第10話 騎士団長…正体がばれる。
学校に行き出し数日がたった週末の金曜日…ライアン団長は朝、学校へ行くと斜め前に座っている天城玲亜から突然に昼休みに少し話があると言われて…
昼休み、誰もいない将棋部の部室に二人できていた。
将棋盤の置かれた机の椅子に向いあわせで座る二人……
少し恥ずかしそうにして天城玲亜はその知的な目でライアン団長を見つめて、その両耳には違和感のある補聴器がついた可愛い笑顔を赤らめ‥‥‥
いきなり、ぶっこんできた。
”””””「あなたは…誰なの!」””””””
「あなたの事を数日、気にしてよく見ていたけど‥わたしが小学生の頃から知っている永瀬優紀くんじゃないわ」
「ぜったいに違う!」
「あの事故で入院している時になにが起こったのよ……瀕死の重傷だったのに一晩で治ったという、ネットの書き込みを読んだわ」
「聖母マリアの奇跡…そんな事はありえないわ……なにがあったの!」
「いったい…あなたはほんとうに何者なの!?」
真剣な目をして天城玲亜はライアン団長を問い詰めた‥
急に正体を疑われて焦る顔になってしまった団長‥
”ギャ~!、やばいよ~ばれっちまったじゃねいか~どうするエーアイ!”
”まずいですね~このままウソをつき通しても、天城様から周りに余計な事をいいふらされては困りますし、また彼女のように、ご主人様が勉強ができるようになってからは、変に思っている生徒もいますからね~”
”むしろ、本当の事を教えて、天城様の耳も今、女神のポーションで治してあげて恩を売り込み、味方にして秘密を守ってもらった方が得だとおもいます。”
”そ、そうだよな~”
ここで開き直った団長は落ち着きを取り戻した。
「ああ~…確かに俺は永瀬優紀じゃない…」
急に落ち着いた大人の話し方を始めたライアン団長
「俺の本当の正体は、こことは違う世界、アルンヘルム王国を守る王国騎士団長ライアンだ!」
「訳があって、この”異世界”の永瀬優紀に転生して、数年後にこの世界に現れる魔人を倒さなければいけない使命があるんだ…」
「えっ!?…こことは違う世界でアルンヘルム王国の騎士団長…ライアン…魔人を倒す……」
確信をもって、永瀬優紀を問い詰めた天城玲亜だったが~永瀬優紀が急変して大人のようなしゃべり方をはじめた。
その内容はまるで彼女の好きなライトノベル小説のような話しとなってきて驚いていた。
「あの~ひょっとして、あなたの元いた世界では王様やお姫様、それに伯爵とか公爵みたいな貴族に冒険者ギルドとか魔法もあったりするのですか‥‥」
ひょっとしていつも読んでいる小説の異世界のようなところから来たと思った玲亜は核心を聞いてきた。
ああ、そうだ…ちょうどいま、学校の授業の歴史で学ぶ中世の欧州のような城壁に囲まれた都市や街、貴族も大勢いる、それに魔物のオークやゴブリンもいる世界だ…」
”キャ~…間違いないわ…私の大好きな小説の中の”異世界”…そう目の前にいる人はその”異世界”から永瀬君に転生してきたのよ~”
少し興奮した玲亜は、こんなファンタジーで突拍子な話しを彼女は信じた。
「ど、どうやって…永瀬くんの事故の大けがを治したのよ~」と一番、気になることを聞きたい天城玲亜
「そ、それは…これだよ…」
そう言いながら、玲亜の目の前で右手でアイテムボックスを念じてポーションを取り出した。
何もない空間に手伸ばして、いきなり薄いグリーン色の液体が入った小さなガラスの容器を出現させた永瀬優紀を見て天城玲亜はビックリしていた。
「我々の世界の女神がくれたポーション、これはどんな病気やケガでも治してしまう、ポーションだ、君の聴覚が聞こえなくなる「指定難病」もこれで治す事ができる。」
「君が俺とこの体の永瀬優紀の事について秘密を守ってくれるのであれば、これを君に贈呈するよ。」
