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この話のタイトルは君がつけろ  作者: 樋口 涼


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164/200

A班 救助用機体5021 カイル隊員8-5

「こんな…近くに…」


上官が頭を抱える。

…探していた司令官は、拷問を受けていた。

四肢を焼かれ、胴体には無数の打たれた裂傷…。

息をしている事が奇跡の様だった。


同時に発見されたアンドレアは…死んでいた。

腕も無く…バラバラにされて。

ストレッチャーに乗せられて運ばれる司令官の横で、俺はアンドレアを拾いビニール袋に入れる。

肉の腐敗臭と糞尿の匂いが混じる部屋の、床に広がるドロッとした液体の中…形が残っている顔を持つ。

頬の肉が俺の手の力で剥がれ、液体の中に戻って行く。

ぽろぽろと白い虫が中から溢れ出し、その上に次々と落ちて…うにうにと動いた。


「何が運が良い…だ…」


ここは…所長の部屋だった。

研究に関するモノは持ち出したのか一切無い。

手術室の様な台と、メスや鉗子、吸引管に並び鋸やハサミが血塗られたまま置き去りにされ、その近くの司令官が()()()()()()所には、鞭や拷問器具の様なものが散乱していた。


…司令官とアンドレアの位置的に、ジャンはアンドレアの遺体に気付かなかったのかも知れない。

知っていたら…。

知っていたら…どうなんだ…。

また笑うのか。俺を攻撃する材料にするだろうか…。

そんな事を考える。


司令官を…拷問したのはこの部屋の持ち主である所長か…ジャンなのか…。

どちらにせよ、化け物より化け物じみている。


肉の塊を拾うのに、膝を動かす。

白い虫がぷちっと弾けた。

『な。…同じだろ』


カラカラと車椅子の音がする。

本庄上官が近くに来たのだ…。

立ち上がり、振り向く。


『司令官用の場所以外は入れるID』…隊長クラスの情報が紐付けされているID。

それを彼の前に差し出す。


「これを持っていた本庄上官もここに入れましたよね?」


この現状を…上官も知っていたと言う…疑い。


「病室で…他のタイプも研究して居る事に触れて…らっしゃいました…」

「…そうだな。ここに入れるIDも持っているし、研究に関する情報も…知っている」

「…これを知った上で、止めなかった…って事でしょうか」


上官が加担していたと一瞬でも…認めたくない。

認めたくはないのだが…。

「情け無い奴だと…卑怯者なのだと事実を知られたく無かった」と言った上官の、言葉の意味を…。

知っていて、見過ごしてきたかも知れない状況を、ハッキリと確認したかった。


「上官が撃たれた時の…話を聞かせて貰えませんか。そして俺の疑惑に対する…真義を教えてください」

「お前が俺を疑う気持ちも分かる…だが、ここでは落ち着いて話など出来ないだろう…一度執務室に戻ろう…話はそれからだ」

「分かりました」


滝中君を引き連れ、上官が去っていく。

俺は一度自室へ戻り、シャワーを浴びた。

服も新しい制服に着替え、汚れた物を全て換え整える。

そして…ジャンが投げたライターを見た。


隊員が消火した後に見つけた…ライター。

少し焦げて黒い…アンドレアのライターだった。

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