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魔導学園ラブロジック!-トキメキはチカラ。-  作者: 花塩樹圭
第二章 魔導における諸現象について

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11/21

2が3に増える。厄介事も当然増える。

オープニング曲「トキメキってください」

https://x.com/HanashioKikei/status/2040632557730193424?s=20

ツイッター(現X)に動画があります

コピペで飛んでください


挿絵はAI生成のモノ(場合により手直しアリ)

絵は描けませんので…

 神代大樹に友達ができた。

「じんだいはん、マジ、どうやって白鷺はんのあのたわわに実った果実を摘み獲ったんよ?」

「だから知らねぇって! てか、じんだいって何? 誰?」

「神代だからジンダイってことだーね」

「だって、神やん、とか呼んだらマズいやろ? いろいろ、アレで」

「う…まぁそうだけどよ。で、安倍(やすべ)、だっけ、なんでお前はそんな変なしゃべり方すんだ?」

「Oh、ボクはハーフなんでーすよ。日本人とイタリア人の」

「そうなんだ」

「せやからやすべぇはエラい男前やろ? でもモテへんねん」

「マツーオは一言余計でーす。呪いかけまーす」

「それ勘弁。冗談やて。やすべぇのんはシャレにならんて」

「松尾は関西出身なのか?」

「ちゃうで?」

「え…? だって話し方が関西弁…」

「いや、普通にしゃべれるから、標準語」

「…なんで?」

「一身上の都合やで。オトナの事情ってヤツや」

「いや、同い年なんだけど」

「実はボクもしゃべれるんですよ、標準語」

「…なんで?」

 教室の隅でゆるいボケとツッコミが繰り広げられる頃。

「うわ。バカコンビとつるんでるよ、パイ揉み男」

「やぁねぇ、バカコンビが三バカトリオになるじゃない」

(うわぁ…女子の間で神代君の評価が大暴落してるわぁ…)

 件のアレは『PM(パイ揉み)伝説』として語り広められ、張本人である大樹は男子生徒の間で「勇者(デアデビル)」と称えられる一方、女子の間では「近づくと何をされるか分からない」と距離を置かれるように。しかも

(よりによってあの二人と一緒かぁ…)

 松尾と安倍は風紀委員会からも要マーク認定を受けているほどの問題児たち。無論同じクラスである澪は二人の動向は気にしていたのではあるが、澪の言葉通りよりにもよって監視対象の大樹と一緒になってしまった。

(…監視の手間が省ける、のかな? 少しは楽させてもらわないと…)

「で、どうだったんや?」

「何が?」

「もちろん、たわわな果実の揉み心地だーよ」

「ああ…その、なんだ、柔らかくて温かくて、でもこう…弾力があって」

「「ンぅおおおおおおっ!」」

 松尾と安部が鼻の穴を広げて盛り上がったところへ


スコーン


「アイタっ!?」

 猛スピードで飛来した白い何かが大樹の頭を直撃した。

「あらヤダ、手が滑ってしまいましたわ。失礼、落(・)と(・)し(・)た(・)消しゴムを拾いに来ただけですわ。おほほ。ごめんあそばせ」

 いつの間にやら近くにいた澪は大樹の足元にあったそれをに(・)こ(・)や(・)か(・)に(・)拾って自分の席へ戻った。

「いてぇ…マジでいてぇ…」

 頭を抱えて涙目の大樹。

「いやいや、消しゴムひとつでそないに痛いことあるかいな。そんなん豆腐の角に頭ぶつけて死ねますやん」

「それ、逆じゃないでーすか?」

「ネタの通じんやっちゃなぁ」

「でも教室はマズいでーすね。マツーオ、3時間目は体育ですかーら」

「せやな。積もる話はそこでってことやな」

 机の上で頭を抱えて蹲る大樹を尻目に松尾と安倍は勝手に話を進めている。

(あの二人…何か企んでるわね…気を付けないと)

 澪イヤーは地獄耳。音楽で鍛えた聴力はダテじゃない。


◆


 3時間目、体育。もう直ぐ陸上競技会ということで授業内容もそれに沿う。本日の男子は400mリレーがメニュー。全員一人ずつ走って区間タイムを計り、その記録から選手を選ぶ。競技会はクラス対抗なのでエース級は100mなどの短距離に出るため各クラス優勝目指して戦略を張り巡らせることになる。

