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この話のタイトルは君がつけろ  作者: 樋口 涼


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A班 救助用機体5021 カイル隊員9-2

もう一つ、言っておきたい事がある。と本庄上官が姿勢を正す。


「俺に投与された物は分からないが、同時に植え付けられている恐れもある事も忘れるな」


その危険性も…俺も分かっている。


「…これをお前達に渡しておく」


小型の銃をショルダーホルスターごと、机に置く。


「俺は…持っています」


俺の回収された銃の代わりにと渡された銃は、一つも弾を使ってはいない。


「あぁ。しかし、もう一丁持っておけ。念の為…だ」


ちらっと目線を滝中君に向ける。

上官の…含みを理解し、上着を脱ぎ装着する。


「必要になる事が無いのを願います…」

「そうだな」


一瞬の沈黙の後、滝中君が口を開く。


「あの人を…逃がして…しまいました」


彼の頭には凛さんの事が浮かんでいるのだろう。

第二のヘリが隊列を組んで飛んで行った場面を、思い出す。


「第二の連中にも…逃げられましたね…」

「ここよりも大きい…設備の整った他に移動したのだろう」

「第二基地よりここの方が大きいのに…そんなに基地ってあるんですか?」


滝中君が聞く。

第二基地とここ…第四基地は言わば中規模基地で、本部がある訳ではない。

「あぁ、他にも複数基地がある。それぞれ部隊が所属している…が」と上官が答え…思考に入る…。


「考えられるのは…本部ですね…」


上官と目が合う。


「今はあいつ等が司令官と副司令官だ…。なんでも思う通りに出来るだろう」

「ここから…そこは近いのですか?」

「否、だいぶ遠い…。むしろ…」

「この第四基地よりも、あいつ等のターゲットに近い」


目の前の…上官の回復速度や肉体の活性。

第四基地からの第二迎撃部隊の移動。

凛さんに植え付けられた可能性のある「救世主」。

「救世主」を使った殲滅作戦。

標的に近付く…位置。


「本部に一度連絡を…」


上官は俺と同じ考えに至ったらしい。

すぐさま本部に電話をし、電話口に出た人間に所属と名前を伝え、一時認可された司令官と副司令官がそちらに向かっているかと聞く。


「いえ、来られてはいません。そちらからですと…来られるとしたら明日の早朝には着かれると思いますが…」


淡々と女性が答える。


「そちらに行くと言う連絡等は?」

「…今の…そうですね。今の予定ではありませんし連絡もないですね」


礼を言い、通信を切る。


「上官、あちらには連絡も予定もないと…」

「…直接行かず、どこかを経由するかも知れん…、目的の為には好都合な…最終、本部に行くだろう…」

「その可能性が高いですが…」


行違っては終わる。


「ここに残っている研究員はいるか?」

「全ての検査員が研究員と言う訳ではないので、何人かは残っているでしょう。…行き先を知っているかどうかは…」


そう、ここに…第二に繋がる連中は、おそらくもう居ないだろう。


「管轄内で出撃要請がくれば第二が向かうはずだ。…それに単独で行動をした所で、組織の武器や戦闘機が要る。離脱する事はできない…どこかの…基地には居るはずだ」


自ら電話を取り、虱潰しに他の基地にかけようとしている上官の、手を止める。


第三は…第二基地で…ほぼ死に、第一も数を減らしている。

否、第二も…だが、居ると居ないのとでは違う。

が…代わりが居ればどうだろう…。

権限が今の柳隊長はある。


「…出撃要請があったとして、他の基地から部隊を向かわせる事も…今の柳隊長は出来ます」


第二を自身の傭兵の様に使い、時が来るまで囲う事も…。


「凛を…化け物を産めるまで…第二ごと隠す…つもりなのだろうか…?」

「殲滅作戦が成功すると思っているなら、そうするでしょう…」


しかも、長時間隠す必要が無いかもしれない。

予想が正しければ…たった数日。

数日経てば…。


織田司令官の容態が、本庄上官の様に回復する事は無い。

生きているのが不思議なくらいの、織田司令官の手は借りたくても借りれないのだ…。


凛さんの…救出する手立てが…ない。

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