上がり右手を上げてアイテムボックスから愛刀を取り出すとそれを見ていた玲亜は‥‥
「そ、それはまたあの時と同じ‥‥」彼女は突然出て来た団長の愛刀を見て驚いた声をだした。
「それでどうするのよ~」
「この刀はなぜか神聖的な力を持っていて向こうの世界でも邪悪な霊物を退治できたからな‥‥こうして現世に残っている霊魂の思いを断ち切ることができるかも知れない‥‥」
左手を子どもの目の高さほどにあてて隠すようにして抜き身の刀身を右手に持つと‥‥
「ごめんね…”さとる”くん、痛くはないと思うけどちょっとガマンしてね…」そう言うとその胸の高さあたりに刀身を差し込んだ。
すると‥‥そこから小さく青白く淡い人魂が天空に向ってゆっくりと飛び出していくのが玲亜でも見えた。
「うまく、いった‥‥あの子はこの神聖な刀て成仏したよ‥‥」そう言って夜空を見上げながら刀をアイテムボックスにしまう団長だった。
つづく、、、




