第38話 騎士団長…関西連続強盗事件その7
マリアこと新垣美香は素性のわからない少年に脅されて強盗犯罪を指示している仲間の事をしゃべってしまい、翌日の朝のニュースでも”関西の強盗事件の背後には犯罪を指示する組織がいた!”と大きく取り上げられると、また自分もその盗んだ金の運搬に関わっていたので警察に追われるのではと思い海外逃亡を決意して羽田空港の国際線で仲間のいるプーケットを目指して、タイ・バンコク行きの出発ロビーにチケットをもって搭乗を待っていた。
すでに、大阪府警察から指名手配されていて空港事務所にも連絡がいっており、出国手続きで身元がバレて警察には連絡がいっていた。
そんなことも知らずに待合ソファーに座っていたところへ、大阪府警察本部の水島香織警視から捜査協力を依頼された警視庁の「組織犯罪対策課」の天城係長と部下数名が息を切らして、現れ‥‥
「ハァ~ハァ~‥‥新垣美香さんですね、警視庁のものです、あなたを盗品等関与罪で逮捕状がでています署まで御同行お願いします。」そう言って逮捕状を見せる彼女も観念して、おとなしくそのまま確保されて連行されていくのだった。
伊達直樹警視に連絡をする水島警視‥‥
「さすが先輩です~、うまくいきましたよ!、こっちのお偉方を焚きつけてやる気をださせて、主犯の連中を追いつめることができそうです。」
「あれだけの自白する映像がよくとれましたね~、あれが決め手になり送られてきた資料と合わせて資産家の老人世帯を襲わせるための実行計画や指示をする『ジャッカル』こと馬淵勇、それとSNSで実行犯のリクルートを担当する『パンサー』の王城聡介には関西で起きた事件の主犯として逮捕状がでました。」
「あとは、国際手配をしてタイの警察当局と連絡をとって捜査員を送りますよ。」
「ああ、それは良かった。こっちの上層部は慌てて俺に言ってきたよ~”何で大阪に出し抜かれているんだ!”とか‥‥」
「フフフ‥だからあの時に”まだ。事件は解決していません、彼らの背後には犯行を指示している連中がいます。”と進言しました。と言ってやったら大人しくなっていたけど‥‥」
「まあ~自分達の出世とメンツしか考えてない連中だからな~どうしようもないよ~」
「あとは、そちらで逮捕協力していただいた怒龍会の『マリア』こと新垣美香を大阪に移送して調書とりますのでよろしくお願いします。」
「それにして、あの映像はえげつなかったですね~新垣美香の顔をスパッと切りつけて自白を強要させるなんて‥‥声はわからないように変えてましたがいったい何者なんですか~」
エーアイが新垣美香から情報を引き出している様子を動画として送っていたのである。
「ああ、こちらでも歌舞伎町のガールズバーいったいの防犯カメラを調べたんだが数台のカメラの映像が、ある時間だけ全て消去されていたよ‥‥」
「あと聞き込みではその時間に派手な乱闘もあったようだが‥‥それを映していた一般人のスマホの画像もなぜか、みんな消去されて復元できないそうだ。」
「何か‥‥すごい人が‥味方になっていますね~」とその手際のよさに驚く水島警視
「それと特殊詐欺の被害金をマネーロンダリング(資金洗浄)している西大久保の両替屋をやっている三沢啓介は別件でこちらで逮捕するから‥‥」
「了解しました~」
こうして団長の活躍で関西の強盗傷害事件は解決に向かいつつあった。
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横浜中華街にある小さな中華料理店、そこの店主、周王龍67歳は中国黒社会のマフィア蛇龍会において日本での仕事を任されている幹部だった。
その仕事は日本の犯罪組織から盗品を買い叩いて仕入れて、中国の市場に流したり、密入国した仲間の面倒を見たり、また中国政府の公安ともつながっていて依頼された日本企業の最先端技術を盗む為に企業の技術者を金や女を使って情報や資料をもらい中国政府に流していたのである。
【中国の黒社会とは中国語圏において、種々の犯罪組織(ギャング、マフィア)を総括して指すときの言葉、あるいは犯罪組織や地下経済および、それらにより形成される社会を表す言葉である。そのルーツは清朝時代の末期に形成された秘密結社から始まり、政治的腐敗や社会的混乱、経済的不安定に直面する中で、港湾労働者や移民流民などの社会的に脆弱な集団が結束して地域防衛を目的とした結社だったが、かれらは国共内戦などにも深くかかわり徐々に犯罪組織へ変質したのである。】
その周王龍の元には彼らの傘下になって、いろいろな裏世界の連中が犯罪で得た金をマネーロンダリング(資金洗浄)していた三沢啓介が大事なノートPCを抱えて逃げ込んでいた。
「あ、ありがとうございます、、危なかったですよ~周さんから電話がこなければもう少しで捕まるとこでしたよ~」
