第十四話
絶対領域のマナの壁に振り下ろしていた剣が弾かれる。
しかし弾かれた反動もそのままに再び剣をロイに向けて振り下ろすが弾かれる。
ロイ「その盾は不変、その盾は不敗、その不変不敗の盾を持って我が盾とせん」
ロイの前方に紺碧の盾の壁が現れる。
その盾がロイを完全に取り込み魔術の入り込み隙も見せない完璧な防御を見せる。
猛攻を加えるが全てを防ぐロイの盾、やがてモスルンが限界を迎え、身体強化が無くなっていく。
両手を上げ疲れた表情のモスルン。
モスルン「降参だ、もう倒す手段が無い」
その言葉と共に歓声が会場に響き渡る。
ロイに歩み寄り握手をするモスルン。
エルベム「見たか、あれが「聖盾」と言われる由縁じゃ」
ファリン「あの時は全然余裕があったのね・・・」
顔がニヤけるファリン。
エルベム「お前さん、顔がニヤけとるぞ、どうせあの聖盾とやってみたいのじゃろ?」
見透かされた顔のファリン。
ロイ《ファリン、聞こえてますか?》
ロイから突然の念話。
一瞬、ビクッとするが直ぐに返す。
ファリン《聞こえてるわ、ロイ》
ロイ《国王の周りに三人、招かざる客人がいます》
その瞬間、身体強化魔法を使い国王の元へ移動するファリン。
国王の周りに三人の人影が迫る。
キーンッ
三人の人影が持つ凶器が国王へ届く事は無かった。
一人は襲撃一歩手前でファリンの蹴りで吹き飛ばされ、一人は手に持つオリハルコン製のファリン専用レイピアが鞘に納まった状態で腹を突かれ吹き飛ぶ、最後の一人はもう一人を突き飛ばしたレイピアで切り返し、瞬時にレイピアにオドを伝わらせ手に持っていたナイフを破壊した。
ファリン「私の方が速かったわね」
目が血走り、ニヤリと微笑み、獲物を狩るかの如く振る舞いを見せるファリン。
吹き飛ばされ無かった招かざる客人は逃走を計ろうと動いた瞬間、ファリンのレイピアが太腿に突き当たり飛ばされる。
飛ばれた客人は一瞬の事で思考が停止している内にファリンにより踏みつけられ動け無くなる。
ファリン「まだ、逃げようと思うなら次はこの剣を抜くわよ」
その場に居た護衛により、取り押さえられた招かざる客人の三人は連れていかれる。
国王は一瞬の制圧劇に唖然とし言葉が出ない。
ファリン「ちょっと、警護は何をやってるの!、離れた私が制圧して恥ずかしくないの?」
国王の護衛達に檄を飛ばすファリン。
その檄で我に帰る国王。
アヴァル「ファリン、良く制圧してくれた、感謝する」
ファリン「臣下として当然でございます」
膝を折り礼をするファリン。
ふと横を見ると制圧に巻き込まれた内務大臣が倒れているのを見つける。
ファリン「ふんっ、情けない、避ける事も出来ないの?」
完全に伸びていて介抱されている大臣を見下すファリン。
エルベム「まあ、そう言うなファリン、誰もがお前さんの様に鍛えとる分けじゃないんじゃ」
遅れてやってきたエルベム卿が少し息を切らしてやって来た。
エルベム「しかし、ロイの影響かお前さんの日頃の欠かさぬ鍛錬の賜物か、身体強化魔法まで習得出来てしまうとはな」
ファリン「ウィンをふ化させるのにマナが必要だったから風魔法と身体強化は頑張ったわ」
大きいとは言えないがしっかりある胸を張るファリン。
ロイ《片付いたようですね》
ファリン《片付いたわよ》
こうして一悶着あったものの、ロイとファリンとの婚約は正式に認められる事となった。
その後、襲撃犯が内務大臣が第二王子の王位継承を推す為の計画であった事が分かった。
