第39話 騎士団長…夏の将棋甲子園
タイ国家警察と日本の警察機関では国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約に署名しておりこれにより、国際的な組織犯罪を防止し、およびこれと戦うためお互いに情報交換の窓口があった。
日本の警察機関はプーケットを拠点にしている犯罪集団を特定した事で、『ジャッカル』こと馬淵勇と『パンサー』こと王城聡介を強盗傷害の首謀者・指示者として強盗罪の共同正犯として国際手配したのである。
捜査員を派遣してタイ国の当局に協力依頼をして、タイ国家警察の署員数十名と共にプーケットのアジトを強襲すると、そこにはSNSなどで高額報酬の「リゾートバイト」に応募した人やヤミ金業者を通じて集められた多重債務者らが電話詐欺などのかけ子として集められていた。
数十人の騙されて連れてこられた人たちが茫然としていたが、日本の警察関係者から声をかけられると「やっと‥やっと日本に帰れる‥」と安堵した顔になっていた。
すでに主犯の二人は現地の蛇龍会から、この大規模捜査が入る事を知らされていたので、かけ子の日本人を現場に残して自分達は荷物をまとめてさっさと逃亡をしていたのだった。
タイ国プーケットにあった犯罪集団の電話詐欺事件のアジトの壊滅については日本の警察力をアピールする為、国内でも大きなニュースとして流れたのである。
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「ダメ、ダメ‥ここは一時停止でしょ~しっかり一旦止まってね!」
「アッ‥‥すみません~」とあわててブレーキを踏む団長‥
7月の終盤、高校が夏休みに入ってすぐに永瀬優紀は自動車教習所で車の運転をしていた。
免許取得の学科試験は9月2日で18歳になるのでそれにあわせて街中を練習で走る為の仮免許検定を取るつもりだった。
隣にはこの教習所の女性教官で丸山早苗教官39歳が指導していた。運転に関する法規についての授業はエーアイにまかせて寝ていられるが、運転実技にはなかなか馴染めなかった。
「ここで、ハンドルを戻して後をよく見るのよ~」
「ああ~、、だめね~また左のフロントがポールにぶつかった~」と車の縦列駐車では大苦戦している団長‥‥武術ではとんでもなく強くても4輪の運転はからっきしだめだった。
”クソ~バイクでは思い通り動かせるけど、車の感覚はまるっきりわからないぜ!”
”そうですよね~車の長さや幅を頭の中でイメージしながら、前と後ろの車両位置感覚はなんども運転しないとわかりませんからね~”
”ああ~本当に面倒だぜ‥‥”
”しかしご主人様、交通法規については任せて下さい、、この実技だけはどうにかして卒業検定さえ合格してもらえれば‥‥あとは最後の免許センターでの学科試験は満点で運転免許を取れますから……”
”その前の仮免許検定も受かるかどうかわからね~よ‥‥”といつもと違い弱気になっていた
こうして教官になんども叱られながら教習所のコースを何度も車を走らせる団長だった。
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8月に入り最初の土日の二日間、高校生将棋の頂点へを目指す全国高等学校将棋選手権大会その予選を勝ち抜いた全国の猛者たちが将棋の聖地、山形県の天童市に集結した。
山形県天童市は、“将棋のまち”として知られる場所、駅前のモニュメントや街灯、橋の欄干、商店の看板にいたるまで、まちの随所に将棋駒のモチーフが散りばめられている。
前日の金曜日に前泊した桐山俊介君と壮太に俺は顧問の黒木綾乃先生といっしょに朝早くに、会場の天童市総合会館にきていた。
”つ、ついにここまで来ましたよ~ご主人様!…ワタクシなにかドキドキしてきました~!”と人並みの感情をもったエーアイが興奮して言ってきた。
”おめ~が興奮してどうすんだよ~”と呆れている団長
”いや~、、ご主人様がこの勝負のてっぺんをとるかと思うとつい興奮してしまいます~”
”え~、そんな大げさなことじゃね~だろう~”
”こんな、コマのゲームなのになにがおもしれ~んだよ”
”フフフフ~確かに、ご主人様にはこの奥の深い戦略ゲームはわからないと思いますが‥ワタクシのような戦略計算好きにはたまりませんよ~”
”そうだな~俺はすぐに決着がつくような戦いがすきだからな~”
”ところで、全国から予選を勝ち抜いて集まっているチームでどこが強そうなんだ~”
”そうですね~やっぱり地元の山形の代表で会津商業高校、それと昨年の団体優勝の秋田県代表の角館西高校や大阪や愛知の代表も侮れませんね~”
”まあ~うちにはあの優秀なサラブレットがいますから……”
”エ~、壮太はどうなんだよ~あんなに部活では遅くまであの振り飛車とか鬼殺し(おにごろし)とか言っていた戦法を一生懸命練習していたじゃないかよ”
”まあ~予選会と同じでチームの中の壮太様の立ち位置は0か10しかありませんからね……”
”一応は飛車を元の右側の位置に置いたまま戦う戦法で、守りが堅く安定した展開になりやすい居飛車と矢倉戦法で守りが堅く安定した展開にしてからの角道を開けて奇襲型で意表をつける鬼殺し(おにごろし)との展開も教えてきましたが‥‥まあ~相手次第ですかね~”
