第23話 騎士団長…ポンコツエーアイの実力
6月に入ってすぐに中間テストがあった、採点を終えた各教科の先生は一人の生徒の答案用紙を見て驚いていた。
「あの、永瀬君が満点だって‥‥‥」数学を教えている教師は、テスト問題を作るときには必ず1~2問、難しい問題を入れていたが、それをいつも完璧に解いていたのはクラスで一番優秀な天城玲亜だけだった。
今回は、その天城もこのイジワルな問題を間違えて学年でただ一人の満点が永瀬優紀だったのである。
英語の教師は、問題文の誰も気がつかなかった小さなスペルの間違いをわざわざ永瀬君は訂正して正しいスペルに直して満点をとっていた。
古典の教師は古文書の意味を現代風に解説する問題をまるでプロの学者の新解釈のように書いた答案をみて「これは、すばらしい、新しい解釈だ!」と驚愕していた。
どの教科も完全で模範的な回答‥‥各教科の先生達は口をそろえて「あの、あの永瀬優紀が~~~満点だって~信じられね~」と言って首を傾げていた。
廊下に貼られた上位10名だけの成績ランキング‥‥そこの一番には永瀬優紀、二番は天城玲亜、それを見た三年生全員が口を開けてたまげていたのである。
ただ一人、天城玲亜だけが‥‥”あたりまえよ~彼はなんたって異世界魔法がつかえるのよ”‥とそれは魔法の力だと思っていたのである。
授業が終わり、部室に向かう団長
”おいエーアイ、さすがにあれはやりすぎじゃねいのか~”
”こいつは学年の下位のデキの悪いポジュションにいたんだぜ‥それがいきなりトップとは、”
”玲亜だけがなんだかキラキラした目で、「あれでしょ、やっぱりあれで答えが分かったのね、すごい~」とか言ってきて納得していたけど、あれってなんだ?”
”何を言っているんですか、ご主人様、これはワタクシの性能を評価するための試験ですよ、完璧な結果をとって当たり前です。”
”ワタクシの右にでる奴は許しません!”
”フフフフ、これでワタクシの実力の一端を皆様にみせることができて少し満足しました。”
全くもって変なスイッチがはいったポンコツエーアイだった。
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6月の第二日曜日
父親がプロ棋士の二年生の桐山俊介君が申し込んだ全国高等将棋選手大会、東京予選大会の団体戦が都立大仙高等学校の体育館で行われた。
午前8時30分集合・受付、午前9時に試合開始である。顧問はクラス担任の黒木綾乃先生だ。
前日になんども昼食の準備と上履きの持参について注意されていて、寝坊して遅刻しないようにと言われて先生とは会場での集合となった。
団体戦は三名で同時に相手と戦い二人勝てば勝利になる、俺と壮太それにやる気満々の桐山君、みんな王子に住んでいたのでいっしょに王子駅で待ち合わせて電車で会場に向かった。
32校の学校がエントリーしていて、俺達の王子南高校は第二組の八校に入っている、ここを三回勝ち抜けば、、第二組の代表となり他に勝ちあがってきた三組の代表と合わせて四校で準決勝を戦い、最後は決勝だった。
桐山俊介君から突然この団体戦の出場の話しを聞いた時は、俺も壮太もびっくりしてしまったが壮太が高校時代の最後の思い出になると言ってくれて俺も承諾した。
「フフフフ、ついに始まりますね、高校生の夏の将棋甲子園と呼ばれる東京大会の予選ですよ~ご主人様~興奮してきました!」
「準備は完璧ですよ、桐山俊介様にはあのサラブレットとしての実力に、これまでたっぷりと汚い手や引っかけ戦法を指導してきましたのでその合わせ技があればこんな大会、問題ありませんよ~」
「そうだろうな~、去年の大会では個人戦にでて本戦まで行って確か準決勝まで行った実力があるからな~」
「ところで、壮太はどんな感じに仕上がっているんだよ~」
「たしか、この大会に出る事を決めた日からなんか、飛車をどう動かすとか、ここで角の通り道をつくるとか、お前に言われて壮太にいろいろ教えていたけどあれは何だったんだ!」
将棋の動かし方しか知らない団長は壮太の様子を聞いてみた。
「フフフフ、壮太様には飛車を左側に振って、柔軟に攻める振り飛車という戦法に最後は角道を素早く開けて相手の隙を突く「鬼殺し(おにごろし)」と呼ばれるスリルと魅力にあふれた奇策を徹底的に教えておきました。」
「これは、速攻で勝利をつかむか相手に見破られてすぐに負けるか、まあ、チームの中の壮太様の立ち位置は0か100しかありませんからね……」
「フフフフ、そして日本の最も計算速度の速いスーパーコンピュターの『富士』を使っているワタクシを相手にして高校生なんぞが勝てるわけがありません。」
「最強のサラブレットの桐山様とこのワタクシ、ご主人様の名誉の為に、この大会すでに勝ちが見えました。ウハッハハハハ~」
ひとり悦にはいってしまったポンコツエーアイだった。
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サイバーセキュリティ対策室の隅の机に置いてあった警視総監のノートPCの電源が突然はいり静かにまた動き出した。
天城達也は自宅で妻がよそってくれたごはんをもらい少し遅い夕食を食べていた、娘の玲亜は自室で勉強をしている。その時、携帯電話のメール着信音がなった。
そのメールの相手先を見て天城達也は思わず食べていたごはんを吹き出すところだった。
またあの時、調べて分かった警視総監のアドレスからのメールが来たのである。
慌てて、それを開くとそこには、またあのお茶目な文言で”昨日の夜に起きた目黒区の女子高校生ひき逃げ事件の本当の犯人で~す”と書かれたファアイルだった。
”えっ‥‥なんだって、今日のニュースで流していた事件じゃないか!”
