第十五話
この話でローエンス王国編が終わります。
正妃の苦労が絶えません・・・
ファリン「保留でお願いします!」
両腕でバッテンを作りごめんなさいするファリン。
クスッと笑う正妃。
正妃「考えを聞きましょうか」
ニコリしながらファリンに問いかける。
ファリン「もし降嫁したとして、もしも王太子に何かあったら今の所世継ぎが居ない状態、そうなると公爵家から血の濃い人が玉座に座る事になりますし、王籍を持ったままだとロイとの旅で色々と面倒だしなぁ・・・、あ~、でもお兄様は子供無理だろうしなぁ・・・」
正妃「そうですねぇ、どっちの選択をしても・・・、って最後何て言いましたファリン?」
正妃がファリンの最後の言葉に引っかかる。
ファリン「あ、いや、カルムお兄様は女性に興味無いので世継ぎは・・・」
正妃「何ですと!、その噂は一部の市民が愛読している薄い本と言われる物の作り話では無いんですか?」
ファリン「薄い本が何なのかはわかりませんが、国王様の女癖を見て成長されてますので歪んでしまったと執事長などは影で泣いておりましたが・・・」
卒倒する正妃。
侍女「正妃様!、お気を確かに!」
その後、王太子カルロが正妃の元に呼び出され、カルロが正妃に全てを打ち明ける。
ファリン「まあ、生まれた時から老いも若いも女性に追いかけられ、しかも容姿までしっかり整っていれば当然この国一の優良株、幼少から何度も寝込みを襲われれば女性不振になるよねぇ・・・」
ティーカップの淵を指でなぞりながら事の顛末を聞くファリン。
ファリン「で、結局私は表面上ロイに降嫁し、叔父様の義理娘として当分扱われる分けね?」
丞相「そうでございます」
丞相が対面に座り説明をする。
ファリン「で、ロイと一緒にフィニステールまで行ってそこで結婚式と洗礼を受け教皇の後ろ盾を貰ってこいと・・・」
丞相「いやはや、バイル様が貴方を排除したかった理由が分かりました」
ファリン「あー、バイル兄さま?はどうなりました?」
ため息をつく丞相。
丞相「色々と嚙み合ってしまい、結果的に大きくなってしまったのは可哀想ではありますが、除籍とし平民兵として国境警備隊に一般兵として配属が決まっています」
ため息をつくファリン。
ファリン「まあ、最大限の温情かぁ」
丞相「後、この事は内密にお願いしたいのですが・・・」
深刻な話をしたそうな丞相。
ファリン「契約魔術契約しましょうか?」
ファリンが一枚の紙をテーブルの上に出す。
丞相「貴方は何処まで知ってるんですか?」
ファリン「王家に連なる者としては、その辺りをしっかり把握しておく事が己の自由に繋がると叩き込まれたわ」
その一言でファリンの裏で動いている人が誰だか察する丞相。
丞相「あの人はあの人なりにこの国を思ってらっしゃるのですね・・・」
ファリン「まあ、私としては私の将来が見えたわけだし、あの人も思いがけない拾い物をして決心したから状況を動かしたんでしょうけど」
契約魔術書をそっとファリンに返す丞相。
丞相「あってもなくても直ぐに耳に入るなら要りませんね」
ファリン「まあ、大体は聞いたわ、入れ替わるんでしょ」
フッと笑い、天井を見上げる。
丞相「本当に筒抜けですね」
ファリン「今だけよ、帰ってきたらまた1からになるけどね」
丞相「その時に私は次へ引き継いでおきますよ」
お互いニコリと笑い握手をする。
丞相が席を立ち部屋のドアノブに手を掛けた時声をかけられた立ち止まる。
ファリン「あー、そうそう、お母様にお迎えが来るから手続きお願いね」
丞相「その話は初めて聴きますね・・・」
ニコリと微笑み丞相を見つめるファリン。
ファリン「大丈夫、書類回すだけだから」
目を見開く丞相。
丞相「正妃様経由ですか?」
ファリン「違うわ、正妃様からよ」
