第12話 騎士団長…競馬場へ行く‥その2
パドックでは第三レース・三歳未勝利 芝1600mに出馬する12頭の競走馬が周回をはじめるところだった。
俺は「かわいい~」とか「見てハートのマークみたい~」とキャッキャ騒いでる女子達の近くによって、仲間のような感じで久しぶりに近くで見る馬に興奮しながら、周回する競走馬を鑑定眼スキルで観察した。
やはり、人気のある上位の馬の能力はそれほど変わり映えがなかったが、そのうちの一頭に目がいってしまった。
馬の額の白い斑点がハートのような形をしており、歩くの馬の四つ足には白いソックスを履いているように見える白斑がある馬
名前は『アルフレート』……それは魔人軍団との戦いで、俺をかばい魔物のオークキングが投げた槍が刺さって死んだ愛馬の『ファルケン』とその特徴が似ていた。
鑑定はパワー:7.5、瞬発力:7.7、スピード:7.9 スタミナ:7.6 脚質:逃げ馬 能力は上位グループとそんなに変わらなかった。
”おい、エーアイ‥あの9番の『アルフレート』の倍率は今、どのくらいなんだ”
”はい、最新のオッズでは2.8倍です、どうも女子からもあの額のハートがかわいいと推しの人気もあるようで、2番人気につけております。”
”フフフフ、決めた!…こいつだ”
俺は周回して目の前にきた『アルフレート』に向って両手を開いて静かにそれを向けて小声で「女神の加福の力を!」と叫び、エナジーを送り、その能力を30%あげるバフ効果をかけた。
その瞬間、『アルフレート』はビク!として、一瞬止まり頭を上げて周りを見渡したが、馬を引く厩務員が促すように綱を引くとまた大人しくついていった。
俺は建物の投票所にいくとそこら中の記入台に置いてあるマークシートの勝ち馬投票カードを一枚とり近くにあったペンで、第三レースの9番の単勝を塗りつぶして20万円分の投票マークをつけた。
金貨を換金した24万9千円、中古のスマホを買ったりしたが、ここで勝負をかける為に数万を残して20万円をかけることにした。
馬の能力を上げてはいるが絶対ではない、勝率はだいぶあがったが、騎手が落馬したり、他の馬との接触やコース妨害で勝ち馬にならないこともある。
だが、俺は9番の『アルフレート』を見て絶対勝つと確信していた。
背負っていたリュックを降ろして中でアイテムボックスからお金を取り出し、マークシートの投票カードを持って、ちょうど家族連れが並んでいる馬券の自動販売機に紛れ込み、目の前では子供が父親に指図されながらマークシートの投票カードを自販機に入れて購入していたので、その後を、家族の振りをしながらマークシートと現金を素早くぶち込み9番の『アルフレート』の単勝券を買う事ができたのである。
レース2分前になると投票は締め切られ、2番人気で最終オッズは2.4倍に下がっていた。
スタート地点に集まる12頭の競走馬たち、係員が次々に「スターティングゲート」に馬を誘導して整列させていた。
最後の馬がゲートに入いるとすかさず「ガシャン!」とゲートが開きレースがはじまった。
『各馬一斉にスタートしました。 おっと~ここで9番アルフレートが出てきた~、早い早い‥‥二馬身‥三馬身‥どんどんと逃げていく~この勢いは最後までもつのか‥』
場内にレースの実況放送が流れた。
コースの中央にあるでかい「オーロラビジョン」には先頭を逃げる9番の『アルフレート』のアップが映し出され、それを応援する大勢の女性ファンの「キャ~、ガンバレ~」と黄色い声が響き渡っている。
『最終コーナーを曲がった9番アルフレートがダントツのトップ‥おっと~ここで追い上げてきた~11番トライアンフそれに4番のレッツゴーキリヤマ‥盛んにムチを入れてる。』
『さ~て、直線にはいっても先頭を走る、9番アルフレート速い速い、ここでまた‥‥なんと!~またギヤアップした!二番手との差をどんどん離していく~凄いスタミナだ!~』