それは昨夜の9時ごろ進学塾の勉強を終えた女子高校生が自転車で帰宅途中に横断歩道で車にはねられて頭部を強打して意識不明の重体になっている事件だった。
事故を起こした加害者は少女を救護措置をせずそのまま現場から立ち去り、近くに防犯カメラがなかったので時間がかかると思われたが‥‥‥
今日の午前中に事故の現場を管轄する目黒東署へ弁護士とともに加害者が自首してきた事件である。この事件では加害者が大物代議士の専任運転手という事でニュースは大きく取り上げられた。
弁護士の説明もあり運転手もはっきりと「自分がやりました。怖くなってその場を逃げてしまいました。」と自供したとニュースでは言っていた。
もしかしてと思いそのファイルを開くと、そこにはあの時の画像と同じく目黒区の事件現場近くの大きな交差点の防犯カメラに、黒い高級車のフロントバンパーが大きくへこみ、運転しているのは自首してきた専任運転手ではなく、その大物代議士の長男で政策秘書の八神博隆30歳で助手席にはあきらかに夜の高級なお店に勤める色気タップリの女性が乗っていた。
そこの交差点の場所は事故現場から数分もたっていない時刻も表示されて、あきらかに事故後の画像だとわかった、それだけでなく、その前にいたと思われる高級なホテルから腕を組んで出てくる二人の映像に、そのホテルのエレベータの防犯カメラの映像では二人きりをいいことに抱き合いキスをしたり、イヤラシことをしている不倫画像が何枚もついていた。
父親は現政権の自由民政党の幹事長の八神辰巳(59歳)だ。
八神博隆は長男で政策秘書として勤めていていずれは父親の地盤を引き継ぐつもりだった。
その嫁は元大手TV局のアナウンサーを務めていた派手な女性だった。
そこにはっきりと”ひき逃げ犯人は、八神博隆さんで~す。住所は横浜市中区本牧町※※※~~~”と書かれており、助手席の女性も銀座のクラブ「月の光」のホステスさんで~す名前は中江友里恵(26歳)住所.渋谷区代々木※※※~~~とご丁寧な説明までついていた。
”あちゃちゃ~、これはあきらかに上級国民の特権でもみ消しを図っている事件じゃないか~?”
”たしかに、あのニュースでひき逃げ事件を話すキャスターの言い方は私が聞いていても裏になにかあるな~と匂わせていたからな~”
”どうしようかな~すでに警察の高級官僚達もあいつらと”同じ穴のムジナ”だ有名国立大学や私立大学の同窓などで完全につながっている”
”目黒東署の署長もたしか有名国立大学の出身のキャリアで、その派閥に入って出世しか考えていない奴だ、幹事長の八神辰巳の事務所からも”運転手が迷惑をかけて申し訳ない”とか言って連絡がいっているだろう、”
”事故起こした犯人が出頭して、自分で事故を起こしたことを認めているのだから、なんにも問題ないすぐに身柄を送検して一件落着で終わりだろう。”
”しっかりと弁護士までつけて刑罰を少しでも下げる工作もはじめて、専任運転手にはきっとたっぷりとした謝礼か、とんでもない約束でもしたんだろうか”
”これじゃまるで、ヤクザ組織の親分を守る子分のようだぜ、フフフフフ、政界も裏社会も同じだ!”
”私は目黒東署の交通課にこのデーターを送ってもその取扱いに困り、確実に署長の指示で握り潰される様子が浮かんでいた。”
”長年、警察に努めていてわかってきたが、この警察組織なんか普通のデカい会社と同じだ、縦社会で上層部達は自分達のメンツや出世しか考えていない、正義だけでは動かない”
”よほど世間が騒ぐような事件が起きないと本気にはならない、誰もが面倒なことは嫌うのさ、こんな小さな交通事件なんかはおさまりがつけば誰が犯人でもいいのだ、上級国民がこの国を動かしていると思っている。”
私は、一人の女性週刊誌記者にメールをいれた。
”またムカつく真実がある、明日連絡をください。”
つづく、、、




