A班 救助用機体5021 カイル隊員6-2
こちらの情報源は少ない。
何かしら司令官の情報を集めなければ…。
「怜君には警護を付けたい。彼が信頼できて俺も頼れるのはお前しかいない」
情報収集に回ろうとする俺を止め、滝中君の警護を指示される。
「しかし…上官の警護は…情報収集もありますし…」
「俺の警護は他もいる。情報もこちらでどうにかする。怜君に慣れているのはお前しかいない」
「…分かりました」
何か腑に落ちない思いを抑え込み、従う事にした。
滝中君の部屋に行くと、前には第二の隊員が立っていた。
俺が前まで来ると、形勢逆転とも言いたげにニヤついている。
そんな態度に酷くイラつく。
部屋に入ると滝中君は落ち着き、窓際の机に居た。
その横には2人、第一の隊員が付いている。
「交代しよう」
俺は彼らに声をかける。
「はっ。…その前に…」
1人が彼から離れ、キッチン側に俺を呼ぶ。
「どうした?何か問題が?」
「はい…。第二のヤツらなのですが」
「前に立っていたな」
「…俺達と前の奴が交代する時に…その…」
「どうした。はっきり言え」
「前の奴が俺らが来る前に出たらしくて…その隙にこの部屋に…」
自分の眉間に、皺が寄るのが分かる。
「あ…いえ…」
隊員が唾を飲み込む。
それ程己に憤怒の形相が浮かんでいるのだろう。
しかし、この苛立ちをこの隊員に当てても意味が無い。
俺は先を言うように促す。
「部屋に侵入したヤツらは…彼を襲おうとしていました…」
俺の手に力が入る。
「襲おうとしていただって?まだ中学生の子供だぞ」
「阻止は出来ましたが…第二のヤツを殴りつけた為…もしかしたら文句が隊長やあなたに行くかもしれません」
「いや、そんな文句なんぞ良い。阻止できたなら良かった」
ほっと胸を撫でおろす。
彼がたとえ一目に整った顔をした子で、大人びているとは言え子供に…と憤りを感じるが、そういう趣味の奴からしたら恰好の餌食だろう。
「俺も注意しておく。ありがとう。隊長に報告を上げておいてくれ」
「はい。後…これを」
俺に銃と銃弾を差し出す。
「何かあった時の為です。カイルさんは取り上げられましたが、俺達下っ端はまだ取り上げられてませんので…お持ちください」
「お前はどうする」
「俺はあいつが持っているので大丈夫です」
隊員はもう1人を指さす。
「分かった。ありがとう」
空になっていたホルスターに銃を入れる。
重みが責の重みを感じさせると同時に…安心を得る。
「では、お願いします」
頭を下げ2人が出て行った。
すぐさま凛さんの事や今後の事を聞いてくるかと思っていたが、彼はやはり冷静に座ったまま会釈をした。
「よろしくお願いします。カイルさん」
「あぁ。こちらこそ。当分は俺が付くことになっている」
「…凛の方は?」
「そちらは本庄上官がどうにかする」
脳裏には…化け物を植え付けられる実験を彼女が受ける事が浮かんだ。
知らせない方が良い。
…そんな俺の迷いを見据えるかの様に彼がじっと見る。
「…」
「何か問題でも?」
下手に見返せば、すらすらと言葉を吐きそうになる。
「いえ…ただ、『今頃、司令官は降りてるか…許可してるさ』とあの人が言っていた事が…」
「あの人…?ジャンか」
「ええ。あの人の言い様だと居場所を知っている気がします」
「居場所?」
「ええ。第二の人が言ってました。司令官が行方不明になって、凛のお父さんもあの状態だから僕達は終わりだと」
「それも本庄上官が…」
探していると言葉を続ける前に彼が立ち上がる。
「悠長な事を言ってる暇は無いんです!」
「落ち着いて」
「凛が…凛が実験台にされてしまう…しかも…化け物を産まされるなんて…」
机の上の彼の手が震えている。
当たり前だ。
14の少女が…自分の想い人が体内に化け物を…なんて理不尽、誰でも腹が立つし、止めたい。
「お願いします。僕も…凛を助ける手伝いがしたい…」




