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この話のタイトルは君がつけろ  作者: 樋口 涼


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155/200

A班 救助用機体5021 カイル隊員7-2

ここは四階建ての寄宿舎で、エレベーターもある。

心なしか壁や廊下は第二に比べると小綺麗だった。

入って居る隊員が多い為か、部屋は小ぶりの様でドアとドアの間隔が狭い。

廊下や食堂に隊員の姿はない…化け物の発生が起き、殲滅の為に出払った後だった。

がらんとした廊下は、第二基地の最後を思い出させる。

タイプーAが襲って隊員達を屠った…あれを。


「あの人の部屋は…どこでしょう」

「立ち位置的に柳隊長に近いだろうから、ここの最上階の可能性が高い」

「では上から探しますか?」

「そうしよう」


エレベーターに乗り、最上階を押す。

第二とは違い最上階のフロア入り口が、ID認証の必要なドアだった。

しかし、どこにでも入れるIDは便利で、最上階のドアの認証も難なく通れた。


「厳重…だな」


隊員しかいない筈の寄宿舎に、ID認証が必要な意味を少し考える…。

何か良からぬ事でもしているのだろうか?


「一部屋ずつ探しますか?」

「…このフロアに…五つ部屋がある様だ。下とは違って良い待遇だな」

「第二基地でのあの人は…そんな高い位置に居るようには見えませんでしたよね?」

「あぁ。取り残された…と言っていたな。」

「普通、他の隊員をあんな風に扱う人が取り残されたりします?」

「…他を犠牲にしてでも逃げそうだが…」


ひそひそと会話をしながら部屋が開くかを確かめていく。

各部屋に鍵は掛かっていた。

珍しく電子キーの…もしかしたらこのIDで開くか…と試してみる。


ピー


機械音と共に開いた。

「このフロアに入れる者は全ての部屋に入れてしまうのか。」と、厳重な割にプライバシーは無視されているなと思う。

手前の部屋はシンプルな家具の配置で、生活感が無い。


「ここは使われてない部屋かも知れないですね」

「一応、引き出しとか調べるか?」

「そうですね」


やはり使われていないのかクローゼットや机の引き出し、洗面台には何もなかった。


「次の部屋に行くか」

「えぇ…」


次の部屋に行く。

ここもIDで開いた。

セキュリティ的にどうなのかと…心配になる。

ここのIDで開く電子キー…必要なのか?と。


「カイルさん…ここって」


先程のシンプルな部屋と作りは違い、滝中君の部屋や凛さんの部屋の様に玄関の先にリビング、奥に寝室とキッチン、風呂場と…部屋が分かれていた。

そして、リビングを見るに誰かがここで生活している。


「使われている様だ…だが、ジャンの部屋とは思えない…な」

「…なんか…不法侵入している気分です」

「だな。否、本当に不法侵入なんだろうが…」


少し良心が痛む。

しかし、家具を見渡すと薄っすら埃が積もっている。


「ここの主は最近帰っていないみたいだな」

「キッチンも見ましたが、食器も棚に戻っていて水を使った感じも無いです」

「綺麗好きそうな感じだな」

「誰か…研究員の部屋なんでしょうか」

「そんな感じがするな」


寝室の方に行くと棚にファイルが並んでいた。

隊員の名前が一冊一冊に書かれている。


「ジャン・ゴードン…」


中にジャンのファイルを見つける。


「カイルさん…」


滝中君の声で彼の方を振り返る。

手にIDを持っていた。


「誰のだ?」

「江島さんの…です」


江島女史の写真と名前、所属と番号が書かれている。

持ち歩いているはずのIDがここにあるという事は、ここに居るのか?

そう思い辺りを見渡す。


「彼女は…居ない様だな」

「はい。…でもここになんでIDが置きっぱなしなんでしょう」


カードケースに薄っすら埃が付いている。

IDは複数発行されはしない。

カードケースの中に紙きれが入っていた。


「0503」


何の数字だろう。

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