内務大臣の長女を第二王子に嫁がせ、自分の地位を盤石にし、何れ第一王子を失脚させる、第一王女は既に他国へ嫁に行っている為残るはファリン、ファリンがロイと王籍を持ったまま結婚などしたら将来、第二王子の邪魔になると考えロイとの婚約を阻止し、他国の妃として売り飛ばす計画だった。
またファリンの母親、側妃ネイルは侍女の一人の母親を攫い、ネイルの食事に微量の毒を混ぜさせていた。
侍女本人は薬として渡されていたので全く分からずしかも弱毒を薄く飲ましていたのでカトラリーに反応が出なかった。
一連の流れを報告され、さらにここでファリン出生の事実が明かされる。
正妃「ファリン、本当は産まれるはずが無いはずだったの」
王妃の個人サロンでお茶をしながら衝撃の一言が放たれる。
ファリン「え、どういう事ですか?」
ティーカップのお茶を一口つけ、呼吸を整える。
正妃「あれはちょど娘のマーヤを生んで次の年だったわ・・・」
ファリンの出生、正妃が丁度、外国からの賓客をもてなす為に迎賓館に出向いていた日だった。
正妃とネイルは幼馴染で公爵と伯爵と身分は違えど双方の母親が仲が良く、互いの家に遊びに行き会ったり宿泊したりと仲の良い関係だった。
正妃が国王に嫁ぐ事になり、正妃の側使えとしてネイルが王室に召し上げられていた。
時が経ち、既に2人の王子と1人の王女を生み、後継ぎの問題も政略結婚の問題もあとは時間が解決する状態で決まっていた為、正妃もこれ以上は体に負担がかかるという事で夜の誘いは断れていた。
偶々、正妃から王城に戻るついてにと外務大臣に言伝を頼まれ、王城に戻っていたネイルが外務大臣との面会を終え、離宮へ繋がる廊下で国王とすれ違い、国王がネイルを正妃についての事を聞きたいと個室に連れ込み、ネイルは国王に純潔を散らされる。
その夜、正妃が離宮に戻ると様子がおかしいネイルに事情を聴くと、正妃は国王に激怒する。
ネイルは伯爵家なので国王の手がついた事への大々的な抗議が出来ず、それを組んだ正妃の実家の公爵家が大いに怒り狂い、危うくまだ幼い第一王子を国王にする手前までの大事となった。
その時、本来重婚が認められない決まりだったが、直ぐにネイルの懐妊が分かり、特別に側妃として召し抱えられる。
この時、密かに密約が交わされ、「王子なら王弟へ養子に、王女なら王宮に留める」という密約が交わされるが、結果的にファリンがお転婆すぎて王弟のエルベム卿の所へ預けられる。
正妃はネイルを守る為、離宮とはまた別に館を建てさせ、ファリンが生まれると館に移り住み、ファリンは5歳まで正妃の元で過ごしやがてエルベム卿の元で暮らすことになる。
正妃「まあ、結果的にあなたはエルベム卿の所へ行って正解だったみたいね」
ほほ笑みながらファリンとロイに話しかける。
ファリン「そうなりますかね・・・」
ファリンが少し照れながら答える。
正妃「だってそうでしょ?、そのイヤーカフとピアスはアダマンタイトでしょ?、指輪も」
ファリン「実はイヤーカフはマナを流すとロイのイヤーカフと会話出来ます、ピアスは防御結界と個人感知が付いてます」
正妃「献上品よりすごいわね・・・」
呆れる正妃。
ファリン「指輪はヒヒロイガネです」
正妃「あなた、国同士の戦争起きるわよ・・・」
ニコニコしながらお茶を飲んでいたロイがティーカップを置く。
ロイ「ちなみに、ファリンのレイピアはすべてオリハルコン製です」
正妃「本当に「歩く国際指名王女」になってるわね・・・」
ここで侍女がお茶を入れ替える。
正妃「さて、本題に移りましょうかね、ファリン、貴方はロイと婚約するわけだけど、このまま王籍を残すの?、それともロイに降嫁するの?、どっちを選ぶの?」