それを聞くとドアを開け、一礼して去って行く丞相。
次の日、ファリンの婚約発表と降嫁、ネイルの辺境伯近衛兵隊長への降嫁、国王の退位に伴う王太子の国王代理と前正妃の王太后への即位が発表された。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
2日後・・・
ファリン「ねえ、私は今日「婚約式」と聞いていたんだけど・・・」
辺境伯近衛兵団長「そうですね・・・」
ファリン「何故、純白のドレスを着て義父の横を歩いているのかしら?」
辺境伯近衛兵団長「私にも意味が分かりません」
ファリン「そうよね?、だってここ大聖堂でしょ?、何故、私は赤い絨毯の上を義父と歩いてるのかしら?」
辺境伯近衛兵団長「それは多分これは「婚約式」ではなく「結婚式」だからではないですか?」
ファリン「やっぱそうよね?、コナリスも大変よね・・・」
コナリス「ええ、大変でしたよ・・・、王都に到着したら行き成り、義娘が出来たと思ったらヴァージンロード歩いているんですから・・・」
ファリン「フィニステールまでは「婚約」って聞いてたんだけどなぁ・・・」
コナリス「そういう話でしたね」
ファリン「まあ、待っているのがロイだから良いのだけど」
コナリス「私は行き成り貴方の義父になり、彼の義父ですよ・・・」
ファリン「叔父様かな・・・」
コナリス「多分そうでしょうね・・・」
前代未聞の正式婚約から結婚まで3日というスピードでの結婚式となったロイとファリン。
関係者が翌日に王太后と国王代理以外全て王都を出立するという事、ファリンの降嫁を他の国に示す為、婚約のままだと王族としての扱いになりフィニステールまでの道々で挨拶やその他諸々の行事などで引き留められる可能性が高い事など色々の事情が絡み合い、正式な式はまた帰って来た後に時間を掛けやるとし、形だけどとはいえ結婚式を執り行う事となった。
王太合「帰って来た時はこの10倍の規模でやるから、楽しみにしててね♪」
とネイルと二人でやる気満々で嬉しそうに話していたのを横で聞いたファリンがげんなりしていたが、聞く所によるともしあのまま他国へ嫁に出たなら、10倍とは収まらず、向こうからこちらへの嫁ぎ先からの迎えパレード、婚約式、嫁ぎ先までの出立パレード、嫁ぎ先での輿入れ式からの晩餐などで多分、「お姫様」を最低2か月はしないといけないと言われ降嫁で良かったとつぶやいていた。
ロイ「さて、出発しますね」
一通り、別れを惜しみ各々が帰路なり新たな旅路へと動く。
ファリンはこの所ウィンに構えなかったのでご飯を上げたり、一緒に寝たり、遊び相手として時間を共有している。
隣国ノークアミスの王都アミスまでは今回の騒動で一方的に婚約破棄となる為、アミスまではロイ達の他にそれなりの「お供」が付いて来る事になった。
エルベム「たまには「王族」として責務を果たせ」
と言われ仕方なしと割り切り旅を再開させる事になった。
コナリスとネイルはえるエルベムに帰り次第、今度は自分が主役として祭壇でネイルを待つ番となり前国王により歪められた二人の時間がやっと戻ってくるとネイルと王太后が喜んでいた。
結局ローエンス王国の後継ぎ問題は解決をしないままだった。
とうかこのまま行けばファリンが帰って来たと同時にファリンが女王として即位、ロイが王配として即位するのが規定路線になりつつあるが、どうも王太后が「最悪の奥の手は私がもう一度頑張るしか・・・」とつぶやいていたのを聞いてしまい、まさかそこまで計算に入っていたのかとファリンが怖がっていた。
こうしてロイ一行は当初一人と二匹?で旅だったはずの旅がいつの間にか二人と三匹?+謝罪隊となって隣国ノークアミスへ向かっていた・・・。
前途多難なノークアミス王国編へと繋がります・・・。




