第11話 騎士団長…競馬場へ行く。
週末の金曜日、授業が終わり壮太といっしょに部室に行くと、二年生の桐山俊介くんや後輩部員達が俺を待っていた。
あれから毎日、部員達を相手に全員を並べて将棋の指導をしていた。
なんせ、日本の最も計算速度の速いスーパーコンピュターの『富士』と日本将棋連盟のデーターを駆使して相手をしているのだ盤上を見て毎秒44京2000兆回の計算速度で、将棋の最善の一手が速攻で指せるのだから…中盤になってくると余裕があるので二年生の桐山俊介くんの指し方が基本の通りで素直すぎると言葉をかけてより相手を騙す汚い打ち方を指導をしながら、電脳エーアイは将棋を楽しんでいるようだった。
俺はち~とも面白くなかったが‥‥部員たちはみんな、教え方がうまいと言いながら真剣に指していた。
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天城玲亜
私の聴力は昨年の秋ごろから聞き取りづらくなり、近くの耳鼻科にかかったら……
『すぐに大学医学部の附属病院で再検査をしてほしい。』と患者紹介状が渡された。
母と二人で不安を抱え紹介状をもって大学医学部付属病院の耳鼻科に診察してもらい精密検査の結果、それは聴力が少しづつ落ちていきいずれ完全に聴こえなくなる難治性の病気であることがわかった。
それを聞いた時の母は、『お金がかかってもいいので、どうにかして治してほしい』と先生にすがりついて頼んでいたが‥‥
『現在の医学では治せません。』
はっきりと言われてしまった。
家に帰り、私は部屋で一人なるともう普通のように好きな音楽をきいたり、友達と推しのアイドルの話や相談事もできない高校生活、それに普通の大学生活もできないと思うと絶望のあまり枕に顔をつけて、気づかれないようにして大声で泣いた。
そして昨年の冬頃から聴力が半分ほどに落ちてしまい、わずかな音や近くで声を掛けられても全く気がつかなくなってきた。
このままでは高校の授業にも影響が出てきそうになり、学校と相談して席を前にかえてもらい、冬からは補聴器をつけて通学をするようになった。
親しい友達もすでに知ってしまい、声をかける時は肩に手をあてたりして気をつかっていた。
いつも間にか、私の耳の補聴器はあってとうぜんのような生活になってしまった。
私は自分の運命を受け入れて、その日がきた時のために手話の勉強を始めた。
”””””その不幸な運命がかわった。”””””
今日の午後の授業は、だれも気がつかなかったけど補聴器がなくてもはっきりと聞こえる先生の声、健康な時にはあたりまえの事で気が付かなかったが、私はこの普通な体に戻れてまた泣きそうになったけど…斜め後ろの席に座る永瀬くんに気づかれそうで我慢をした。
マンションの家に帰ると、母が補聴器をしていないことにすぐに気がついた。
「レイちゃん、どうして補聴器をはずしているの…故障でもしたの?」
私は昼間の永瀬君との間で起きたことを話すわけにはいかず‥‥
「お母さん‥‥耳が‥‥急に耳が聞こえるようになったの…治ったかもしれない」
「えっ!?‥‥‥エエエエエ~~~」とびっくりするお母さん
翌日の土曜日‥ちょうど大学病院での診察がある日だった。 母親と二人で病院にいき担当の耳鼻科の先生に急に耳が聞こえる話しをした‥‥
母と同じように驚く先生、「すぐに聴力検査をしてみましょう。」と言って隣の聴力検査室に向かった。
聴力検査室は、外部の音を遮断し、内部の音も外部に漏らさないように設計された特別な部屋で正確な聴力測定を行うための防音室である
私はいつものように椅子にすわり、耳の聞こえ方を評価するための医療機器、オージオメーターのヘッドフォンを両耳にあてて、静かに目を閉じてヘッドフォンからする各周波数の音を聞き取っては握っているハンドスイッチのボタンを押し込んだ。
診察室に戻ると先生は驚いた顔をして私と母に向って‥‥
「信じられません!……治っています。」
