A班 救助用機体5021 カイル隊員7-2
ここは四階建ての寄宿舎で、エレベーターもある。
心なしか壁や廊下は第二に比べると小綺麗だった。
入って居る隊員が多い為か、部屋は小ぶりの様でドアとドアの間隔が狭い。
廊下や食堂に隊員の姿はない…化け物の発生が起き、殲滅の為に出払った後だった。
がらんとした廊下は、第二基地の最後を思い出させる。
タイプーAが襲って隊員達を屠った…あれを。
「あの人の部屋は…どこでしょう」
「立ち位置的に柳隊長に近いだろうから、ここの最上階の可能性が高い」
「では上から探しますか?」
「そうしよう」
エレベーターに乗り、最上階を押す。
第二とは違い最上階のフロア入り口が、ID認証の必要なドアだった。
しかし、どこにでも入れるIDは便利で、最上階のドアの認証も難なく通れた。
「厳重…だな」
隊員しかいない筈の寄宿舎に、ID認証が必要な意味を少し考える…。
何か良からぬ事でもしているのだろうか?
「一部屋ずつ探しますか?」
「…このフロアに…五つ部屋がある様だ。下とは違って良い待遇だな」
「第二基地でのあの人は…そんな高い位置に居るようには見えませんでしたよね?」
「あぁ。取り残された…と言っていたな。」
「普通、他の隊員をあんな風に扱う人が取り残されたりします?」
「…他を犠牲にしてでも逃げそうだが…」
ひそひそと会話をしながら部屋が開くかを確かめていく。
各部屋に鍵は掛かっていた。
珍しく電子キーの…もしかしたらこのIDで開くか…と試してみる。
ピー
機械音と共に開いた。
「このフロアに入れる者は全ての部屋に入れてしまうのか。」と、厳重な割にプライバシーは無視されているなと思う。
手前の部屋はシンプルな家具の配置で、生活感が無い。
「ここは使われてない部屋かも知れないですね」
「一応、引き出しとか調べるか?」
「そうですね」
やはり使われていないのかクローゼットや机の引き出し、洗面台には何もなかった。
「次の部屋に行くか」
「えぇ…」
次の部屋に行く。
ここもIDで開いた。
セキュリティ的にどうなのかと…心配になる。
ここのIDで開く電子キー…必要なのか?と。
「カイルさん…ここって」
先程のシンプルな部屋と作りは違い、滝中君の部屋や凛さんの部屋の様に玄関の先にリビング、奥に寝室とキッチン、風呂場と…部屋が分かれていた。
そして、リビングを見るに誰かがここで生活している。
「使われている様だ…だが、ジャンの部屋とは思えない…な」
「…なんか…不法侵入している気分です」
「だな。否、本当に不法侵入なんだろうが…」
少し良心が痛む。
しかし、家具を見渡すと薄っすら埃が積もっている。
「ここの主は最近帰っていないみたいだな」
「キッチンも見ましたが、食器も棚に戻っていて水を使った感じも無いです」
「綺麗好きそうな感じだな」
「誰か…研究員の部屋なんでしょうか」
「そんな感じがするな」
寝室の方に行くと棚にファイルが並んでいた。
隊員の名前が一冊一冊に書かれている。
「ジャン・ゴードン…」
中にジャンのファイルを見つける。
「カイルさん…」
滝中君の声で彼の方を振り返る。
手にIDを持っていた。
「誰のだ?」
「江島さんの…です」
江島女史の写真と名前、所属と番号が書かれている。
持ち歩いているはずのIDがここにあるという事は、ここに居るのか?
そう思い辺りを見渡す。
「彼女は…居ない様だな」
「はい。…でもここになんでIDが置きっぱなしなんでしょう」
カードケースに薄っすら埃が付いている。
IDは複数発行されはしない。
カードケースの中に紙きれが入っていた。
「0503」
何の数字だろう。




