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眷属神の花嫁  作者: 雨香
第二章 お見合い編

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当主の力

「結衣、落ち着け」


「だって!!月宗様と離れ離れになるかもしれないのに!」


光久さんがそのまま抱っこして涼風(すずかぜ)を連れて行ったので、私達二人だけ。

ひょいと抱かれて膝の上に座らされる。


「結衣は気楽にやればいい。お前の力を信じてないわけじゃない。俺は、結衣の力は種類が違うだけだと思っている」


「?」


「気負わなくていいって事だよ。」


「ちゃんとできないよ」

やり方すら、分からないのに。


「ああ」


「本当は、八咫烏(やたがらす)には桜子の方がいいって分かってる」


「…………なぜ俺は惚れた女に他の女をすすめられてんの…………傷つくだろ。繊細なんだぞ」


「…………うそばっかり」


「俺は結衣に嘘をついたことなんてないよ」


「…………もううそじゃん」


「信頼ねぇ……なぜなのか……」


 不安で仕方ないのにこの時間が心地いいと感じる自分に驚く。一言彼が話すだけで心のざわつきが取れていく様な。


一族のために、力と繁栄の為の嫁取りだというのに、彼の言葉に嘘はない。


「私は負けちゃうもの。そうしたら、悠君の所に行かなきゃいけない」


「させるかよ。あの兄貴の所に返すわけない」


欲しい答えをくれる心地よさに揺蕩(たゆたう)ような気持ちになるのに、どうしようもなく怖い気持ちは変わらない。


笹音(ささね)さんは、強い?」

当主の力に差は無いと聞いたことがある。

けれどあちらの方が神格が上である事は間違いない。


「やった事ねぇけど、互角ってとこじゃね?」


「互角なのに四つ守さん達も夜臣さんも、なんであんなに余裕そうだったの?」


「心配してもしょうがないからだろ」


私はそんな風に思えない。不安で押しつぶされそうなのに。


「桜子は、私が悠君のところに行っても良いのかな…………」


「あの女の気持ちは分からんが……下位の天衛(てんえい)涼風(すずかぜ)の前で嘘はつけない。勝つつもりで挑んできたのなら、自分と同じ地獄に落としたかったのかもな」


好きな人に愛されない地獄?

月宗様じゃなくて他の人なんてもう考えられないのに。


「わた、私は、月宗さまじゃなきゃ、嫌なのに……」


彼の目が細くなって、微かに笑う。

キスの合図があって、抱き寄せられた体が熱い。


濡羽(ぬれば)の花嫁か、上手い事言う」


「里の人達?桜子は、(はらい)の花嫁だったね」


大きな手が私の髪を優しく()く。


「結衣、これが終わったら、婚約しよう」


「婚約?結婚じゃなくて?」


「ああ。婚約なら、涼風(すずかぜ)はまだお前のそばにいられる」


「ん……嬉しい……」


「…………………………あーー……わかってねえかもだけどな、花嫁の婚約って俺に抱かれるって事だぞ?」


「そうなの?いいよ?いっつも抱きしめてもらってるし変わらなくない?」


「なるほど……………わかってないという事がよく分かった………………」


なんだろう。経験はないけど月宗様なら嫌ではない。怖くもないし平気なのに。


「すでに我慢できてねぇ俺が言うことでもないけど…………お前もうちょっと可愛い自覚もった方がいいと思う」


「ふふふ、そんなわけないのに」


 甘い甘いキスが重なる。

月宗様は私から妖力が入り込んでくると言っていたけれど、私の方にトロトロとした愛情が流れ込んでくる様な。


「お前な!そーいう顔するから俺が我慢できねーんだろ!!俺のせいじゃねえな!!!くそっ!」


「???」


「精神統一だ俺」


「??短き時、婚約を許さずって神様に言われたしね?」


「天からもお預けくらってる俺…………」


なんかよくわかんないけど可哀想になってきたな?


「キスなら、いいんじゃない??」


「ギリギリまで攻めていいって事!?」


「???」






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