第七話
汝、この武器の主となり、汝、この武器持ち汝の敵を打ち破らん、汝、この武器を持ち自らを鍛えん、汝、この武器に誓いを起て自らを律しん
魔法陣の中央で先ほど作られてたレイピアとファリンが武器契約魔法陣の契約をする。
「ファリン、レイピアの先端で指先を指して血を刀身に落として、それでそのレイピアはファリンしか扱えなくなるから」
ファリンは言われた通りにレイピア先端で指先を指し血液をレイピアの刀身に垂らす。
垂らされた血液が刀身に植物の茎の様に模様を描き定着するると魔法陣が収縮し刀身に吸収される。
「おつかれさま、ちょっと疲れたよね、まだ病み上がりだし」
「そうね、ちょっと疲れたわ、でも、その疲れはこのレイピアを手にした途端吹き飛んだわ」
ロイがレイピアの鞘を渡し、それにファリンがレイピアを納刀する。
「本当にこれ金属なの?、鞘の状態でもこの軽さは、このレイピア以外使えなくなるわ」
「ちなみに、そのレイピアは他の人抜刀すら出来ない、他人のオドを感知すると物凄い重さになってまともに使えないから」
「その為の契約なのね」
「そうだね、多分抜刀状態だと相当色々馴染むまでに時間が掛かると思うから普段の訓練は鞘のままでも良いかもしれないね」
そそくさとゲートの魔法陣を展開するロイ。
「さ、皆さん帰りましょう」
ゲートの扉が展開され皆そこへ入っていく。
再びエルベム邸の小屋に戻って来た一行。
「父上、ニールはここで寝かせても大丈夫でしょうか?」
「むしろここでないと寝る場所が無いな・・・、申し訳ない」
「では早急に寝床を作りますね」
「そうだな、屋敷の者も手伝わせる、昨日までの庭では申し訳ないし」
エルベム卿が屋敷の人間に声を掛け小屋に藁ではなく人間用のベッドを三つ並べ簡易的に寝床を作る。
《初めてロイと同じもので寝れます、ぜひ感謝をしていたと伝えてください》
ニールがものすごく喜んでいる、メアは何時の間にかファリンに抱えられてちゃっかり寝ている。
「旦那様、先ほど神父様がお見えになり、契約書にサインされていかれました」
執事が現れ神父がサインしたという契約書を持ってくる。
契約書はしっかり四分の一を残して光っている。
「確認した、ではこれをロイに預ける、しっかり国王にサインしてもらえ」
「わかりました、父上」
「では、夕食にしましょう」
食事用の広間に通され、席に着き三人と一匹はファリンの腿の上にいるが夕食となった。
ニールは監獄で相当食べたらしく、こちらでの食事はいらないとの事なので用意はしなかった。
3人でこれからの予定や交通手段等を話し合って、食事を終えるとロイとファリンは湯浴みをし、ファリンの部屋にロイが強制的に連れて来られる。
「えっと、私はニールと一緒でもいいのですが・・・」
「ダメよ、婚約もして、武器も貰って、命まで助けて貰って、私あなたに何も返せてないもん」
「それは、いつでも良いですよ」
じりじりにじり寄られるロイ。
「まあ、いきなり言い寄られても段階も踏んで無いし、迷うわよね、今日の所は慣れてもらう為にハグで我慢してあげるわ、私的には抱かれても良いのだけど」
いたずらする子供の様に可愛く笑うファリン。
「徐々にお願いします」
焦るロイ。
「じゃあ、はい!」
両手を広げ待ち構えるファリン、決心をし待ち構える両手を受け入れるロイ。
(え、なにこの抱き心地、すごい、ちょっとこんなに安心するものなのかしら・・・)
二人抱きしめあって動かない、お互い時間を忘れるぐらい固まっていた。
《ちょっと、何時までそうしてるの》
メアが割って入ってくる。
「ああ、ごめん、ロイの抱き心地があまりにも良かったから固まってた」