”それと、桐山俊介様はもういう事はありませんよ~このワタクシにわざと汚い技で仕掛けてきますからね~、すでにプロ級の腕前ですよこの大会で優勝したら夢だった奨励会に入りたいと言っておりましたから‥‥”
”そうか~それじゃ~俊介君の夢の為にも絶対に勝たなきゃいけね~な~”
”グフフフフ~お任せください‥‥すでにここに来ている全国の猛者たちの予選会の棋譜のデーターは取り込んでいますから万全で勝負できます~”
”ご主人様がこの勝負のてっぺんをとることはもう決定事項ですよ~ワハハハ~”とまたまた変なスイッチが入ってしまったポンコツエーアイだった。
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水島香織警視から報告を聞く伊達直樹警視‥‥
「なんでまた、日本の捜査員が行ってタイ国の警察も協力しているに、主犯の馬淵勇と王城聡介に逃げられるんだ‥‥」
「どうも、連中にはあの国の警察組織に協力者がいるようです‥‥騙されて連れてこられ、かけ子の仕事をやらされていた男の話だと、たびたびアジトにはタイ国家警察の制服をきた連中がよく来ていたそうです。」
「連中と仲良く酒を飲んで騒いでいたと言っていました……」
「それじゃ~もうズボズボじゃないか~」
「そうですよ~もう~犯罪者にとってあの国では、お金があればなんでもできますよ~くやしい~」
「怒龍会の連中だけで、あの国の警察と繋がっているわけじゃないだろう~きっと背後にはとんでもない組織やマフィアがいるんじゃないのか‥‥」
「そうでもないと、あの警備の中でマリアと言われていた池田美香を見事に口封じなのか裏切り者への始末なのか貝毒で殺害するなんてできないだろう‥‥恐ろしい連中だ。」
「手口がさっぱりわかりませんよ~、背中には虫に刺されたような小さな赤い点はありましたが、、どうしてできたのかわからないです‥」
「それも誰がやったかわからないんだろう~」
「はい、ホームに降りてからの監視カメラも調べましたが、さっぱりわかりませんでした~」
「ふ~む‥‥それは本当にプロのような仕事だ~」
「しかし、それでも、騙されて犯罪の協力をさせられていた大勢の人達を帰国させることができたじゃないか~それだけでもお手柄だ!」
「そうですか~なんか先輩にほめられるとちょっとうれしいです‥‥‥」
「また、先輩‥‥頼りにしていますので、難しい事件のときはよろしくお願いしますよ~^^~。」と調子のいい事を言う後輩だった。
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初日の土曜日は順調に予選を勝ち抜き、翌日の日曜日では8校での決勝リーグ戦に入った団長達のチームはそこも勝ち上がり昨年の優勝校の秋田県代表の角館西高校と決勝戦で対峙していた。
壮太は相手の勢いに居飛車と矢倉戦法で守りを堅く安定した展開にしていたが‥‥途中で指し手をミスしてしまい、相手が優位となって最初に負けてしまった。
一勝を上げて喜ぶ顔をする角館西高校のチーム‥”あと一人勝てば‥‥”二連覇と残りの二人はさらに集中力をあげてコマを指してきた。
”おい、こいつもう勝ったような顔しているぜ~エーアイ大丈夫かよ~”と将棋の事をあまり知らない団長はエーアイの言うがまま指していたが壮太が負けて相手の様子が変わったことに気が付いた。
”フフフフ、、負けた時のがっかりした顔を見る為に相手が優勢な形で進めているんですよ~もう勝ったと思ったら実は負けてしまったという、この高揚した気持ちが瞬時に地獄に落ちるシチエ―ションがたまらないんですよ~”とこのポンコツエーアイは相手が最後に苦しむ様子を楽しむ飛びきりの”S”だった。
”それでは、ここで攻めにまわりますか~もう勝ちは見えました。”そう言って持ち駒を取り出し詰将棋のようにして相手の王将を追い詰めていくと‥‥急に顔色が悪くなっていく対戦相手
三手目の王手でしばらく考えていたが、ついに泣きそうな顔になって、頭を下げて負けを認めたのである。
“フフフッフフ~‥‥このワタクシに勝とうとするのは一万年早いです!”と団長が勝利して勝負は一勝一敗にもどした
緊迫した状態となった桐山俊介君と相手は一進一退の勝負をしていた。
そこで急にセオリーとは違う一手を指した俊介君‥‥
”えっ!‥‥ここでそこに指すのかよ‥やったぜ、それじゃこの飛車を動かしていっきに攻めるぞ~”とチャンスがきたと思った角館西高校の選手、守りの要の飛車をついに動かした‥‥
その一手は以前に団長が俊介君と最初に対戦した時と同じ一手だった。
それを見ていたエーアイは”桐山様さすがですね~ここであの誘いの一手を使うとはこれは見抜けないでしょう、もうこれで詰みました。”
エーアイが予言した通りに俊介君は油断した相手の一手で、五手先の詰みを完成させていたのである。
ここに全国高等学校将棋選手権大会‥‥夏の将棋甲子園の団体戦で王子南高校の将棋部が初めて優勝したのだった。
つづく、、、