「えっ!?‥‥何で難病だって知っているのよ!」
「でも、、、本当、本当に私のこの聴覚の難病は治るの!」
「飲んでみればわかる…」そう言って団長はポーションを彼女に渡した。
震える手でポーションの容器を持ってキャップを外す天城玲亜
なんにも疑わずに、それを口元にもっていきゆっくりとそれを飲み干すと…両耳がほんわりと光りだし数分でそれは消えた。
耳の奥で何かが変わった、急にスイッチが入った様に耳から情報が入ってきた…玲亜はそれを感じ取り補聴器をはずした。
今まで感じなかった気配が耳からの情報でわかった。
「聞こえる…聞こえるわ…外で騒ぐみんなの声がきこえる!」
立ち上がり窓際に近づき外で話しをする生徒の声を聴いていた。
「あああ~音が聞こえる、聴感が戻った…これで、これで、、私は…普通に、」彼女はうずくまり泣いていた。……
一年後の今頃は完全に聴覚をなくすと言われたのだ、17歳の少女にとってそれはどんに残酷な運命だっただろう。
手話のテキストも読み始めてそのときがくる準備もしていた‥‥
しばらくして彼女が落ちついたと思った団長は彼女の肩に手を掛けて
「このポーションの事もそうだけど、俺の事もぜったいに秘密だぞ!」
「約束を守れよ!」
「わ、わかったわ!、これは二人だけの秘密よ、私は他の誰にもあなたの事は絶対に言わないわ~」
立ち上がると天城玲亜ははっきり団長と約束をした。
「こんどは、こっちが聞きたい事があるんだが‥‥」
団長は涙をハンカチで拭う玲亜の顔を見て話してきた。
「君の祖父、天城信義がやっている古武道の天城神道流について、その剣術や体術を習いたいと思っているんだが……弟子とかになるには、どうしたらいいのかな」
「えっ!?……なんで、おじいちゃん事を知っているの~、周りの人にはあまり話してなかったのに~」
「それも、なんか異世界の能力で分かるの……」優紀の正体を知ってしまった玲亜は団長のいた世界に興味深々だった。
「それは…どうでもいい……ただこの世界にきて体も若くなり、剣の技や体術も使えなくなった、元のように強くなるために修業がしたいだけだ…」
「こいつの体は、お前よりも弱い、」
「お前も天城神道流の使い手ではないか、お前のように強くなるためにその天城神道流を習いたい!」
「そう言う事なの~わかったわ、今度の日曜日、そうね~私の練習時間が朝10時からだから、その時間に道場にきてちょうだい、私から前もっておじいちゃんに話しておくから…」
「日曜日の朝10:00だな、分かった……」
「なにかあるといけないから、あなたの携帯の番号を教えてちょうだい。」
そう言ってポケットから自分のスマホを取り出そうとする玲亜……
”ご主人様、天城玲亜様のスマホにはご主人様の番号を今、登録いたしました。”
”…ついでに今、LINEの友達登録もしておきました。”
”まじか~…そんなことしたら、まずくね~”
”大丈夫ですよ~、、どうも玲亜様はファンタジー的な現象を喜んでいらっしゃるようなので~”
玲亜は取り出した携帯の電源を入れて…連絡先リストを開くと
「あなたの番号は……ていうか、なんで~!」
「なんで!、永瀬優紀の名前が…あんたの番号が勝手に入っているのよ~」
「あれ~…ラインにもあんたの名前があるし…え~どうなってのよ~」
「あっ!、これって魔法、ねえ異世界の魔法ね~すごい~すごすぎる~ああ~感動!」
異世界魔法だと思い喜んでいる玲亜に……
”あの~すみません…それは魔法ではなくて、ポンコツ電脳エーアイがあなたの携帯を勝手に操作しただけです~”とは言えなくなってしまった団長だった。
こうして日曜日の約束をすると、二人は昼休みが終わる前に教室へ戻った。
天城玲亜が補聴器をはずして午後の授業を受けている事にクラスメイトや先生は誰も気がつかなかった。
つづく、、、




