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この話のタイトルは君がつけろ  作者: 樋口 涼


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159/200

本庄 凛(ほんじょう りん)

意識がハッキリしない。

熱が出て寝たり起きたりを繰り返す様に、暗闇と薄明りの世界を行き来する。


今が何時で、朝なのか昼なのか夜なのか。

分からない。

時折口に甘い…紅茶が含まされる。


「そう…飲んで」


女の人の声がする。


「体を拭くわね」


顔に湿った布が当たる。

服が脱がされ、首や腕…順番に布を感じる。

手や足に感じていた拘束は無くなっていた。

代わりに倦怠感が襲い…自主的な身動きが出来ない。


されるがままに、彼女に体を委ねる。


「彼女の様子はどうかね」

「意識は朦朧としていますが、体は健康です」

「投与はしているのかね?」

「はい。いつもの様に」

「増やしてみても良いんじゃないかね?」

「あの…慣らしはしていましたが…」

「あなたは黙って彼女を拭いてなさい。…実はさっき打った鎮静剤の中にも入れています」

「そうか。腹の観察だけは怠らぬ様に」

「はい、所長」


歳老いた男性の声と女性の声…3人で話している…でも2人の声が一緒にしか聞こえない。

私の事を話しているのは分かるけど、視界もぼやけていて影がゆらゆらとしている。

お腹にぬるっとした物が塗られ、何かを押しあてられる。


「…この調子だと…一週間もいらないわね」


カチャカチャと物音がする。


「思ってたより速いわ。…量が多すぎたかしら…」

「大丈夫なの?」

「あなたには関係ないわ。でも…そうね。一応担当だものね」


ぎしっとベッドが鳴る。

私の髪が触れられ、撫でられている様だ。


「この子の体は大丈夫よ。体内の…アレの成長速度が速いけど、それに合わせれてる。…植え付ける前の検査の時、タイプーCの反応は弱まっていたって聞いていたのに…こんなに反応するなんて」

「検査が間違っていたの?」

「それはないわ。…何かあったのかしら」


ビクッとする。

けど、2人には気付かれない。

体は何も動いていないから…。


「検査の時何かあった聞いてみようかしら。あの子、聞かないと言わないから…」


ベッドから重みが無くなる。


「もしもし…?聞きたい事があるのだけど…」


声が遠ざかり、腹部が拭かれる。


「服、着せますね…」


優し気な声がする。さっきの声とは違う。

同じ声でも違いが…分かる。

この基地に来てから…側にいた人。


「ね…ぇ…」


声を振り絞る。


「お…願…い…」

「話せるんですか?」

「…逃が…して…」


沈黙が流れる。


「…ごめんなさい。凛さん。無理なんです」


申し訳なさそうな声で、絶望が訪れた。


「ねぇ、あなた。ジャンにヤラレちゃったのね。柳さんも知ってるのかしら?」


止めて。思い出させないで…。


「ちょっと!なんてことを…」

「柳さんが知っていたらさぞかし…うふふふ」


止めて…。お願い…。


「後は本当にそれが生まれるのを待つだけね」


耳元に息が当たる。


「あぁ、本当に()()()。ね」

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