第19話 騎士団長…また競馬場に行く。
東京競馬場のパドック
次走に参加する競走馬がパドックを回っていた。未勝利から抜け出し初めての一勝した競走馬や三位以内に入った馬があつまるレースである。
”馬ガール”の黄色い声援の中、向こうの世界の愛馬のような『アルフレート』が目の前にやってきた。
前回と同じように俺は両手を向けると小声で「女神の加福の力を!」と叫び、エナジーを送り、その能力を30%あげるバフ効果をかけた。
その瞬間、前と同じように『アルフレート』はビク!として、一瞬止まり頭を上げて周りを見渡したが、馬を引く厩務員が促すように綱を引くとまた大人しくついていった。
そこへ一頭の艶のある真っ黒な黒毛馬がパドックを歩き出すと大勢の大人たちが歓声を上げていた、生産馬では国内の二強の一つである、北海道、日高のエンペラーファームで育てられた黒毛馬『キングスター』である。
デビュー最初のレースはスタートから道中はほぼ最後方でじっとしていて、最後の直線だけで10頭以上の馬を抜き去るという極端な戦術で「後方一気」とも呼ばれ、劇的な勝利シーンを演出したのである。
他の馬が足を使い果たした中で、1頭だけ別次元のスピードで突っ込んでくる姿は圧巻で熱烈な競馬ファンは、その魅力ある走りに感激したのである。
”なんだ、この黒毛馬すげ~人気だな~”そう思いながら何気なく鑑定をする団長
”げげげ~なんじゃこれは~、、能力が全然違うぜ~、3割アップの『アルフレート』でもギリじゃねいかよ~”
”ご主人様~こいつ父親も母親もすごい血統の御坊ちゃまです~ おそらく最高の追い込み馬としてこれからG1レースまでいける要素がありますよ~”
”いや、、俺の愛馬「ファルケン」にそっくりな『アルフレート』には絶対勝ってもらうぜ”
”オッズでは『アルフレート』は2.1倍の二番人気です、『キングスター』がダントツで1.6倍の一番人気さすが金のかかった御坊ちゃまですよ~”
”そうか~2.1倍か~”そう思いながら勝ち馬投票券のマークシートに『アルフレート』の単勝をマークして30万円を馬券の自動販売機に素早くぶち込んだ。
東京競馬場の上層階にある馬主・関係者専用の特別観覧席そこのテラス席には事業で成功して『アルフレート』の馬主になった上田恵子が上品なレディース スーツを着て、そばには調教師の真田凛子も座りドキドキしながら『アルフレート』のレースを待っていた。
「凛子ちゃん、、今日のレースはどうなるかしら‥」
「恵子さん、あの一番人気の『キングスター』は別格ですよ、それに勝つのはさすがに『アルフレート』でも難しいかもしれません。」
「今日のレースは芝1800mで最終コナーを曲がると約530mの長い直線がまっています。」
「レースの展開しだいですが、前走は芝の1600mでしたが先行馬の『アルフレート』にとってこの最後の長い直線では不利です、追い込み馬や差し馬のほうが絶対優位となります。」
「前走の芝1600mのように最終コナーでギヤアップしても最後まで持つかしら、あとはジョッキーの志帆ちゃんのレース展開次第になります。」
女性調教師の真田凛子は『アルフレート』には、このレースで3着以内にはいれば成績優先馬として次の三勝馬のレースに出れると考えていた。
近くの馬主専用の特別観覧席の豪華なソファー席では、大手パチンコ企業のキンググループの会長、金島虎二と藤原和樹調教師が高そうなシャンペンをグラスにそそぎすでにレースに勝った気になって飲んでいた。
「藤原先生よ、今日のレースも大丈夫なんだろうな~」
「儂はこいつを無傷のまま、G1レースの出場馬までもっていきたいんじゃ、わかっているだろう~ぜって~負けちゃいけないんだぜ、そのために先生には高い金を出しているんだからな~」
「フフフフ、、、あの『キングスター』はとんでもない馬ですよ、両親の馬からいいところだけを受け継いでいますからね~」
「まあ~、今の新馬であの馬に勝てる相手はいないんじゃないですか…」
「ワァハハハハ~そうだろな~なんせ2億円も出してセリ落とした馬だからな~」
「ところで、あの12番の貧相な馬はなんじゃ、やたら女どもが騒いでいるが」
「ああ~、あれはクソ生意気な日本中央競馬会初めての女性調教師、真田厩舎の『アルフレート』という福島のいわき市の小さな家族経営の牧場の生産馬ですよ。」
「前走では芝1600mで逃げ切って人気が出ているようだけど、今回は最後の長い直線ではさすがに足が持たないでしょう。」
「追い込み馬にとって有利な芝1800mは『キングスター』にとって、もっとも相性がいいコースですよ」
「あとは、シーズンにおいて勝利数が最も多い岡田騎手がうまくレース展開をして、いつものようにゴール前での追い込みで劇的な勝利を演出しますから」
「ふ~ん、まだ福島では馬の生産をしていたのか、それになんじゃその女の調教師だって、女に馬の調教なんぞできるのか~」
「まあ、会長これも時代ですからね~、たしか騎手も武田志帆とか言ってまだ勝ち数も経験もすくない女性ジョッキーのはずですよ。」
