第13話 騎士団長…古武道を習う。
玄関の脇にある受付の隅に長い白髪を後ろで束ねて道着を着ている爺さんが椅子に座り、スケベな目つきで女性インストラクターが体を動かすたびに上下に揺れる巨乳を鼻の下を伸ばして見ているのに気がついた。
まさかと思いながら‥‥その爺さんを鑑定すると
名前 天城信義
年齢 72歳
職業 古武道家 格闘術指導者
身長172cm 体重72kg
能力レベル
体力 50
筋力 40
俊足 40
剣術 80
体術 77
スキル 古武道、天城神道流 八段
”まちがいない、このスケベな爺さんが天城玲亜の祖父だ!‥”
「あの~、すみません……ここは天城神道流の道場でしょうか?‥‥」と尋ねると俺に気が付いた爺さん
「あ、あ~そうじゃ~‥お前さんが孫の友達の永瀬くんかな‥‥」
「はい、そうです…剣術や体術を習いたくてやってきました。」
その爺さんは、よいしょっと言いながら椅子から立ち上がると受付からでてきて、玄関で下駄をはくと外に出てついてくるようにと言いながら道場の裏に俺を案内した。
「孫から聞いてるよ~そんな若いのに剣術や体術が習いたいなんてめずらしいの~、今の若いもんは仲間同士でダンスのステップを覚えて自慢するもんじゃないのか~ 」
「いや~僕はダンスのことはわかりませんが~‥ただ人より強くなりたいだけです。」
「そうかの~めずらしい奴じゃ、もうこの時代、武道では飯は食っていけないからの~こうして、道場をダンス教室に貸してその賃料で生活しているわけじゃ~」
「まあ、暇つぶしに受付も手伝っているが‥‥あのインストラクターはホントに目の保養になるわい。」
そう言って裏にある、母屋と繋がる小さな建物に案内した爺さんと俺は中に入ると、数人が練習するには十分な広さの畳の道場だった。壁には木刀が数本かけてあり、奥の壁には達筆な筆文字で天城神道流と書かれた掛け軸がかかっていた。
「ここは、限られて者でしか使ってこなかった場所だ、今じゃ、息子はあれだけ強くしてやったの警察官になってあとを継ぐ気はないし、孫の玲亜も耳の病気でもう剣術どころじゃないしな~」
「あれ~、天城さん、お爺さんに言ってないのですか~‥‥金曜日に学校で聴覚が戻ったと言って泣いて喜んでいましたよ~」
””あああ~ご主人様~、、本人が言っていないのに~教えていいんですか~””
”あちゃ~ちゃ~…つい言っちまったぜ~”
「なに~孫の聴覚が戻ったて!…そ、それは本当か~」
「本当よ、おじいちゃん‥」そこへ道着にフリースを着込んだ格好で天城玲亜がタイミングよくやってきた。
「昨日、確認の為にお母さんといっしょに大学病院の耳鼻科に行ってきて、聴力検査の結果、ちゃんと治っていると先生もビックリしていたわ」
「そうか~、ああ~~よかった‥よかった‥難病だと聞いていたが‥そんな奇跡の様な事もあるんだな~」
孫の聴覚が戻った事を聞いて喜ぶ祖父だった。
「それじゃ~ 永瀬くん少しその木刀をもってきてすこし素振りをしてみようか」少し剣術をかじっていると聞いていたので、その技量を確認しようと軽く言った天城信義
団長は壁にかかっていた、木刀をとりそれを片手で軽く振りながら‥‥
”なんだこれ~軽すぎるぜ~”普段は3kgの刃を潰した鉄剣を振りまわして練習しているライアン団長にとってその木刀は羽のような軽さだった。
そう思いながら道場の真ん中に向かうと。両足を開き腰を落として素振りの意味を勘違いして、普段やっている騎士団の練習の型である、防御の型と攻めの型を繰り返しやって見せた。
「ビュッー‥ビュッー」と空気を切る音と黒い木刀が素早すぎて線のようになって見える軌道に‥‥
道場主の天城信義と孫の玲亜は口を開けたまま固まっていた。
普通の素振りとは、上段に構えて足を動かし相手の面を打つ正面素振りをさせて技量を見極めようとしていた二人だったが、いきなりはじめた独特の剣の舞い、見ているうちにそれは、防御の型と攻めの型だと気がついた。
さらに天城信義は驚いた!
