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聖盾(せいじゅん)の魔法使い  作者: 嘉七
ノークアミス王国編

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第十八話

トラブルが止まりません・・・

ファリン「だ・か・ら!、私達は王都アミスの王城に用事があって此処へ来てるの!、それにこの紋章が分からない?、この通行書が読めないの?」


ロイ達一行がローエンスを旅立って二週間が経った。

やっとノークアミスの王都アミスに到着するが入場審査で止められている。


ファリン「貴方大丈夫?、審査官ならこの紋章にこの通行書が本物なのは分かるわよね?」


入場審査待ちは何処でも同じぐらい並ぶので他の街ならネルサームと同じく迂回して進むのだがこの王都はそうはいかない、何せ勝手に婚約話を勧められ、勝手に破談にするのだから詫びの一つも入れないといけない。

ファリンからすれば「勝手に話進めていたんだからバカ兄貴が首の一つも差し出せば良いのよ」と言ってはいるが実際はそうはいかないので詫び状と詫び品を持って来ているのだが・・・。


審査官「わかりました、わかりましたから、直ぐに確認の為に城に使いを出します、なので少し入場をお待ち下さい」


入場門の前でのやり取りでかなりの注文を浴びている状態でやり取りが続く。


ファリン「じゃあ、そこの空き地を貸しなさい、そこで待ってるから」


ファリンが指を指したのは入場門の直ぐ隣、門番の待機所の隣だった。


審査官「分かりました・・・、そこで待機してて下さい」


審査官が渋々了承し、ロイ達は入場門で待機する事になった。


ファリン「暇ね・・・」


ウィンを撫でながら連絡を待つロイ一行。

その間にも入場を待つ人々の列が消化されていく。

太陽が赤く染まり、森に差し掛かり黒い鳥が鳴き始める。


ファリン「ロイ、もうさ時間掛かりそうだからその辺の兵士にでもお詫びの品を渡して次へ進もうよ~」


ロイ「私もそうしたいですが、流石に手紙もありますし謁見しないとダメなんですよねぇ・・・」


ファリン「あ~、もう何時まで待たせるのよ~!」


◇


時間は遡って陽がまだ天辺に到達した頃。

一枚の通達を巡って城内が慌しくなっていた・・・。


中年男性「ローエンス王国からの先触は無かったぞ!」


兵士「しかし、紋章と通行証はローエンスの物で本物でした」


中年男性「それなら、護衛や侍女達を連れて来ているはずでは無いのか」


兵士「いや、白いドレイクホースが引く寝台馬車一台のみです」


中年男性「一台で来る事自体あり得ない、きっと偽物ではないのか?」


兵士「しかし・・・」


中年男性「とりあえず門外に留めておけ、何処にも行かせるなもし動く事があったら警備隊を動かしても構わん」


兵士「承知したしました」


敬礼しその場を立ち去る兵士。

中年男性が不機嫌に書類にサインして始める。


中年男性「万が一を考えて報告をしておくか・・・」


男性が持っていたペンを置き、部屋を出ていく・・・。


◇


もう陽が見えなくなり門に灯りが灯されようとしている時に一人の男性がロイ達の元へやって来た。


男性「もし、間違いが無ければロイ様とファリン様で御座いますか?」


白髪で細身だが服装が貴族そのものを語っていた。


ロイ「申し訳ありません、どちら様でしょうか?」


男性「これは失礼しました、私はドラン・モールファスと言いまして、この国で子爵を賜っている者です」


ドランと名乗った男がロイ達に一礼し頭を下げる。


ロイ「ドラン様、子爵の方が何故私達を知ってらっしゃるのですか?」


ドラン「先日我が領土にてロイ様達一行がお泊まりになった教会は我が領地でして、その際ロイ様には我が領民に無償で治療をして頂いた上に施しまでして頂いたと聞き是非お礼をと思いましたが、既にお達になっており聞けば王都に用事が有ると聞いたもので、私も王都のタウンハウスに用があったものですから、追いかけて来たのです」