「なんじゃそれは、みんな女ばっかりじゃねいか~、それで二番人気になったんじぇねいのか~ハハハハハ~」と完全に馬鹿にしている大手パチンコ企業キンググループの会長、金島虎二だった。
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タイ国 プーケットのコテージ(海外の悪党たちのアジト)
国際的な犯罪詐欺グループは、高いへいと柵に囲まれて出入り口は一つしかないプーケットのコテージを一棟、買い取りアジトとなっていた。
背後には中国の黒社会の国際マフィア組織、蛇龍会がついており、中国のマフィア組織はタイの政治、公安警察、軍、企業と深く結びついていて、アジア全域に影響力を持っていた。
これらの組織は、麻薬密売、武器密売、賭博、売春、人身売買など、さまざまな違法活動を行っていた。
彼らと手を組んだのは、中国残留日本人の帰国した二世や三世を中心とした日本の反グレ集団『怒龍会』
暴力団が暴力団対策法で厳しく規制されて弱体化しているのに対し『怒龍会』は半グレ組織であるため暴対法の規制がない。
また、中国語を話せるため中華圏の犯罪者・犯罪組織や国際犯罪とも繋がりをもつ、『怒龍会』構成員は日本国籍者や一般永住者であることも多く、犯罪で検挙されても日本国外への退去命令や強制送還などの処分となる事はほぼ無い。そのため、「暴力団も恐れる」半グレ組織となっていた。
電話詐欺で日本国内の摘発を逃れるため、海外に詐欺拠点を設け、組織的に犯行を重ねていた。
東南アジアは、日本との時差が小さく、物価も安いため、詐欺グループが活動しやすい、SNSなどで高額報酬の「リゾートバイト」に応募した人や、ヤミ金業者を通じて集められた多重債務者らが拠点に集められた。
いったん詐欺グループと関わると、拠点に拘束され、詐欺電話をかけ続けることになる。ノルマを達成できなければ、上役に暴力を振るわれ、旅券も取り上げられて逃げられなかった。
騙されて連れてこられた人たちはマニアルに沿って電話をかけまくる手口は、息子や孫になりすまし最初に「風邪をひいて声が変わった」「携帯が壊れて番号が変わった」などと言って信用させた後、「お金が今すぐ必要」と話して振り込みを求めたり、自治体、税務署、年金事務所の職員などと名乗り、医療費・保険料の過払い金や、一部未払いの年金があるなど、お金を受け取れるという内容の電話をかけて被害者が犯人の指示通りにATMを操作すると、実際には犯人側の口座にお金が振り込まれるという詐欺
ここでは日本国内の資産家の老人世帯を襲わせるための実行計画や指示をする『ジャッカル』こと馬淵勇 それとSNSで実行犯のリクルートを担当する『パンサー』の王城聡介がアジトのトップとして君臨していた。
日本では盗んだ金や貴金属を受け取る『マリア』こと新垣美香、三人とも中国残留日本人の三世で半グレ組織『怒龍会』の構成員だった。
「うまくいったぜ、マリアからの連絡で盗んだ金はうまく回収して「相対屋」に預けたそうだ。」
「素人の連中を使って強盗をやらせるなんてよ~く思いついたな~、こんなにうまくいくとは思わなかったぜ。」
「それにしても、お前もひどい奴だな~、ババ~の指を折れとか思いっきり蹴りを入れろ!とかよく指示できるな~」とリクルートを担当する『パンサー』が言うと、、
「あのババ~、すぐに金のありかを言えば痛い思いをしなくてすんだのにな~馬鹿なババ~だぜ」
「それに、やったのは俺じゃね~ぜ、ハハハハハ~」
「お前がリクルートした連中じゃないか~、まあ~あいつらもストレスでも溜まってんじゃねの~だからあんな派手に出来るのさ、」
「それにして、なんか簡単につかまっちまったな~そんなに身元がすぐにバレるような素人だったのか」
「マリアの話しでは東京ではニュースに取り上げられて大騒ぎになっているそうだ、どうする、しばらくおとなしくするか、」
「ああ、そうだなしばらくしたら、今度は関西の資産家の年寄りの家でも襲うか、どうせ捕まるのはバカな連中だからな、」
実行計画や犯罪指示をする『ジャッカル』は次のターゲットを関西方面の資産家を狙う計画をするのだった。
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東京競馬場
レース2分前になると投票は締め切られ、スタート地点に集まる14頭の競走馬たち女性ジョッキーの武田志帆は少し緊張しながら係員に誘導されて「スターティングゲート」に向っていた。
6枠の馬番号は12番、隣には7枠の馬番は13番ベテランジョッキーの岡田騎手が乗馬する一番人気の『キングスター』
”絶対に負けないわ!、、『アルフレート』お願い、必ず勝ってちょうだい”そう言って『アルフレート』の首すじをやさしくなでる志帆だった。
最後の馬がゲートに入いるとすかさず「ガシャン!」とゲートが開きついにレースがはじまった。
つづく、、、




