A班 救助用機体5021 カイル隊員7-5
「タイプ…こんなにあるんですね」
そう言って横から滝中君がノートを覗く。
「タイプーAだけ…一年前の…研究みたいですね」
確かにタイプーAの次のページには中止を嘆く様な書きなぐった跡が見られたが、その後はまた研究の記述が続いている。
「では、この後に人間に植え付ける…馬鹿げた実験が開始されたのか…」
「いえ、他の…タイプの研究が続いているみたいです」
よく見るとラベルの劣化具合も赤いラベル以外は新しい。
『タイプーCによる細胞の活性化・成長速度との関係性』
タイプーCのフェロモン投与による他種の成長速度上昇を確認。
人体への投与による影響も同等。
副作用としてタイプーCの適性反応検査に強く反応。
過剰投与による人体の細胞破壊、適性反応が高い者と同等のレベルで確認。
『抑制剤の副作用について』
タイプーCから生成された抑制剤の副作用として、他のタイプにはない強い快楽と依存性を確認。
多用注意。
…読むにつれて俺も吐き気を感じた。
人体実験の為の…人体実験。
…隊員の体を…遺体を含め調べ。
そこから抽出した物を錠剤に…して…。
隊員に飲ませ、反応がどう出るか観ていた。
意図的に高い反応を作り出すことも、抑える事も…。
「結局は隊員も実験台にして…反応のある人間に植え付け…か…狂ってるな」
…ふと、このIDに疑問が浮かぶ。
『司令官用の場所以外は入れるID』…おそらくこれは隊長クラスの情報が紐付けされているIDだ。
これを持っていた本庄上官もここに入れたんではないか…と。
この実験の進行を…上官も知っていた…そう思い始め、疑心暗鬼になる。
「凛のお父さんも、これを知っていましたよね…病室で他のタイプも研究して居る事に触れていましたし…」
「…そうだな。ここに入れるIDも持っている」
「止めなかった…って事でしょうか」
「…これを知ったのがいつか…だな」
知った時に撃たれた可能性も…ある。
そう自分の疑心暗鬼に蓋をする。
上官が加担していたと一瞬でも…認めたくない。
だが…「情け無い奴だと…卑怯者なのだと事実を知られたく無かった」と言った上官の、言葉の意味はこの事なのだろうか…。
知っていて、見過ごしてきた…?
その所為で自分の娘が実験台にされるとは…思わなかったのだろうか。
それに、上官が黙認していたとしたら…協力しているも同然の隊長職の身内を実験台にする…裏切りもいいところだ。
そんな事をするだろうか。
疑う気持ちも有るが…どう考えても、そもそも柳隊長とは協力関係に…研究に加担していないはずだと、希望的観測が頭に浮かぶ。
「…違う部屋に移動しよう…」




