第26話 騎士団長…ひき逃げ事件‥その3
”ご主人様、わかりました~”
”目黒東署のデーターを調べたら、被害にあわれたお嬢様の名前は山口紗香様、近くの高校に通う三年生です。”
”やはり、ニュースで言っておりました進学塾の帰りに横断歩道を渡っている時に事故にあっております。”
”それで、渋谷にある大学医学部の附属病院の救命救急に運ばれて、外傷性脳損傷による意識不明の状態です。”
”病院の電子カルテでは‥‥フムフム‥あちゃ~これは長野の事故にあわれた優紀様と同じです~脳にダメージが、これはいつ目を覚ますかわかりませんね~”
”意識を取り戻しても脳障害で寝たきりになるかもしれません。”
”頭部以外の外傷が少ないので5階の脳外科病棟、個室で502号室におります。”
”急いであのポーションを使わないと‥‥‥”
”おい、エーアイところでどうやって病室に入りこんむんだよ。”
”お任せください、策は考えました。”
”まずは、新宿の歌舞伎町へ向かいましょう。”
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東京地方検察庁、東京都を管轄しており、千代田区に置かれている本庁のほか、品川区と墨田区に分室を、立川市に支部を設置している。
警察が一定の証拠に基づいて犯人であると認めた者を被疑者といい、警察は被疑者を逮捕してから48時間以内にその身柄を検察官に送る。これを「送致」といい、検察官がさらに事件の内容や被害の程度を審査し起訴するかどうかを判断して、検察が起訴を決定した場合、被疑者は裁判所に出頭し罪を認めるか否かについて裁判官の前で陳述する事になる。
都内品川区のかむろ通りにある古びた赤レンガの4階建てのビル、入り口には警備員がガードをしており不審者は容易に入れないようになっていた。
東京地検の品川分室、その三階には少しくたびれた背広をきて送検書類を見ている南条健司検事部長(52歳)、この分室の責任者だ。
”私は地方の大学の法学部を卒業し司法試験に受かって念願の検事に任官して若い頃は、その使命感と正義感が検事の全てだと思っていたが‥‥ここは違う生まれや育ちもいい上級国民の子弟達が難関な有名出身大学よる派閥によって上層部の人事がきまる、極めて歪んだ組織である。”
目黒東署から送検されてきたひき逃げ事件の書類、そこに押された。丸印に特のハンこれは特別案件と呼ばれこれは速やかに被疑者を起訴しろと言う特急案件、この組織の隠語だ。
すでに被疑者は「自分がやりました。」と言っており、警察からの送検書にもなんの問題もない。
普通のひき逃げ事件だったが、こんな、なんでもない事件に目黒東署の署長の印が押されて丸印に特のハン‥‥これが無ければ仕事の早い上級国民の子弟で帝都大学出身の若い部下にまわすところだったが
こんなひき逃げ事件に警察署長みずから、自分の印を押してなんで丸印に特のハン押すのか‥‥「フンッ!」、私はなにかこの内容に気に入らず、この分室の変わり者にこの案件を任せる事にした。
部長室の扉から顔をだすとちょうど奴と補佐する事務官が近くにいた。
「お~い久我検事、ちょっとこっちこい……お前の好きな丸特物件だよ~」
「朝一番で容疑者が来るからしっかりと、現場の期待に応えてやってくれよ!」
久我鷹司検事(28歳)を呼んでこの案件の書類を渡した。
久我鷹司検事
アメカジが好きで検事らしくない服装に明るい茶色のセミロングの髪型、役者のような整った顔、いつもデニムにヴィンテージもののGジャンにボタンダウンの白シャツ、ブランドのモカシンシューズをはいていた。
Gジャンの左胸には検察官のバッジ、形は紅色の旭日に菊の白い花弁と金色の葉があしらってあり厳正な検事の職務とその理想像とが相まった「秋霜烈日のバッジ」をつけていた。
【秋霜烈日‥秋におりる霜と夏の厳しい日差しのことで、刑罰や志操の厳しさにたとえられています。】
「あれ~悦ちゃん、今日はチョ~エロイ、格好じゃん、彼氏とHすんの~」
体にフィットしたノースリーブの ニットセーターで男性を威嚇する凶器のようなデカい胸を隠し、そこに首からかかるゴールドのハートのネックレス、丈の短いスカートでヒップを強調してピンヒールの黒いパンプスにウェ~ブがかかったの艶のある長い髪に少したれたエロイ目つき‥‥場所が違えば夜の女性‥
「フン!、セクハラですよ久我検事」
「私がなにを着ていてもかまわないじゃないですか~」
「イエ~、怒った顔もチョ~カワイイ‥‥」
‥‥‥‥ちょっと軽くて検事には見えない青年だった。