 一方女子も陸上競技会の練習、ただしトラックは男子が使っているので高跳びと幅跳びの計測。一人ずつの試技なので当然ヒマを持て余す。順番待ちの列は男子のリレーをワイワイキャーキャーと見物、もちろんその列の中に澪もいる。

「へぇ。あいつ結構速いじゃない」

 澪の目は疾走する大樹を追っていた。

「なになにー? なに熱い視線送ってんのー?」

 高跳びの試技を終えた紗々羅が砂場への移動の途中でちょっかい出しにきた。だが澪は紗々羅へ振り返ることもなくトラックに釘付けの様子。

「…うん。神代君、足速いなーって」

「ん? …あー、うん。速いね、確かに。こりゃ2-Bの貴重な戦力だね。リレーだと勿体無いかなー」

「そうね…私が足引っ張っちゃうからその分もがんばって欲しいな…」

「あー…まぁ澪もがんばんなよ。ね?」

「うん、がんばるけど…私、疲れてるのかな?」

「どうかしたん?」

「なんだろう…神代君の走りになんか違和感というか…」

「あー、ハイハイ。まぁそうね、疲れてるっていうかね」

「澪ちゃーん、次だよー」

「あ、いけない!? 行ってくるね!」

「あいよ。がんばってねー」

 スタート地点へ向かう澪を紗々羅は

「がんばんな、イロイロとね」

 目を細めて見送った。

「白鷺澪。行きまーす!」

 右手を上げて助走開始。澪はバー直前でグッと膝を曲げ空高く跳躍


ガシャーン


 しなかった。

「あいったーッ⁈」

 むしろバーへと体当たりとでもいうか。紗々羅は始終を見ていた。

「イロイロがんばろっか…」

 白鷺澪。眉目秀麗、学業優秀の完璧超人と思われがちだが、運動はからっきしである。


◆


 2走目を終えた三バカトリオ。今日の出番は終わりということでトラック内のフィールドに車座で頭を突き合わせている。

「じんだいは望陵(うち)に来たばっかりやさかいな、まだ校内行事ってのを知らんと思うんや」

「確かに知らねぇな。なんか行事あんの?」

「来月アタマには魔力の定例測定、その後に陸上競技会があんねん。クラスのメンツがかかっとるさかい、みんな燃えるでぇ?」

「その点ジンダイの足の速さは魅力でーす。100mは決まりでーしょ」

「まぁ別にどの種目でもいいけどさ」

「なんやの? やる気ないんか?」

「いや、そうじゃなくて。遅く走るのって難しいなって」

「は?」

「何言ってまーす?」

「アレで手ぇ抜いとんのか⁈ ええんやでぇ全力出してもええんやでぇ?」

「反則負けとかヤだろ?」

「ジェットエンジンでも積んでーるか?」

「いや、オレもよく分かんねぇんだ」

「本人が分からんのにワイらが分かるわけないやろ! さて…」

 松尾は校舎本館の壁時計を見た。

「そろそろかいな」

「行きましょーか」

「どっか行くのか?」

「ん? せや、じんだいはまだこの学校の施設、よお分からんよな?」

 松尾は大樹の首に馴れ馴れしく腕を巻き付ける。

「いや、白鷺に案内されて」

「よおぉぉぉぉわぁからぁあんよなぁぁぁぁぁ」

 大樹の目の前で松尾の顔が2倍ほど広がったように見えたが気のせい、しかしとんでもない圧。

「あ、はい…」

「それはいけなーい。迷子になって発見遅れてミイラになるのでーす」

 取って付けたような安倍のセリフは棒読み。機械音声の方がまだ人間らしい。

「あー、それはアカン。アカンやつや。ほな、おっちゃんたちとちと見て回ろっか」

「いや授業中だし」

「回ろっかぁぁぁぁぁぁ!」

「…はい」

 圧に負けた。


◆


「うへぇぇぇ…一度も飛べなかったぁ…」

 自分の試技をすべて終えた澪。彼女の言(げん)通り、試技はすべて失敗に終わっている…のだが、それにしても今日の澪は少し集中に欠けている。

(何なんだろうな、神代君の走り方。なんというか、カクカクしてるというか…)

 澪の目には大樹の走る姿がフレームレートの低い動画のように見えていた。1秒当たり15コマほどだと人の目にはカクカクして見えるそうだ。紗々羅をはじめ他の人には気が付かない程度ではあったが澪にはそうではなかった。

