A班 救助用機体5021 カイル隊員9-4
まず…どこから探そうか。
もしかしたら居るかも知れない場所…。
『本庄親子の部屋』
『検査室の棟の研究所』
『元独房』
『第二迎撃部隊の寄宿舎』
『司令官の私室』
…司令官の私室はIDが無いので入れない。
となると、四ケ所…。
否、滝中君の部屋で「彼を担当する」と言っていた…。
まだ、職務として全うしようとしていたら…『滝中怜の部屋』もある。
『本庄親子の部屋』
『検査室の棟の研究所』
『元独房』
『第二迎撃部隊の寄宿舎』
『滝中怜の部屋』
の五カ所だ。
この中で一番可能性が高い部屋を考えよう。
出来れば…居るとしたなら…早く見つけたい。
最終本部に行く事になった時…もしくは更に遠い場所…と考えると、移動時間の問題がある。
全部を回っていたら…最悪、奴等の計画を阻止できない。
「…出来ればこの中でハズレを引いたとしても二カ所…三カ所くらいで見つけたい」
「はい。もしかしたら僕らを見て逃げられる可能性もありますし」
「協力的であれば良いんだが…」
「場所や…その場にいる人間によるかも知れないですね」
「その場の条件か。…彼女を詳しく知っている訳じゃないからなぁ…」
「もしかしたら残っている第二の関係者や、研究員が居たら…」
「逃げるか口を閉ざしそうだな」
…誰かが居る場所は居たとしても逃げられる…行っても意味が無い…か。
そうすると…『検査室の棟の研究所』は残っている検査員や研究員がいるから、逃げられるだろう。
『第二迎撃部隊の寄宿舎』では…彼女の部屋に長期間戻った形跡はない。
…戻る事は無いのかも知れない。
残る『本庄親子の部屋』『元独房』『滝中怜の部屋』…三カ所。
「どこへ行きますか?」
「『元独房』へ行ってみよう」
元独房に居た彼女は、研究員と離れて行動していた。
後の…二つの部屋は元独房に居なかったと確認した後に行っても、まだ時間はあるだろう。
ここからも、元独房は近い。
「分かりました」
そう言えば、彼と会話してもノイズが聞こえない…。
「…耳が戻った様だ。…心配をさせてしまったな」
「いえ…」
首を横に振る彼は、浮かない顔をしている。
どうにかなるさ…と気楽に声を掛けられる状況なら、良かったのだが…。
隊員用の元独房に行き、江島女史を探す。
一番奥の部屋に紫のイヤリングをした彼女が立って居た。
「・・・・」
「ん?どうした?」
「いえ…いらっしゃいましたね」
「しかし…今は研究員が奥に居るな」
「今声をかけても…逃げられてしまいますかね…」
「…一度くらい逃げられても追いかければ…」
ドアを少し開ける。
「ここに有る物は予定通り破棄して」
「はい」
「後、もうそろそろ掃除しておいて」
「分かりました」
「じゃ、よろしく」
研究員達に指示を飛ばし、ドアの方へ歩いてくる。
あまりの突然の事に、こっちの…心の準備が出来ていない。
隠れようかと狼狽えたが、隠れる場所も無い。
ドアの前で彼女と鉢合わせした…。
「あなた達…」
こんにちは。と挨拶するのも変だと口ごもる。
「何しに来たの?」
少し不機嫌そうな彼女は俺達の横をするっと抜ける。
「待ってくれ」
呼び止めると、彼女はちゃんと止まってくれた。
「何?忙しいのだけど?」
「第二迎撃部隊の…柳隊長の居場所を知らないか?」
唐突すぎただろうか…。
「…何だ、本庄隊長の事を聞くと思ってた」
「上官の?」
「そっ。本庄隊長の怪我の事かと…聞いてない?」
ドキッと心臓が音を立てる。
「…2人なら聞いてると思ってた」
「撃たれた事ですか?」
「違うわよ。…ま、もう言っても良いか…」
あっけらかんとした口調が、廊下に響く。
腕時計を少し見て「どうせ、柳隊長はここには居ないし…」と彼女が口を開く。
「あの人が検査してる時にこっそり、タイプーAとCの混合を打っておいたの」
「えっ?」
「多分、彼は…本庄隊長は死なないわ。逆に彼の怪我、今頃は完治してるわよ」
「どうしてそんな事を?知ってたのか?」
「効力の事?…タイプーAとCの混合研究は私がしたの。実験もね」
彼女は不遜な顔をする。
「効くまでの時間は…掛かるけど。私だって実験さえ出来れば成果は出せるのよ。でも…」
ふっと悲し気な顔になる。
「あの人も柳隊長も認めてくれなかった…」