ロイ「そうでしたか」


ドラン「失礼ですが何故ロイ様達はここにいらっしゃるのですか?」


ファリン「実はノークアミス国王に書状と献上品を持って来たのだけど、ここで足止めされちゃって」


ロイ「どうやらローエンス国王からの使者としては身軽過ぎてしまって確認の最中らしいのですが、一向に連絡が来ないのですよ」


苦笑いをするロイ。

ドランの表情が少し曇った表情になる。

少し考えたドランがお付きの騎士を一人呼び、何か言葉を交わす。


ドラン「私の権限で中に入れましょう」


ロイ「良いのですか?」


ドラン「領民にして頂いた事に比べれば、容易い事です」


ファリン「ここはドラン様の言葉に甘えましょうよ」


ロイ「そうですね、お願いしましょうか」


ドラン「では、今から私の客人としてご同行願います」


ロイ一行とドラン一行が門に向かい、門番にドランが話しかける。

門番は上からの通達が有るがドラン子爵が保証人となり客人として一緒に入るとなると拒む事が出来ずにロイ一行を王都アミスの門を潜る事が出来た。

ノークアミス王都アミス、ローエンスの王都と人口、規模、経済はほぼ変わらず、取り分け良くも悪くも無い時代が続いてはいるが、ローエンスからアミスまでの道のりで立ち止まった町や村ではローエンスの国内との比較では余り豊かとは言えない状態ではあった。


ドラン「もしよろしければ、このまま私のタウンハウスにお泊まり下さい」


ロイ「ファリンどうしますか?」


ファリン「そうね、もう暗いし今回はドラン様に従いましょう、明日教会に移動しても良いし」


ロイ「ドラン様、よろしくお願いします」


ドラン「わかりました、もし嫌で無ければ王とに謁見まで泊まって頂いても構いませんよ?」


ロイ「それはまた明日、考えさせて下さい」


ロイ一行はドラン子爵先導の元、ドランの王都タウンハウスに向かって行った。


◇


翌朝、ロイ達一行は今後の予定を話し合っていた・・・。


ドラン「なるほど、ではロイ様とファリン様はローエンス国王からフェニステールまで向かわれるのですね」


ファリン「はい、当初は二人でローエンスで婚約式をしてフィニステールに向かう予定でしたが、私の馬鹿兄貴が勝手にやらかしてしまって、そのお詫びに破談の詫び状と品を持って来たのですが・・・」


ドラン「実はどうもこちらでも同じ様な事が起きてまして・・・」


ファリン「えっと・・・、勝手に決めてしまった感じですか?」


ドラン「恥ずかしながら・・・、どうやら我が国でも決まった後で何とでもなると思っている輩がいたもので・・・」


ファリン「はぁ・・・、私の兄弟がやらかしていた事とは言え、こちらでも話が勝手に進んでたとなると・・・」


ドラン「多分、国王との謁見は直ぐには無理かと・・・」


ファリン「最悪どれぐらい待つ事になりますか?」


ドラン「一ヶ月は・・・」


項垂れる二人、一人ロイは出されたお茶を飲んでいる。


ファリン「随分と落ち着いてるわねロイ」


ロイ「やらかした証拠があれば良いんですよね?ドラン子爵」


ドラン「そうですね、証拠があれば動けますから」


ロイ「他の貴族の方々はどうですか?」


ドラン「排除されるのは主に第一王子派の外務大臣と事務次官ですかね・・・」


ファリン「王子同士はどうなんでしょうか?」


ドラン「とても良好な関係ですよ、というかまだ10歳と8歳、婚約のこの字も出ていないですよ・・・」


ファリン「えっ、まだ10歳・・・」


ファリンの体が小刻みに揺れる・・・。


ファリン「私、ロイが居なければ10歳の王子と婚約してたの・・・?」


ロイは相変わらずお茶を啜る。


ロイ「そうなりますね・・・」


ファリン「ねぇ、ロイ、ちょっと馬鹿兄貴を殴りに行きたいからニールを貸してくれない?」


怒りに震えるファリン、今にもポニーテールが逆立ちそうなオーラを纏う。


ロイ「まあ、とりあえず証拠はどうにかなりますが、その後の事後処理をどうするかを信頼出来る方と進めないとローエンス王室の二の舞になりますから」


ファリン「そうね・・・」


ドラン「そこは私達の領分なので何とかします」


ロイ「では、私は証拠を持って来るようにお使いを頼んでおきますのでお願いします」


ドラン「わかりました、こちらで何か必要な物はありますか?」


ロイが少し考える。


ロイ「そうですね・・・、あっ!」


ドラン「何ですか?」


ロイ「もし良ければ、このタウンハウスにある庭先の倉庫を頂けますか?」


ドラン「それは構いませんが・・・、そんな事でよろしいのですか?」


ロイ「それで大丈夫です」




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