A班 救助用機体5021 カイル隊員8-1
残りの部屋が後二つ。
さっきの部屋の所為で、俺も滝中君も精神的に酷いダメージを負った。
「あの人…と江島さん、2人がここで過ごしていたとして…あんな部屋が近くにあるのに…平気なんでしょうか」
「江島女史は研究員だから、耐性はあるだろう…。ジャンも…もうおかしくなっているのかもな」
「同じ隊の人間に薬って投与すると思いますか?」
「あぁ、何なら知らずに…俺達も飲まされているかも知れん…」
戦闘での精神錯乱と、薬での精神錯乱。
俺に見分けが付くのだろうか…。
独房に連れて行っていた彼らの事を思い出す。
あの中に、実験の犠牲者が居ないと…俺には言い切れなかった。
そして…あの中に並んだのかと思うと…。
「次、どちらの部屋にしましょう」
「そうだな…」
左側か…真ん中。
ジャンの部屋があるとしたら真ん中が怪しいが…。
さっきの江島女史の部屋で見つけた「0503」の番号が何か知りたい。
否、左の部屋にそれがあるとは限らないが…情報をもっと収集すべきな気がする。
それに、有益な何かが見つかるかも知れない。
「左の部屋に行こう」
IDがピーっとなり、部屋のドアが開く。
入った先にドアがあった。
「二重になっているのか」
IDで開き、二枚目のドアを開ける…。
「ここは…」
思わず鼻を抑える。
さっきの部屋よりも…独房で腐敗していた岡少年よりも…酷い匂い。
「廊下では…分かりませんでしたが…っ…」
「あぁ…一旦…外へ…」
居ても立っても居られず、部屋から出る。
「何の匂いなんでしょう…」
「分からん。…腐敗と…糞尿が混じった様な…野生病院でもこんな匂いはしなかった…」
しかし、匂いに気圧されても…入らない訳には行かない。
…本音は…真ん中の部屋に選択を変えたい。
「どうしましょう」
「…行くしかないだろう。その前にさっきの部屋に戻り何かないか調べよう」
「マスクとか…ですか?」
「マスクでは利かんだろうが…少しでもマシになるものがあれば…」
不本意ながらさっきの部屋に戻り、キャビネットや棚下を漁る。
中には頭部が入っていた場所もあったが、彼に見えない様にそっと閉じ何も無かったかの様な素振りをした。
「カイルさん」
「何だ」
「これ…何でしょう」
奥にある机の方から滝中君に声を掛けられた。
しゃがむ彼の前の、キャビネットの中に鍵が付いた冷蔵庫の様な物があった。
鍵は番号を並べるタイプだ。
「これが…0503か?」
0503と入れる。
…開かない。
「違うのか」
「…向きが違うのかも」
錠の向きを変え0503と入れる。
…開いた。
中を開くと試験管が並んでいた。
薄く白い中身にラベルの色…。
「タイプ別の…アレか?」
「人の名前が書かれています」
手に取った一本の試験管を回し、名前を見る。
知らない奴の名前だ。
全ての試験管をケースごと机に出し、名前のラベルを前に向けていく。
『ジャン・ゴードン』…オレンジのラベルの下に名が書かれていた。
そして…『柳栄一』