 そのカクカクをもう一度見てみようと澪はトラックにフィールドに大樹の姿を探す。

「…あれ? 神代君は? …あの二人もいない。さては⁉」


◆


 こっそり授業を抜け出した3人は植え込みに身を隠しつつ体育館前を通過するとその先にある建物へ。校舎からは離れになっている小部屋、と呼ぶには大きくて立派。敷地面積は音楽室に準備室を足してもまだ足りないほど、3mはある壁面とその上に屋根、非常に高い位置に採光と換気用の小窓がある。壁面はうすいピンク色に塗られ、一言でいえばかわいい建物だろう。

「なにここ?」

「パラディーゾでーす」

「なにそれ?」

「天国っちゅー意味やな。もうすぐ4時間目の団体さんがお見えになる頃や」

「4時間目の団体さん…まさか⁈」

「そのまさかでーす」

「お前らアホなのか?」

「なんや、知らんかったんかいな。ほな行くで」

 松尾を先頭にそのかわいい建物へ近づく。ただし目隠しのために周囲に植えられた植え込みに身を隠しつつ。

「なぁ…ここって更衣室だよな。女子の」

「さすがじんだいはん、ご名答や。更衣棟って呼ばれてんねんけどな。望陵は元が女子高だけに更衣室も立派なもんやで。おめかし用の鏡にドライヤー、果てはシャワー室まで装備されてんねん」

「詳しいな…まさか覗くつもりか?」

「もちろんでーす。パラディーゾは今ボクたちの目の前にあるのでーす」

「これ、悪いことだよな」

「もちろんでーす」

「分かっててやんの? なんで?」

「せやな…任務、かな?」

「何のっ⁈」

「人生いろいろあるっちゅーこっちゃ。ほな、作業に入りまっせ!」

 建物の壁にはすでに穴があったのだろう、塞がれた跡があった。薄ピンクの壁面に灰色のセメントが塗り込まれている。

「代々の先輩方が楽園目指して穿ち続けた由緒ある穴や。こないだ開けたばっかやのにもう塞がれてもうてるがな。ま、完全修復ってわけにはいかんやろって。ホレホレ、まだ柔いまんまや」

 と松尾はどこから取り出したか小さなドリルやらヘラやらで穴をこじり始める。

「ここはボクらに任せて。ジンダイは誰か来ないか見張っててくださーい」

「ちゃんと番は回してやるさかい」

「いや、別にいいけどよぉ…」

 大樹は周囲を見回したが人の気配はない…はずだった。

「この手応え…もうちょいや。 …気配!」

「Yes(スィ)!」


ガサッ


 植え込みの枝を掻き分ける音に気付いた大樹、驚いてそちらを見れば

「ん…んがぁあッ⁈」

「おや神代君、奇遇ね。こんなところで会うなんて。なぁにをしてたのかなぁ?」

 澪がいた。両腕を組んで仁王立ち。そして笑顔…に見えたその表情、眉も口角も吊り上がり、こめかみがピクピクと脈動している。

「何って、なぁ…あれぇぇぇぇぇぇぇ⁈」

 大樹が振り返ると、そこにはすでに松尾と安倍(バカコンビ)の姿は無かった。


◆


 逃げた二人はプール周りの植え込み伝いに移動し、校舎をつなぐ渡り廊下へと駆け抜ける。

「堪忍やでー、じんだいはん!」

「あとで謝罪しなければなりませーん!」

 中館から北館へ移ったとき、渡り廊下の柱の陰から人。


ザッ…


「ぐぬっ。大佐!」

 現れたのは彼らが担任・胡桃沢さくら。腕を組み、仁王立ちで二人の行く手を塞いだ。

挿絵(By みてみん)

「何度も言ってるが私は大佐ではないぞ。一等陸尉だ」

「なぜ大佐がここにいるのでーす」

「風紀からの通報でな。前科者のお前たちが神代を引き連れて消えた、と。それで先回りしていた。お前たちの逃走経路はすでに把握済みだ」

「ぬぅ。腕を上げましたな、大佐」

「だから大佐ではないと。というかお前らこれで何度目だ? 5回目以降は数えてないぞ」

「9回目、でっしゃろか?」

「目的を達するまでは何度でーも」

「その執念は大したものだが、かと言って見逃すわけにはいかない。確保させてもらう」

「彼我戦力差は2倍。はてさてワイらを捕まえられますかな? やすべぇ!」

「スィ! 要素を風に、万物を引き連れ巻き上がるつむじ風をここへ。【恥辱のトルネード】!」

 さくらの周りの空気が瞬間薄くなり周囲の空気を呼び込む。そして渦を巻き、さくらの足元から吹き上げた。それは仁王立ちのさくらのスカートをも捲き上げ、薄水色の下着を露わにした。

