A班 救助用機体5021 カイル隊員6-4
「しかし…妙ですね」
俺と本庄上官のやり取りを軽く話すと彼はそう言った。
「僕の警護に最初は隊員の方2人が居ましたし、それで交代をしたとしても必要人数は足りてるでしょう?」
「あぁ、俺も最初部屋の前に居るのが第一の人間で、それの補助的に俺なのかと思った」
「でもカイルさん1人になりましたし…いえ、2人より強いからかも知れませんし…信頼されているのは事実ですが…何でしょう…強引だなと言う印象が凄いです」
「本庄上官にしては珍しく…な」
「僕を遠ざけておきたい気持ちは分かりますが…カイルさんも何か遠ざけときたい何かがあるみたいな…」
「思い当たる節はないがな…」
「とにかくあの人の所へまずは行きましょう。場所分かります?」
「あぁ、分かるが…どうしてアイツがあそこへ…?本人が入れられている訳ではないだろうし…」
まぁ、とにかく行ってみる事にした。
独房に続く廊下の、前のドアは俺のIDで開く。
ここに幾度か踏み入った事があった。
上官付きの様になってから、第一の隊員の…問題を抱えたヤツや、他の隊員でもここへ連れてきた。
戦闘で精神をきたした奴も、普通の医務室ではなくここだ。
何人も何人も、化け物に銃口を向けている内に、自分が化け物になり…巻き添えや蹂躙を快楽に変換し、求める様になっていった。
アンドレアの様に薬で抑える者もいたが…。
アンドレアの顔がふと浮かぶ。
あいつはもう居ない。
それでも、自分の手であいつをここに入れる事にならずに済んだ事は、幸いだったかもしれない。
廊下を歩き、一つ一つ部屋を見る。
前に来た時とは違う…。
「ここって…本当に独房なだけだったんですか?」
滝中君が訝しむのも無理はない。
空いている部屋の中には血が飛び散った後や、血だまりの跡が残っている。
さながら拷問部屋の様だった。
中には血で錆びた鋸や刃物が転がっている部屋もある。
ベッドに手枷が四つ。赤黒くなったシーツが山積みの部屋…。
まともな部屋が一部屋か二部屋しかない。
俺がここに連れて来ていた奴は…どうなったのか。
もしかして、ここは独房と言う名の拷問部屋だったのではと思えるくらい、様変わりしている。
監守が居たはずだと探すが、居ない。
「誰も居ないんでしょうか…」
「いや、そんなはずはない…前に来た時はこんな…とにかく、誰か探そう。第二の奴じゃなければ話が出来るかも知れない」
残りの部屋も一つ一つ見るが、血の跡が大なり小なり違っているだけでどこもほぼ一緒だった。
中には腐敗臭の酷い部屋もあった。
その原因は端に置かれたモノの様で、破れた布に包まれた何かのケースが4つ見える。
異臭に耐えながら布を捲ると、液体に浮かんだ手足が見えた。
「人だ…」
人の手足が浮いている。
他の…ケースも?
もう少し捲ってみる。
…内臓の無い人間の腹部…腰辺りから太もも辺りまでが入っていた。
まるで人間を4等分したぐらいの…。
…腹が開かれた下に性器が見え、男だとだけ分かる。
「しかし…隊員にしては細い様な…」
発達途中の…まるで…。
ちらっと横に居る滝中君を見る。
そう。この子の様な年代の…体つき。
残りの2ケースは…上半身と顔だろうか。
布を取る事に躊躇する。
全て見なくても、良いんではないだろうか。と…。
目を反らし、部屋を出ようとした。
しかし、おもむろに滝中君が進みケースの前に立った。
「どうした…?」
「これ…岡だ」
「え?」
「凛が実験台にされていた岡を見たって…ここのあざが…体育の時に見た…」
そう言って一気に布を剥いだ。
ケースの中には頭から鎖骨までと、胸部が液体の中に入っていた。
その顔は…学校で、DVDでみた「岡 友樹」だった。
「実験台にされて…破棄…されたのか…?」
瞼の上の皮膚が捲れ、その下の脂肪細胞が見えている。
液体に溶けたのか、所々皮膚や肉も無く骨が見えている部分すらあった。
絶句し、俺達は立ち尽くしていた。
「そこで、何をしているんです?」




