A班 救助用機体5021 カイル隊員8-3
「あれは…第二の連中か」
「そ。俺はお前らの引き付け役。…餌だ」
「…なんだ、また見捨てられたのか」
餌だと…?良い言い訳だな。と軽く笑ってやる。
「そうだろう?第二でも取り残され、ここでもだ」
奴は笑ったまま俺を見る。
「何がおかしい」
「別に。右往左往して、あの部屋にビビッて…そんなに悔しいか?」
「何…」
「あの部屋…お前の友達の…猛犬も居てビビッてたじゃねぇか」
あの部屋にも…カメラがあったのか、挙動を一部始終見られていたようだ。
「確かに…お前の言う通り、あの部屋に動揺はした…お前達の様に、俺は狂っていないからな」
「大変だったんだぜ?手か足が欲しいなんて所長が言うから…」
「お前が回収してきたのか?」
「すごい量だろ?苦労したぜ?ちぎれてた手足片っ端からヘリに投げ込んでさ…」
へらへらと語る。
しかし…。
「アンドレアは…彼は爆破で死んだはずだ」
「川島の代わりにな」
煙草をカップに入れて、消す。
そして…俺に煙を吹き付ける。
…アンドレアの煙草の匂いがした。
「アイツ、運良いよな」
「唐突に何を…」
「爆破したのはてめえなのに、よく生きてたよ」
「生きて…居るのか?…アンドレアが?」
「アイツのサンプルが欲しいって所長が言うからよ、ダメ元で一部を貰いに戻った時、瓦礫の中にな…怪我はしてたけど…」
「彼は…どこだ」
奴はニヤついて黙った。
嘘だ…生きている訳がない。
あの部屋に…名前と共に腕があったじゃないか。
「お前…嘘だろう。アンドレアが生きているなんて…」
「俺が見た時は生きてた。嘘じゃねぇよ」
にやにやする奴を…殴りたい衝動を必死に抑える。
「今は…どうなんだ」
「所長が生かしてんじゃね?良い材料が手に入ったって喜んでたからよ」
「何だと?…お前達は人を何だと思ってやがる」
「じゃあ、お前は人を何だと思ってる?」
人は…。
「逆に俺が問いてぇよ…なぁ、お前。人を何だと思ってる?」
「人に…人に限らず命は大事にするモノだろう…」
「でもお前は俺に銃口を向ける」
「それは…守る為だ」
「自分の命を…な」
そうだ。俺と滝中君の…。
「お前にとっちゃ、自分の命と自分に関係がなければ、どうでもいいって事だろ」
「否、それは違う…」
「違わないねぇ…。お前も俺達も、皆そうだ」
銃を持つ手が…重く感じる。
さっきまで軽く…奴に向けていた銃が。
「自分に関する命と、遠すぎる命には『重さ』を主張する」
もう一度煙草を取り出し、火を付ける。
「だがよ、自分の目的が…大義名分があれば殺しても『仕方ない』で済ませやがる」
「お前達の出身地の…被害は知っている…だがそれは…」
…仕方ない。そう続けそうになる。
装備が、設備が、整っていなかったから仕方ない…と。
ふんっと奴が鼻で笑う。
「な。…同じだろ」
二の句が継げない。
己の…浅はかさや…愚かさが目の前に突き付けられた様な気がした。




