第3話 騎士団長…家へ帰る。
長野の救急病院を退院した団長は、両親の遺骨と共に祖母が運転する自動車で関越道を都内の北区王子にある自宅を目指して走っていた。
窓から見える景色を口をあけてワクワクしながらじ~と子どものように見つめるライアン団長
”スッゲ~ なんじゃ~これは~ こんなスピードが出せる機械があるのか~どうなってんだよ~”
”ご主人様、これは自動車という乗り物です。この世界ではご主人様が使っていた愛馬のように、この世界の住人はこの自動車でどこにでも出かけます。”
”えっ!、それじゃ 俺もこの自動車を運転する事ができるの……”
”ご主人様は17歳…18歳にならないと車の免許が取れません、この体の優紀様は9月生まれでございますから…その時に”
”なんじゃそれは~ 俺は35歳もういい大人だぜ~クソ~ 女神もなんで18歳以上の男に転生させないんだよ~酒も飲めね~し!”
そんな時…祖母の運転する車の脇を一台の大型バイクが追い越していった。
”ゲッ~!すげ~カッケ~…ねぇねぇエーアイあの馬のような機械の乗り物は…”
”あ~あれですか‥オートバイです。あれならご主人様は16歳から乗れますネ~教習所にいかれて免許試験を受けられればよろしいかと思います。”
”オートバイと言うのか…う~んぜってい乗ってやる…騎士に愛馬これはぜったいだ!”
運転をしていた祖母は優紀に向って「少し早いけどお昼にしましょ」と言って、高速道路の途中にあるサービスエリアに車を入れた。
祖母といっしょに飲食コーナーに向かうと王国では、見た事もないような料理がいろいろとパネルに表示されていた。どれもうまそうでよだれが出そうになったが‥
”ご主人様ここは、豚骨ラーメンとチャーハンのセットが人気がありますよ…ネットブログでも高評価で~す。”
”さすが~エーアイ、よ~しそれだ!”
「おばあちゃん、この豚骨ラーメンとチャーハンのセットがいいなぁ」
「フフフ、ユーちゃんそんなに食べられるくらい元気になったんだね~」
そう言いながら祖母は自分の食べる山菜そばと優紀の分の食券を買っていた。
”あっ!、、ひょっとして、この泡のある飲み物はエールじゃねいか!?…こ、これも~ば~さんおねがいしま~す。”
”ブッブー ダメで~す!!未成年はお酒飲めませ~ん!”
”クソ~”
病院のくそまずい食事しか口にしていなかったライアン団長はテーブルに置かれた豚骨ラーメンを一口すすると‥‥
‥体中に電気がはしった。‥‥
”うまい!…なんじゃこれは~~白濁した濃厚なスープがクリーミーで力強くオークのうまみがすべて入っているぜ”
初めて食べたこの”異世界”の豚骨ラーメンとチャーハンという黄金の組み合わせに驚き、右手にはラーメンをすするハシ、左手にはチャーハンをすくうスプーン、交互に口にいれてそれは無くなるまで止まらなかった。
隣では祖母の淑子が、元気になって食べている孫を見て目に涙をにじませていたのである。
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首都高中央環状線にはいると景色は一変……
”こっ、、これは、何と…人がこれほど高い建物をつくれるのか~それも…見渡すかぎり…石造りの強固な建物ばかり…”優紀の知識でいろいろと理解していたが実物を初めてみたライアン団長この”異世界”の文明に驚愕してサイドガラスに顔を近づけ街の様子を見ていた。
祖母の淑子は運転をしながら、助手席に座る孫の優紀を気にしていた。
両親を亡くして気落ちしていると思い、何の話しをすればいいのか思いつかず
黙って様子を見ていたが‥‥孫の優紀は助手席の側のサイドガラスに顔を近づけ…まるで幼児のようにワクワクしながら目を輝かせて、景色を見てブツブツと何か言っていた。
”高校三年生にもなって何が珍しいのかしらまるで何もしならい幼稚園児のようだわ‥‥頭を強く打ったから少しおかしくなったかも知れない‥”
