↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
眷属神の花嫁  作者: 雨香
第二章 お見合い編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

11/106

ドレス

「ごめんね、もう大丈夫」


 涼風(すずかぜ)をぎゅうと抱きしめて元気をもらう。


 リボンを解いた大きな箱には、おちついたピンクシフォンのエンパイア型のワンピースドレスがはいっていた。


 半袖のパフスリーブの袖口と、胸元から首にかけてクロスして結ぶオフ地の絹のリボンがついていて可愛らしい。


「わぁ、可愛い」


「あらあら、若様も張り切りましたねぇ、お嬢様、お手伝いいたしますわ?晩餐には、それを着ていきましょうねぇ」


 開けっぱなしになっていたドアからさっきの2人のメイドさんが花瓶にいけられたお花を手に入ってきた。


 50代ぐらいの優しそうな上品でふくよかな女性と、20代ぐらいの赤髪おさげの女性。


「マキノと申しますわ。お嬢様専属で侍女を申しつかりました。こっちは私の娘ですの。」


「レレと申します!」


 和やかで丸っこい優しいマキノさんと、赤髪でそばかすのある素朴な感じがするレレさんは、笑った顔が何となく似てる。

 優しそうな人達でよかった。

 きっとこれも月宗様が采配してくれたんだろうと分かる。


「若様から絶対に守れと申しつかっておりますの。首ったけですわねぇ」


「私達は強くはありませんが、(いち)が来るなんて!百人力です!」


 レレさんが嬉しそうにぴょんぴょん飛び、涼風(すずかぜ)も真似して跳ねるのがおかしい。


「ふふ、花柳院(かりゅういん) 結衣と申します。こっちは天衛の涼風(すずかぜ)


 涼風(すずかぜ)の頭を撫でながら自己紹介をする。涼風(すずかぜ)も受け入れてもらえていそうで安心する。


「あの、お二人は八咫烏(やたがらす)一族の方なんですか?」


 何となく名前の感じから問うと、二人揃ってうなずきニコニコと笑う。


(わたくし)達は若様の御幼少の時からの臣下ですの。絶対の信頼を下さっているからこそお嬢様に(わたくし)どもをお付けになったのですわ。若様の大事な方にお仕えできて幸せにございます」


「そう……でしょうか。そうだったら、嬉しいです」


「おやおや、まあまあ!若様も隅に置けませんわねぇ!お嬢様、晩餐まであと半刻ほどにございます。さあさぁ、まずは湯浴みを!」


 びっくりするぐらい手際良く着物を脱がされて、やけに広いお風呂に入れられた。

 涼風(すずかぜ)までレレさんに剥かれて私の膝におさまった。


「じ、じ、自分で、できますから……」


 楽しそうに張り切っている二人に抗議するけれど、尻すぼみになってしまう。

 ワックワクでお世話されてる…………

 涼風(すずかぜ)は泡で遊び始めてるし、頓着なさそう。


「お嬢様のお(ぐし)はこのレレにお任せください!ひゃあ、柔らかい!艶々!!可愛い!!」


 テンションの高いレレさんが、私の長い髪に泡を付けていく。

 母が亡くなるまで続けた日本舞踊の習い事の為に伸ばしていただけの長い髪。


 思ったよりも今日一日緊張していたのか、小さな涼風(すずかぜ)を膝に乗せてお湯に浸かると力が抜けて、恥ずかしいはずなのにウトウトと眠りに落ちた。




 ◇◆◇




「ん…………ここどこ」


 窓から気持ちいい夕方の風が入り、天蓋から垂れる布がサラサラと揺れている。


 私はバスローブを着ていて、ふわふわのぬいぐるみを抱いて……


「って、涼風(すずかぜ)!?かわわわわ!可愛すぎる!目が潰れる!!」


 なんと涼風(すずかぜ)はふわふわのテディベア着ぐるみを着ている!!


 モコモコのつなぎで、すっぽり小さなお顔がおさまるフードキャップの部分にクマ耳が!!!布面はそのままだけど可愛い!!!


「お嬢様~起きましたか!では!」


 ひょいとレレさんにお姫様抱っこされ、ドレッサーにふんわり下ろされた。

 ひぇ、八咫烏(やたがらす)、女性でも力持ち!


 涼風(すずかぜ)はクマのまま私の膝によじ登り、長い黒棒を出したり消したりして遊びはじめている。


「クマが…………武器持ったクマが…………可愛いっ!」


「あはは気に入りました?涼風(すずかぜ)のお着替えが無かったんでひとっ走り行って買ってきたんです!」


「最高です!!!」


「やった!じゃあ若にもっとおねだりしましょう!!!涼風(すずかぜ)のお着替えは必要経費です!!!!」


 ふんす!と意気込むレレさんと大笑いして、ご機嫌に一人遊びをする涼風(すずかぜ)を抱きしめる。優しい気持ちに囲まれる事が嬉しくて、なんだかムズムズする。


 丁寧にブラシをかけられて、顔にパックまでされた。涼風(すずかぜ)がパックを珍しがって、自分の布面と同じなのか触ろうとするのをレレさんが慌てて止めるのが面白かった。



「あのドレスならそんなに着るの大変じゃないですし、ヘアセットから先にしましょうか。涼風(すずかぜ)もそこで楽しそうですし!」


 大人しく私の膝で一人遊びする涼風(すずかぜ)はご機嫌だ。クマ、気に入ったのかも。


「はい、お願いします。嬉しい」


 人に優しくされるのも、こんなふうにお姫様みたいに扱われるのも、慣れないけれど嬉しい。


「お任せください!若をメロメロにしてやりましょう!あ、もうなってますけど!」


 本当にそうならいいのに。

 大きな愛情を感じるはずなのに、どこか自信がない。


「お嬢様、大丈夫です!!(わたくし)共が保証しますわ?」


 マキノさんがドレスと小箱をいくつか持って来て私に見せる。


妖狐(ようこ)の当主からの物です。今日のドレスにはこちらが合うかと」


 白い小花が何個も付いたピアスとネックレス。お揃いのヘアアクセサリーまである。白珊瑚らしく、艶々のぷっくりした花弁が可愛らしい。


妖狐(ようこ)の一族からの物をつけるの?」


 彼女達は八咫烏(やたがらす)一族で、月宗様の臣下だ。月宗様のプレゼントだけ持ってくると思ったのに。


「まぁ!お嬢様、いいのです!使える物は使いましょう!ドレスに似合うアクセサリーを用意出来なかった若様が悪いのですから!」


「ふふふ、じゃあ、そうしようかな?ヘアアクセだけは、これを使いたいの。お願いできますか?」


「「まぁ!!!」」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。