「よっしゃやすべぇ! 今のうちに逃げるでぇ!」

 しかし…さくらは腕を組んだまま表情一つ変えない。それどころか

「【デッドエンドウォール】!」

 逃げ出そうとした二人の前に土の壁が立ち塞がる。

「詠唱済みやとぉ?」

「当然だ! 戦場でモタモタと要素から詠み上げていられるものか! おとなしく投降しろ!」

「さすが大佐でーす!」

「なんの! 意地でも逃げ切るでぇ! これでも食らわんしゃい!」

 松尾はこれまたどこから出したか球形の物体を叩き付けた。それは地面で炸裂し、辺り一面の煙を発する。つまり煙幕だ。

「散開っ!」

 煙でさくらの視界を妨げたスキに逃げ果せる算段。だが。

「姑息な手を! 【リキッドクレイスネーク】!」

挿絵(By みてみん)

 さくらの足元から細長く伸びる土の縄。土要素に水要素を加え生成したもの。それはヘビのごとく伸びていき、煙に紛れた二人に巻き付き自由を奪った。

「二重要素(デュアルエレメント)やてぇ?」

「この程度の魔導が使えずして陸自魔導部隊が務まると思うか!」

「自衛隊って専守防衛じゃないのー?」

「防衛ばかりが陸自じゃない。災害には備えあれば憂いなしだ!」

「ワイら災害扱いかいなー!」

「むしろ人災だ!」

 巻き付いたヘビはその長さを詰めていき、ついにはさくらの両脇まで二人を連れてきた。

「陸上魔導部隊を舐めてもらっては困る。さて行こうか」

 さくらは松尾の耳を摘まんで歩き出し

「イタタタタ!? 歩けます、自分で歩けますから!」

「Oh、ジーザス…」

 二人は泥縄にグルグル巻きにされたまま連行されていった。


◆


 連行された先は生徒指導室。そこには先客がいた。

「おや、じんだいはん、お久しぶり」

「お前らオレを見捨てて逃げやがって!」

「まーまー。その辺は許してちょんまーげ」

 すでに大樹は生徒指導室で正座。その真ん前には腕を組んだ澪が仁王立ち。むっすーと、明らかに、確実に、怒りの表情である。

「お前らもそこへ座れ」

「はいな、それじゃ遠慮なく」

「正座だ!」

 胡坐をかこうとした松尾にさくらの怒号が飛ぶ。

 それから約1時間を経過。さくらの説教が延々と続いていた。澪もまた風紀委員の立場として同席している。

「ふぅ、やれやれ。言って聞くものならとっくに効いているか。健康な男子生徒ならばと思わなくもないが、9回とはさすがにどうなんだ?」

「大佐殿、10回目でしたわ。すんまへんな」

「ああ…もう…」

 松尾の悪びれたところもない様子にさくらは頭を抱える。

「白鷺。お前から何か言っておくことはあるか?」

「そうですねぇ…」

 と澪は大樹の前にしゃがむ。

「ねぇ神代君。そんなに女の人の裸、見たかった?」

「それほどでも…」

 大樹は前を見られない。なにしろ目の前には先日やっかいになった柔らかな肉塊。視線を下ろせば両太ももの奥に見えそうで見えない白い何か。視線に気付かれればマズいことくらい大樹にも分かる。

「見たい見たくないだったら、どっち?」

 そんな大樹の葛藤をヨソに尋問は続く。

「そりゃ見たい、だろ、普通」

「ふぅん、そっか。ねぇ、ちょっと顔上げてくれない?」

 澪は…少しだけ、ちょっとだけお仕置きするつもりだった。大樹の額に右腕を伸ばし


ぴんっ


 と軽くデコピン。もちろん澪の腕力だ、大して力があるわけがない。

 しかし。


ドゴォッ


 大樹は後ろへ吹き飛び、壁へと叩き付けられた。

「…え…? キャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!?」


◆

エンディング曲「厚底サンダル」

https://x.com/HanashioKikei/status/2050184791463743534?s=20

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