”その剣技の型は‥‥100年ほど前までは天城神道流の免許皆伝した者だけが許された伝承の剣技の型‥‥時代に合わなくなり、その伝承の剣技の型はすたれてしまって、今では知っている者もほとんどいない”
”なんで!?‥‥なんでこの少年はその型をできるのだ!”
”ちょっと‥ちょっと、ご主人様、剣術の師匠と玲亜様がびっくりしてこっちを見ていますよ~”
”ご主人様なんか、ボケやっちゃたんじゃないですか~”
”えっ!、それじゃ、、このへんでやめようか~”
5分程、木刀を振り回して体が温まったライアン団長、二人を見ながら‥‥
「ど、どう、、でしょうか~、これでは教えていただけないでしょうか。」
「な、なにを~永瀬くん~ぜんぜんできるじゃないのよ~!‥いつからそんな剣術の型を覚えていたのよ~」と彼が王国騎士団長だった事を忘れて目を丸くして驚いている玲亜
「お前さん、その剣の型は誰に教わったのだ!‥」真面目な顔で聞いてくる道場主
「えっ!……じ、自分で考えて……自己流です。」
”やばいぜ、あの爺さんなんか気がついたな~”
”まさか、数百年前に魔人から王国を救ってくれた、”異世界”から転移した”サムライ”という人物の剣術と体術、その型が伝承されて我が騎士団の武術になっているなんて言えるかよ!”
俺の事情を知っている、玲亜に向って何度も‥‥”お前がゴマカセよ~”‥と目で合図を送ったらやっと玲亜が気がついて‥‥
「そ、そうだ!お、、お爺ちゃん …天城神道流の極意「切落とし」を説明してあげてよ…」
「えっ、、何ですか?、そのかっこいい名前の極意『切落とし』とは、師匠、ぜひ教えてください。」と媚を売ってごまかそうとするライアン団長
「ウ~ン、そうか、自己流の型か~だがそれはしっかりとした剣術の型だ!、ずいぶん練習しているようだな~」と驚いていた天城信義は説明をはじめた。
「玲亜の言う『切落とし』という剣技は剣術において非常に重要な技法だ、相手の剣を「死太刀」とし、自らの剣を「活太刀」とする技だ。」
「簡単に言えば相手が仕掛けてきた刀を上から打ち落として、すばやく相手に打ち込んでいく剣技だが、これがなかなか難しい‥‥」
「相手が打ち込んでくるところを体さばきでかわしながら打ち落とすのじゃ…タイミング的に高度な技術が必要で‥‥刀の勢い、気迫などで相手に勝ってないとできないからのう‥」
「玲亜ちょっとそこで彼の相手をしてみなさい‥」
「はい、わかりました。」彼女はフリースを脱ぐと壁に掛けてある木刀をとり軽く素振りをすると団長の前にやってきた。
道着を着て薄化粧の玲亜も可愛くて”ドッキ~♡♡”としている団長‥‥
「いつでも、いいわよ、かかってきなさい‥‥」彼を挑発する玲亜
木刀を上段に構えて足を動かし相手の面を打つように素早く前にでて木刀を打ち下ろす団長、
玲亜もすばやく振りかぶってそのタイミングを逃さず、体捌きでかわしてまっすぐにふり下ろし相手の木刀がのびてくるところを出会い頭に、団長の木刀をそのまま右ななめ前に打ち落す。
そして、すばやく団長の顔面に向って一刀両断するという感じ木刀を振り落とすところで寸止めをした。
「えっ!?………」 一瞬の出来事で自分の攻撃がかわされ、正面から切られたとことがわかった団長は驚いた!
「剣と剣の交差する瞬間での現象で、体捌きで相手の剣をかわして、それを打ち落とし間髪を入れずに振りかぶって相手を倒す。これが『切落とし』という剣技だ」
「この基本は、素振りと素早い体捌きだな。」
「体捌きは基本動作を何度も繰り返し練習することで、正しい体の使い方を体に覚え込ませるしかない。」と説明する天城信義だった。
すっかり、その技に魅了された団長はその場ですぐに正座になり、玲亜の祖父に頭を下げて弟子入りをお願いしたのである。
入門を許され、その日は昼まで玲亜から剣技を教えてもらい立ち合いをしてもらった。そして師匠からは体術の基本の型を教えられて何度もその型を汗を流しながら反復練習をした。
その日から週二回の稽古を見てもらう事になった団長は修行が終わると。競馬で稼いだ金から
月3万円の月謝の半年分、18万円を封筒に入れてこっそりと渡すと、金払いのいい弟子に喜ぶ師匠だった。
つづく、、、