「間に合って良かったです。 警察の内部の協力者から、あの女がべらべらしゃべって資金洗浄しているあなたの事がバレてしまったと連絡がきたのですぐに連絡したんです。」
「あなたが捕まると、我々の仕事にも影響がでるし、お付き合いがあるいろいろな組織の連中も困るんじゃないですか~」
「しばらくは、マカオでほとぼりがさめるまで仕事を続けてください。」
「すぐに、密航の手配をしますね。」
「私を警察に売ったその女はどう落とし前をするんですか!」と住んでいた場所や私物をすべて残してきて腹をたてている三沢啓介‥‥
「我々の傘下にはいっている怒龍会でも、あの女は裏切り者だからどうしてもいいと言っております。」
「フフフ‥‥仲間を警察に売るなんて許されません、大丈夫、すでに本部に凄腕を頼みました。」と言って不気味で非情な笑みを浮かべる周王龍だった。
そのころ大阪の関西国際空港にマカオ発の航空便が定刻に到着していた。
入国検査にならび楊翠蘭33歳と書かれたパスポートを見せてサングラスをはずして検査官に清楚で気品ある美しい顔で笑みを見せながら無事に入国してきた女性手荷物を受け取りそのまま到着ロビーから出口に向かうと、そこには周王龍の部下二人が彼女をまっていた。
楊翠蘭、中国の情報機関や黒社会などに案件ごとにやとわれる、ある組織の工作員、主に暗殺の請け負いや潜入調査に施設の破壊活動‥‥なんでもこなせる凄腕の女だった。
車の中でターゲットの顔写真と接触場所のくわしい資料と、先に密輸ルートで送っていた愛用の暗器が入ったケースを渡された彼女は翌日の実行現場を下見してホテルへと向かった。
【暗器は、中国武術における身体に隠し持つ事が出来る小さな武器の総称。暗器兵器とも称する。】
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警視庁で三日間ほど東京の事件についても取り調べを受けた新垣美香は、大阪府警察から捜査官が迎えにきて関西の事件の被疑者として大阪に移送された。
東京駅9:54発新大阪に12:24着のぞみ353号から二人の捜査員が両脇を固めて、手錠に腰縄をつけた新垣美香が乗客が降りた最後に出て来た。
24番線の到着ホームから階段を使って降りて、大勢の外国人や観光客などの人でごったかえす駅のコンコースをぬけて南口に向かう三人‥‥その時「あっ!」と言って立ち止まる新垣美香
「どうしたんだ?」と捜査員が聞くと‥「ちょっと、今‥背中にチクッ!とした痛みがしたんですが‥」そう言われて背中を確認する捜査員、
「別になんともないけどな~」
「そうですか~、もう大丈夫です。」そう言いながらまた歩き出す三人
駅の南口にはすでに大阪府警察の黒塗りの大型バンが迎えに来ていた。
その後部座席に三人が乗り込み車が走り出すと「ウッ~、ウウウ~、」と言いながら胸を押さえて急に苦しみだし顔は青ざめ数秒もしないうちにそのまま意識をなくして倒れこんだ‥‥
その日の夕方、伊達直樹警視の携帯が鳴った相手は後輩の水島警視から彼が携帯にでると「先輩~大変で~す!…あ、新垣美香が移送途中で‥‥し、死にました…死因は心臓マヒですが~なんか不自然です…」
「えっ!、なんで~、こっちではあんなに元気だったのになにがあったんだ~」
「わかりませ~ん、移送の為に車に乗った途端に胸を押さえて苦しみだしてそのまま亡くなりました。」
「ふ~ん、誰か怪しい者が接触したとか、そう言う事はなかったのか‥」
「つきそった捜査官からはそう言う報告はありませんせでした。」
「そうか‥‥‥」
翌日には大阪府警察は新垣美香の遺体を司法解剖して死因をしらべたが、血液検査で死因の原因は貝毒の神経毒による心臓マヒだと分かったが‥
背中の皮膚には小さな赤い点は気が付いたが、それが何なのかわからなかった。
中国三千年の歴史の中で生まれた毒による暗殺術‥‥貝毒の神経毒成分をさらに強くしてわずかな量で即効性を強めその毒を水に混ぜて凍らせ、硬い針状ダーツ状にして、心臓発作を引き起こす小さな毒矢を発射する特殊な銃が使われた。
この貝毒の硬い氷のダーツは衣服を貫通し、体内に入ると毒は血流に溶け、心臓発作を引き起こす。皮膚には小さな赤い点しか残さない。
暗殺のターゲットにされた人物は殺傷力のあるダーツが刺さると虫に刺されたような感覚を覚える程度だった。
マカオから来日した楊翠蘭は清朝時代から続く暗殺などをなりわいにした組織の一人だった。
気が付かないように人混みから隠し持った特殊拳銃を右手に握りガウンで隠しながら、後ろから近づき新垣美香の背中にむけて硬く凍った針のようなダーツ状の貝毒を撃ち込むと、普通に通り過ぎ使った道具を近くで補佐についていた周王龍の部下にさりげなく渡すと、その後は街にでて名物のたこ焼きを堪能し‥‥何食わぬ顔でその日のうちに帰国したのであった。
つづく、、、