”私が息子夫婦にかわってこの子が成人するまで責任もって面倒を見てあげないといけないわ…”
”息子達の自宅は賃貸マンションだし…あそこはもう引き払わないと駄目ね‥あとは息子夫婦がやっていた事業はもうダメだわ…”
”廃業の手続きをしなければいけないわね~、銀行の借金はいくらあるのかしら死亡保険と相手の補償金で間に合えばいいけど~あ~優紀の大学進学費用も残しておかないといけないわ……”
これからやらなければいけないことを、一生懸命に考えながら運転していた年金暮らしの祖母…永瀬淑子69歳だった。
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都内北区王子の賃貸マンション自宅
マンションにつくと、あのやさしいば~さんから、”このマンションの自宅は賃貸なので、ここを引き払い近くにある、ば~さんの家で暮らそう”と言われた。
確かに、ここに住んでいた両親はいなくなり、いつまでも高い家賃を払っているわけにはいかない‥…
こいつの記憶の中では、やさしい両親の顔が浮かんできて、ここでの幸せな時間の事は忘れないでおこうと思った。‥‥仕方がない…このなにも知らない世界では、17歳の未成年で一人で暮らしていくことは出来ない。
中身が35歳の俺でもどうにもならない‥‥
マンションの自宅に入り…玄関の姿見の鏡でこいつの事をよく観察した。
”あちゃ~、なんだ、このやせた少年は~”
”まるで、日にあたってね~やせた野菜じゃねいかよ~”
”王国騎士団長の俺は身長は185cmに体重は90kgを越え 毎日の鍛錬で筋肉はとんでもなくついていた。それが~…なんだ~この体はひょろひょろじゃねいかよ~”
”ご主人様の体は身長は175cm体重は58kg、これから伸び盛りの17歳で~す。”
”うまく、運動や筋トレをしていただいて筋肉をつけていってください。"
”こりゃ~デカくなるにはどんだけ飯を食わなくちゃいけないだよ~”
細い体にぼさぼさの頭…顔は目元が少しシュンとしたつぶらな二重の瞳、カッコいいというよりはかわいい系の顔をして、女をたぶらかしそうな感じだ。
筋肉ワイルド系の俺にとってはイメージが違うがそれは、しかたない、これから鍛えて頑張ろう……
こいつの部屋に入るとアイドルのポスターやアニメのフィギア多数、他に漫画や将棋の本が壁の棚にずらり……まっくたくこの趣味はわからん!
ウン?、この胸のデカい女の子のフィギアは大事に持っていこう。
俺はこいつの記憶から、着替えや学校の制服それに学用品など必要なものを家にあったでかいキャリーケースと通学用のリュックやスクールバックに詰め込んだ。
そのあいだに祖母の淑子は息子夫婦の通帳や印鑑、事業の書類にマンションの賃貸の契約書など大事な物を後処理の為に両親の部屋にある書棚の引出しをあけて集めていた。
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マンション近くの祖母が住む一軒家
祖母の淑子
孫の優紀が素直にうちに来てくれることになった。
あんなに大事にしていた、漫画やお小遣いで集めていたアニメのフィギアはすべて処分してもいいなんて……
あれ!、死んだおじいさんといつも対局して夢中になっていた将棋の本もみんな捨てていいのかしら‥よほど事故の事でショックを受けたのね。
あとは、業者に頼んであの息子夫婦の物を処分して…事業の清算をしなければ今日の夕飯は優紀の好きなカレーライスでもつくってあげよう。
ライアン団長
俺は祖母の家の2階の父親が使っていた部屋をあてがわれて、この”異世界”の住人として生きていく事になった。
女神が言っていた魔人ゴットハルトがこの世界に転生する前に、この体を鍛えて、奴と再度決着をつけてやる!
こうしてライアン騎士団長は固い決意をしたのである。
つづく、、、