《そろそろ、そこの卵にマナなりオドなり流さないと卵死んじゃうよ?》
「ああ、卵~」
《ロイ、ファリンにマナの使い方教えたら?》
「そうだね、使えて損は無いけど、誰しもが使えるとは限らないなぁ、やるだけやってみようか」
卵にオドを流してるファリンの反対側からロイがマナを注入する。
卵が光だし、ほんのり温かくなる。
「これで寝るまでの時間は持つかな」
「ありがとう、ロイ、でマナってなに?」
「ああ、まず基本的に人の体に巡っている魔素の事をオドは分かるかな?」
「それは知ってる、魔術に必要な物でしょ?」
「そうだね、オドは人の血液に入っていてそれが体を巡って魔術を使う為の素になってる」
「うん」
「マナは自然の中で発生している魔素の事がマナなんだよ」
メアを腿の上に乗せ、ロイの説明を聞くファリン。
「マナが植物や動物、魔物にたまると狂暴化して暴れ出したり他の生物を食べたりする」
「それが魔獣なわけね」
「ファリンを襲ったジャイアントベアーも半分魔獣化しかかってた」
「そうなんだ」
「まあ、メアの好物だからメアが食べちゃったけどね」
「私はメアに助けられたのね、ありがとうねメア」
寝ているメアを撫でると気持ちが良いのかゴロゴロとのどを鳴らし始める。
「マナは自然界のモノだから、オドを使う魔術よりマナを使う魔法の方が効力も持続も魔術より強く長いんだ、でもその分使う量が違うのが欠点なのね」
「どれぐらい違うの?」
「そうだね、身体強化だとオドの強化を3とするとマナの強化は15から20ぐらいかな」
「そんなに違うんだ、でもその分マナの消費も大きいんでしょ」
「そうだねさっきの例と同じくオドの強化で3だけどマナの強化で15から20、でもマナは自然から吸収出来るので基本的にマナの方が効果が高く長持ちする」
「ああ、そうかオドは人間の体内だけで色々な回復をしないとダメだけど、マナは自然から何時までも使えるのか」
「うん、そう、でその卵は基本自然の中でマナを注入されて育つものを、人のオドで育てるのでグリフィスはグリフォンより小さい個体が多い」
「なるほどね、で、マナを吸収するにはどうすればいいの?」
「まず、床に座り、呼吸を整える、そして目を瞑りオドを地面に卵に注入した時の様にゆっくり小さく流し込む、流したオドとは違う何かが流したオドと同じように入ってくるのでそれをオドと同じように体全体に巡らせられればマナを使う事が出来るようになる」
ファリンが言われた通りに床に座り呼吸を整える、オドをゆっくり小さく床に流すが体の中に巡るだけで抜ける気配がない。
「これ、かなり時間がかかるのかな?」
「どうだろうね、私は3日座り続けされられてようやくちょっと戻りを感じて5日目で下半身にマナが流れ始め7日目で全身を巡らせる事が出来るようになったかな」
「ロイのお師匠ってかなりスパルタだね・・・」
「まあ、それ位じゃないと狂暴化した魔獣相手に出来ないしね」
「なんとなく、私の婚約者がぶっとんでるのがわかってきたわ」
その場を立ち上がり、メアを抱えベッドに横になるファリン。
「さて、私はそろそろ・・・」
「どこへ行くの?、もうロイのベッドは私の横よ?」
「まだ、同衾は早いんじゃ・・・」
「私の肌を見たくせに・・・」
「あれは助ける為であって・・・、わかりました同衾します・・・」
「よろしい、ってまあ卵とメアが真ん中に居るから同衾と言えるかどうかわからないけどね」
「そうですね」
部屋の明かりを消し、月明かりが窓から綺麗に部屋の中を照らし出す。
「おやすみ、ロイ」
「おやすみ、ファリン」




