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魔導学園ラブロジック!-トキメキはチカラ。-  作者: 花塩樹圭
第三章 魔導狩り

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13/21

澪はいろいろ急成長!

オープニング曲「トキメキってください」

https://x.com/HanashioKikei/status/2040632557730193424?s=20

ツイッター(現X)に動画があります

コピペで飛んでください

 翌朝。

「おっはよー、澪。あんた、デコピンでひろっちをぶっ飛ばしたんだって?」

「ブッっ!? ブッと、いや、なんで紗々羅が知ってるのっ?」

「もう学校内でめっちゃウワサになってるよ? ハレンチPM(パイ揉み)男を怒りの鉄槌・正義のデコピンで粉砕した女、その名も『デコピンの澪』って通り名までついてんの」

「ええええええっ⁈ ウソぉ…なにそれ、また目立っちゃってるぅ…」

「あれ? その反応、真実(マジ)だったんだ」

「…うん」

 もはや手のひらサイズまで縮こまった澪は考え巡る。どうしてその件がウワサになっている? また桐谷の仕業か? いや、あの時あの場所には桐谷はいない。いたのは大樹と…そう。大樹をブッ飛ばしてしまったおかげですっかり視界の外だったが、そういえばあの場には松尾と安倍がいたことを思い出した。二人をキッと睨み付けると

「ッ!? ひゅーひゅーひゅー」

 松尾も安倍も鳴らない口笛を吹いて明後日の方を向いた。

(なぁんてことをぉぉぉ)

 と心の中で恨み節を唱えるが時すでに遅し。どうも隠れ怪力キャラとして新しいイメージが校内全土へ普及してしまったらしい。

「おはよーさーん」

 大樹が教室へやってきた。

「あ、神代君、おはよう!」

 澪は駆け寄りにっこりと朝の挨拶をするが

「うぐっ⁈ お、おはよう…ございます…」

 大樹は僅かにたじろいだ。顔も引き攣っているように見える。

(あれ…? 私、避けられちゃって…る…?)

 無理もない。デコピンでノされた後には電撃でノされたのだ。大樹の防衛反応は無理もなかろう。

「あれ? 澪ってばひろっちと仲良しさんになったん?」

 紗々羅が声を掛けるも

「そのような…そうでないような…」

 あいまいな返答。

「え? またそれなの?」

 事情を知らない紗々羅にしてみれば教室で初顔合わせの状態に戻ったようにしか見えない。


◆


 本日は月が替わって6月1日。

「ぃヨッシャー! 来たぞ来た来た、来たぞー!」

 毎月1日は全校生徒の魔力測定がおこなわれる日。生徒の安全確保のためこまめに測っている健康診断のようなものである。そしてこの6月の計測は、秋に開かれる「魔導インターハイ」の学校代表予選会の性質も併せ持ち、この計測で学年無関係に10人を選抜、インターハイ本戦までに1人に絞り込む。よって魔導への向上心が高い者はここに合わせて状態を仕上げてくる。なにしろインターハイへの出場はもちろん結果次第では進学やそのあとの就職まで含め、魔導関連のエリートコースへ乗れるのだ。だから先ほど叫び声を上げた天城のように強い意気込みを持って臨む者も多い。

「よしよしよし。来たぞぉAMI2.7、ついに兄さんたちに並んだぁ。これなら誰も追いつけない。インターハイ望陵代表はボクに決まりだな。ククククク…」

 3年の測定が終わり2年生の番となった。2-Aから順に測定会場入りしていく。会場は魔導実技棟の1室。今回は先日の「事故」があった第3実技室。清掃は終わったもののセンサー類の調整がまだ十分ではないので、使えないついでに会場にと指定された。

 計測は前方のターゲットに90秒間集中することで測る。普段澪が付けているものとは違う、骨伝導イヤホンのようにこめかみにセンサーを当てるタイプを使う。有線式なのでカチューシャタイプよりも精度が高い。ちなみに今日のターゲットはクマのぬいぐるみだ。