『凄い、凄いぞ!ターボエンジンを積んだ9番アルフレート~このレースを完全に逃げ切った~~~!!』
実況放送をするアナウンサーもその異次元の走りとスタミナに驚きながら絶叫していた。
さらに大騒ぎしているのは、額のハートのマークとホワイトソックスをはいているような白斑がある馬それに魅力を感じて応援していた『馬ガール』達‥‥盛んに動画や画像をスマホに取り込みSNSなどにどんどんあげていた。
俺はゴールを決めると拳をつくり腰元で小さくガッツポーズをして、死んだ愛馬の「ファルケン」を思い出していた。
平原での騎士団の演習では、ぜったいに他の馬に先頭走らせることを許さず風をきって気高く走っていた愛馬だった。
”ご主人様、またこの『アルフレート』が出るレースはチェックしておきます。”
”悪いな~そうしてくれ、なんかこいつを気にいってしまったんだ。”
最終オッズは2.4倍だ、この20万円の馬券が48万円になった。
的中した馬券は、馬券払戻し機に的中した馬券を入れることで換金が可能だが、100万円を超える的中馬券は受付で人を介さないといけない。
俺は換金している大学生の数人のグループのそばに仲間のように並びながら自分の番がきたらばれないように、素早く札束をとり出してアイテムボックスにぶっこんだ!
こうして、次のレースも同じように人気上位の馬にエナジーを送りその能力を30%あげるバフ効果を与え、30万円の馬券を購入してた結果2.8倍となって84万円が戻ってきた。
二回のバフ効果で体力を奪われたので、これでやめてエーアイおすすめの、この競馬場で人気のメニュー『醤油系ラーメン』を食べて、午後一時には家に帰ることにした。
こうして元手の20万が102万円に増えてこの”異世界”で稼いでいく方法があることにホットして、これでば~あさんには金の事で迷惑をかけずに、好きなことができる資金ができた。
その日は祖母が作ってくれた、おいしいカレーライスを三杯もおかわりをして満足した団長は、日課になっている夜の河川敷のトレーニングにいって一日が終わった。
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翌日、俺は玲亜との約束通り、いつものトレーニングのあとうまい朝飯を食べて、運動ができる格好でエーアイが調べた住所で彼女の祖父、天城信義がやっている道場にやってきた。
どうも、この祖父はエーアイがネットで調べると礼儀や所作に厳しく、昔ながらの稽古スタイルを大切にしている道場で、若い人はあまり長続きしていないようだった。
戦国時代から続く天城神道流、とても長く続く古武道で剣術は相手の斬撃に合わせ自身の太刀を乗せて勝つ「切り落とし」の技法が有名、有力大名家の指南役としても知られる流派だった。
体術は実戦を想定した素手あるいは短い武器を持ってたたかう術で投げ技、関節技、拳による突きや蹴り技など総合格闘技のような体術で、警察や自衛隊でも近接戦闘の元指導者だった。
俺は緊張しながら、少し古い旧家の門を抜け、平屋の木造の道場のでかい玄関のガラス戸を横に引きながらのぞき込むと‥‥
そこそこ広い道場、床はフローリングのような板場の作りに片側の壁にはデカイ鏡が横に貼られその前では、Jポップの曲が流れる中やたら胸のデカい二十代の女性インストラクターがキャップをかぶり、豊満な胸を揺らせて半袖のTシャツにスリムなジャージをはいて十数人の小学生を相手にダンスを教えていた。
”‥‥‥‥はて!?”
”おいエーアイ、ここで間違いないんだろう!”
”はい‥住所はここでまちがいありません。”
”どう見たって、ここはダンススタジオだろう~どこで剣術や体術を教えているんだ~”
玄関の脇にある受付の隅に長い白髪を後ろで束ねて、道着を着ている爺さんが椅子に座り、スケベな目つきで女性インストラクターが体を動かすたびに上下に揺れる巨乳を、鼻の下を伸ばして見ているのに気がついた。
つづく、、、