「それも、通常の健康な人よりも音がよく聞こえているようです。普通は聴こえないと思われるレベルの周波数もお嬢さんは聴こえています。」
「ど、、どうして‥‥進行性の難聴の病気が治るなんて‥‥なぜ、そんな事が起きるのかわかりませんが、間違いなく治っています。」
耳鼻科の先生も奇跡のようだといいながら、三ヶ月ほど様子を見て、もう一度検査をするということになった。
こうして先生からも現在は完治していると言われて、その日の夜はそれを聞いた父親も泣いて喜んでいた。
大きな借りが永瀬くんに転生した騎士団長との間にできてしまった私は、彼がこの世界にやってくる魔人を倒す目的があるのならば、なにか協力ができないかと思っていた。
私はさっそく、近くで道場をやっているおじいちゃんの家に電話して、強くなりたいと言っている永瀬くんの事を話して古武道の剣術や体術を教えてやってほしいと頼んだ。
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永瀬優紀
翌日の土曜日、学校は休みだ。朝のトレーニングを終えて祖母の作ってくれた朝飯をたべながら、祖母に今日は、夕方まででかけてくると話した。
祖母も思春期の高校生だと気をつかい、誰とどこに行くかは聞いてこないで‥
「車に気をつけるんだよ‥‥夜はカレーライスにするから‥」と優しい声をかけてくれた。
”ヤッホ~、俺の一番大好きなカレーだ!……悪いな~ば~あさん、こいつの体で競馬場にこれから行くんだ‥”とは口が裂けても言えなかった。
9時に家を出て5月開催をしている府中市の東京競馬場へ向かう為に王子駅に向かう。
電脳エーアイのおかげで改札口のゲートはフリーパス、JR京浜東北線で南浦和駅で乗り換え武蔵野線で府中本町駅まで電車でいくとここからは人の流れに沿って競馬場通りを歩きながら西門ゲートに向かう団長だった。
”けっこう、時間がかかったな~ここまで1時間30分ぐらいかかっているんじゃねいか”
”そうですね~王子とは都内をはさんで、反対側にありますからね~”
”ご主人様ここからは注意してください、未成年は競馬はできません、係員にはバレないようにしてください。”
俺は入場券を買うと、ちょうど子どもを連れた家族がレジャー目的に来ていたのでその家族の後ろにピッタリとついて係員に入場券を渡して中にはいった。
会場には競馬新聞を片手に赤ペンをもったおじさん達が大勢きていたが、カップル連れや若者に子供とレジャーできているファミリーも大勢いた。
子供たちがむじゃきに遊べる巨大な公園に74店舗ものレストラン・フードショップがあり、名物グルメも目白押しだ。
おかげで未成年の俺は目立つこともなく周りに溶け込んでいた。
”いいですか、ご主人様、電車の中でも説明したように、この世界の競馬は幾つもの勝ち馬投票の方法があります。”
”1着、2着を当てる馬連に馬単、3着までに入る2頭の組合せを馬番号で当てるワイドや1着、2着、3着となる馬の組合せを馬番号で当てる馬券などなど~”
”そんな~めんどくせ~のはしね~よ!”
”1着になる馬を当てる単勝、ただ一つだ”
”俺のこの鑑定眼スキルと加福の力を使って30分位だが能力を30%上げて確実に馬を勝たせて、この世界の貨幣を増やすことができればいい”
”馬券の購入や換金は気をつけて下さいね…なんせ未成年ですから~”
”それと、換金についても100万円を超える勝券は払い戻し器から現金は出ませんよ、係員がやってきて窓口での対面による払い戻しですので‥‥”
”ああ、、あまり、レースを荒らすような勝ち方をしたら、たいへんだからな~人気のある上位馬をちょっこっとだけ、ガンバレ~と加福のバフをかけて応援するだけさ~”
こうして、ちょうど第二レースが終わり、次のレース前に出走馬が周回し、ファンや専門家が馬の仕上がりや勝負の気配を確認できるパドックにいくとちょうど第三レースの出走馬が次々と周回をはじめるところだった。
つづく、、、




