第六話
ゲートを潜るとそこは牢屋だった。
扉の向こうから表現出来ない絶叫が聞こえてくる。
「いや、なにここ・・・」
流石にいきなり連れて来られたらビビるに決まってる。
「ここは私達が監獄と呼んでいる場所、以前からニールとメアのガス抜きの為に使ってる場所なんだけど、私もここが何処の位置にあるのか知らないんだ」
「なんでそんな恐ろしい場所に来てるのよ」
「ここぐらいでないとあの二人のガス抜きにならないし、静かに本を読める環境だからたまに来てますよ?」
「私の婚約者、大丈夫かな・・・」
部屋を観察するエルベム卿が一冊の本を手に取りページを捲る。
「うむ、ここの本は以前からあったものか?、それともロイが持ってきたものか?」
「殆どがあった物ですね、全然生活の時間が掛かりすぎて解読出来ていませんが、あちらの背の低い本棚の本は私がこの前住んでた小屋から移動させたものです」
「こっちの本は読めるけど、魔術?本?解説書?ナニコレ」
本の表紙を確認するロイ。
「それは「オドとマナにおける変換術式を要した陣の違いと、それに伴う術式、法式の書き方とその解説」本ですね」
「ごめん、私には理解できない世界だったみたい」
「面白いですよその本、おすすめです」
ファリンから本を受け取り自分のバックに居れるロイ。
「うむ、多分最低でも500年いや700年は経っているなこの部屋は・・・」
「そんな、古い場所って限られない?」
「まだ発見されてないダンジョン、または崩落等で埋まってしまった王国の牢屋とか考えられることは色々あるな」
「さて、あの二人を呼びますね」
ロイが扉から一歩出る。
絶対領域展開
「え、ちょっと待ってそれ最上位防御魔術じゃない」
「そうなんですか?、お爺さんに最初に叩き込まれましたよ?、これできないと聖職者としては下の下と教えられたので必死でした」
方丈を起てマナを通すと赤く光る。
信号音魔法展開
ピィィィィィィィ
どこまでも響く信号音、何処からともなくニールとメアが帰って来た。
《ロイ、ただいま戻りました》
《ただいま、ロイ》
ロイの異変に気がつくニール。
《ロイ、あなた契約をしましたね》
遅れて気が付くメア。
《あ、ホントだ、そこの女としてる》
《彼女は助けた恩を忘れて無理やりロイと契約をしましたね》
「え、ちょっと待って誰の声?、なに?、誰かいるの?」
いきなり頭の中に声が聞こえてきてうろたえるファリン。
「あー、ごめん説明をわすれてました、私と婚約儀式をしたことによって二人とつながりが出来たみたいで二人との会話が出来るようになったんだね」
「二人ってニールとメア?」
「そうだね、ニール、メア、ちょっと成り行きではあるんだけど婚約儀式と婚約魔術契約書にファリンと共にサインしました」
《そうですか、ごめんなさい、私もいきなり知らないオドが入って来たものだから、喧嘩腰になってしまいました》
《ああ、この前の女か、夢魔が近寄って来てたからおやつ代わりに食べさせてもらった女だ》
「改めて紹介するね、ニールは純白のドレイクホース、スレイプニルなんだ地上では最速のドレイクホース、こっちの漆黒の猫がメア、ナイトメアだね、二人とも知ってると思うけどファリン、ローエンス王国第二王女ファリン・ローエンス」
「改めてニール様には命を救っていただきありがとうございました、またメア様に置いては夢魔の脅威から救っていただきありがとうございます、この度ロイと婚約しましたファリン・ローエンスですどうぞよろしくお願いします」
《ファリン、様はいらないですよ、ロイが認めて婚約したなら何もいう事はありません、仲良くしましょう》
《そうそう、そのシロは適当に仲良くしておいてね、それよりファリンは僕にマナと相性が良さそうなので、これからはファリンと一緒に居ても良いかな?ロイ》
「メア、今、ファリンはグリフィンの卵を温めてて、オドを必要としてるからファリンに負担が無ければ一緒に居てもいいよ」
「なんか、耳から聞こえないで頭の中で声がするのがすごい違和感」
メアがファリンの足元にすり寄り、ファリンがメアを抱える。
《ファリン、やっぱりこの子すごく良いね、気に入ったよしばらくこの子と一緒に居るよ》
「よろしくお願いねメア」
《よろしく・・・、なんかこんなに心地いいのは久々だ・・・》
寝てしまうメア。
《まったくいつも寝てるのだからたまには起きていればいいのに》
「久しぶりの息抜きだからね疲れたんだよ」
あたりを見回すロイ、かなり楽しんだようでそこら中に色んな落し物が散乱している。
「これ回収しきれないな・・・」
ひょこり顔をだすエルベム卿。
「これはすごいな、目に見えるだけで旅の路銀の心配はないな・・・」
ひょいと拾いあげた原石は青白く光る原石。
「オリハルコンの原石か・・・、これぐらいならまあ市場は壊れんだろ、まあ王都のオークションとなればゆうにフィニステールまでの路銀の心配はいらなくなるな」
「割りますか?」
ロイは足元にあるオリハルコンの原石を方丈で突く、すると綺麗に四分割される、それをいくつかのオリハルコン原石で繰り返す。
「ああ、ちょとまて、そんなにしたら世界の経済がおかしくなる、やらんでいい」
「オリハルコン原石を突き割れるその方丈もあり得ない代物ね・・・」
「あ、そうだファリンってレイピア使うんだよね?」
「え、そうだけどなんで知ってるの?」
「部屋にレイピアが何本か置いてあったから」
「あー、あの時みたのね、そうねレイピアを使ってるわ、私は守られるより守りたいと思って剣を持ってるの、まあそのおかげで叔父様のお世話になってるんだけど」
大き目のオリハルコン原石をいくつか集めて隣の牢屋の前に起つ。
開錠魔術
カチッン
扉の鍵が落ち、扉が開く。
そこは何もない牢屋だった。
「ちょっと待っててすぐ作れるから」
そそくさと魔法陣を描き出すロイ。
「何をしてるの?ロイ」
「えっと、物質変換魔法陣を書いてる」
「何を変換しようとしてるのかな?」
顔が引きつるファリン。
「オリハルコン」
明るく答えるロイ。
「大丈夫、ちゃんと鞘も作るから、危なくないよ、オリハルコン切れ味良いみたいだし、鞘もオリハルコンだから心配ないよ?」
ロイが魔法陣を起動させる。
「ごめん、ニール、メア、お手伝いお願い」
ニールが入れないので扉を壊し入ってくる。
《よびましたかロイ》
眠そうに魔法陣に乗るメア。
「うん、魔法陣の補助をお願い、ちょっと一人だと安定感がいまいちなので」
ニールも魔法陣に乗る、すると揺らぎの大きかった魔法陣が安定する。
「いけそうだね、このまま進めるよ」
我、悠久の時を経て大地に眠る物を今に求めん、変化と共に現代に新な姿とその役割を与え、我の元に現れよ
大きな青白い光現れ魔法陣中央に置かれたオリハルコン原石が形を変えて現れる。
光が収縮し、その姿がだんだん現れる。
「はい、あげる」
拾あげたロイがファリンに渡したものは・・・。
「待ってオリハルコンレイピア何て国宝どころじゃすまないじゃん!」