ちょうど片手にコーヒーのカップを持って朝の事務所の休憩室でやたら色気をふりまわして、彼のサポートをしている年上の検察事務官、尻沢悦子(32歳)と雑談していた久我検事
部長からよばれて渡されたひき逃げ事件の送検書類をもってタバコは吸わないが、小さい頃から今までめったにあったことがない父がくれた、小さな菊花紋が彫られたしぶくて気品がある金属ライターの蓋を親指でカチャカチャ上下させながら検事室でそれを読み始めた。
‥‥‥それを読んでいた彼の目つきは変わった。‥‥‥
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関東旭大学医学部附属病院の5階の脳外科病棟、団長は502号室の個室の前に、はやりのすその短い、白衣に首から聴診器を下げて、黒縁のメガネをかけてどう見ても医学部の学生か見習いインターンの格好をしてどこからか持ってきた処置用ワゴンを手で押して立っていた。
エーアイが案内したのは新宿の歌舞伎町にあるコスプレショップ、そこは世界のアニメやゲーム、漫画などのキャラクター用の衣装やコスチュームを製作・販売している店舗、ほかにもいろいろな職業の衣装がなんでもそろっていた。
”なんだこれは~すげ~、TVで見た事があるアニメの主人公が着ている衣装が売っているのか”
”そうで~す、ここでは他にもいろいろな職業の衣装があります、ご主人様には、お医者様の衣装をそろえてしまうのです。”
”そうすれば、ご主人様には病院にいてもおかしくない恰好になってもらえば、誰も不審者には思わないでしょ”
”なるほど、さすがエーアイだぜ!”
こうして団長は医者が着る白衣に小道具の聴診器に黒縁メガネ、それに競馬場に行ってもおかしくないような、作業員の衣装や背広の上下に配達人の衣装や
警備員の衣装などなど手当たり次第に大人買いをして、最後に「護身用収縮警棒」を気に入りそれも購入‥‥‥
買い物ワゴンいっぱいに買い込んで支払いをすませると両手いっぱいの荷物を、ひとめにつかないように柱の陰に隠れてアイテムボックスに全て収納した。
病院のトイレで白衣を着て見習いインターンの格好になった団長は、5階のナースルームの角の通路に置いてあった処置用ワゴンを押しながら病室の前にやってきた。
”ご主人様、今なら大丈夫です。山口紗香様のお母様はいつも昼頃にきています。”
病院のデーターから受付の面会記録の内容を知っているエーアイがアドバイスしてきた。
ノックをして部屋に入り込むとそこには頭に包帯を巻いて静かに眠っている山口紗香がベットに横たわっていた。
病衣の胸からは配線が伸びてベット脇にある心電図モニターにつながっていて、点滴ガートルから体に必要な水分・電解質を維持する栄養剤が入ったパックがぶら下がって右腕の静脈留置針につながっていた。
団長は素早く女神のポーションを取り出すと、エーアイの指示で処置用ワゴンの上のあった5ccのシリンジを滅菌パックを破ってだしてポーションの中身を吸わせた。
点滴のラインの途中にある三方活栓の使ってないキャップを外して、その針をはずしたルアーロック式のポーションが入ったシリンジをつなげると、三方活栓の中央のコックを操作して点滴パックからシリンジにラインを変えてシリンジのプランジャをゆっくりと押し込んで輸液ラインに沿ってポーションがゆっくりと被害にあった女子高校生の右腕の血管に入っていきそして、すぐに彼女の頭部はやさしくひかり始めた。
それを確認した団長は、三方活栓のコックをもとに戻して素早くシリンジを回して抜き取り白衣のポケットに突っ込んで、病室から静かにでるとワゴンを元に戻して廊下の角で様子を見ていた。
しばらくして慌てて看護師がナースルームから出てきて彼女の部屋に入っていった。502号室の扉の上にあるナースコールの表示灯が光っていたのである。
”ご主人様、紗香様は無事に意識を取り戻したようです。”
”気がついた紗香様がナースコールを押して看護師を呼ばれたんですね。”
部屋から慌てて戻ってきた看護師はナースルームの同僚達にすごい驚いた顔で叫んでいた。
「大変~ 聞いてよみんな、奇跡よ~すご~い奇跡!!、502号室の山口紗香さんが目を覚ましたわ~すぐに先生を呼んでちょうだい!」
「エ~~~ウソでしょ‥‥‥だって先生がもう駄目だろうって言っていたじゃないの~」驚く、その場にいた日勤の看護師たち
「それとおなかがすいているそうだから、昼食を急いで手配して~、あと”紗香さんが目を覚ましました!”と御両親の携帯にもすぐ連絡するのよ~」
それを聞いて団長は自分の事を思い出し苦笑いをしながらさりげなく出口に向かった。
つづく、、、