「次の方。お名前をお願いします」

「2年B組白鷺澪です」

「では白鷺さん、始めてください」

「はい」

 澪はレンジへ入りカチューシャを外した。次は測定用計測装置を着けるのだが、その前にチラッと後ろを振り返った。澪の視線の先には大樹。退屈そうに腕を組んで壁に寄りかかっている。あくびも出た。

(なんだか距離を取られてるみたい。二度もやっちゃったから仕方ないんだけど、ちょっと気まずいな…お昼休みにまた話しかけてみようか…うん、そうしよう)

 計測に雑念は禁物。なので澪はゆっくりと深呼吸、それから計測装置を着けた。

「いきます」

 手元のスタートボタンを押し、計測開始。集中しやすいようレンジ内が暗転し、ターゲットにスポットライトが当てられる。同時にス…っと前方のクマを捉えた澪の瞳は透き通るように澄んでいく。計測では構文を使わない。代わりに、意識の奥に「核(コア)」をイメージし、そのコアをターゲットへ重ねる。澪の場合はコアでターゲットを包むような感じ。ただ今日は、なんだかコアが大きいように感じた。

 90秒の到来とともにレンジ内にパッと明かりがついた。

「そこまでです。プリンターの結果用紙を忘れずに持って行ってください。では次の方」

「ふぅ…」

 たかが90秒だが集中し続ける試技者にとっては長い長い90秒。澪は1つ溜息をつくと計測装置を外し、さっと髪を整えカチューシャを着けると計測員のいるブースへ一礼をしてからレンジを後にした。


◆


「スゴイじゃーん、澪ー!」

 教室へ戻り、興奮のあまり紗々羅が澪の背中をバンバン叩く。だが当の澪はA4用紙を見つめたまま固まっている。

 用紙にはこう書かれていた。


【総合判定:AMI 2.6】


「0.9(テンキュー)アップだって! すごい凄いスゴーイ!」

 まるで我がことのように喜ぶ紗々羅。

「ひろっちはー?」

「オレはこの通り」

 と大樹は用紙を摘まんで紗々羅に見せる。

「うーん、やっぱあみおクンなのかぁ」

「お前はどうなの?」

「ウチも0.1(テンイチ)上がったよ。テンイチでも嬉しいのに澪ってばキューだよキュー。スンゴーイ!」

「うん…ありがと…」

「なんだよー、もっと喜びなよー」

「うん…これ、本当に私の用紙なのかな…?」

「だってここに『白鷺澪』って書いてあんじゃん? 間違いないってー」

「そう、なんだ…」

 だが澪は目の前の数字が他人事のような気がして、漠然とそれを眺めるだけだった。


◆


 本当に望陵学園でのウワサが伝わる速さはどうかしている。澪の0.9アップ、そしてAMI2.6という数字は瞬く間に全校へ知れ渡っていた。

「聞いたー? 0.9アップの2.6だってー」

「スゴイよねぇ。あのコでしょ? おっぱい揉まれたコ」

「揉ませたんじゃなくって?」

「いいなー、私も揉ませたら魔力上がるかな?」

「どこ揉ませるつもりよ。無いものは揉めないよ?」

「うっさいなーっ!」

(ナゼだーッ⁈ なぜ、なぜ、なぜ⁈ 澪が2.6だなんて何かの間違いだろッ! だってアイツ、前回の計測で1.7だったんだろ? なんで0.9も上がるんだよッ! 中学のときから面倒見てやってたのに裏切る気かよッ! 校長の娘だからってチートでもやってんじゃないかッ⁈ だがマズいぞ…チートだろうがなんだろうが記録は記録、公式なものだ。アイツ、間違いなくベスト10に入ってくる。そしてこの短期間で0.9も伸ばしたなら次の計測ではボクを…ダメだ、そんなの絶対ダメだ! なんでそんなに伸びるんだ…恋…? 恋愛か? まさか澪が恋をしてるって? まさか相手は… …許せない。絶対に許せない。何かないのか、何か、アイツを止める方法は…それに、ボクに恥をかかせたアイツも…)


◆

エンディング曲「厚底サンダル」

https://x.com/HanashioKikei/status/2050184791463743534?s=20

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