終話 猩猩様@状況の推移2
(視点はフリチンです)
鍛冶屋が造ってくれた武器にご満悦の猩猩様。先ほどから、それを振り回しては、その重さや扱いやすさを試しておるようであった。脳筋ゴリラにこれほどふさわしい武器はあるまい。ただ、当然、それは心中に留める。こう言うに留めた。
「さまになってるね」
巨大な斧であった。俺だと持ち上げるのも苦労するんじゃないのというほどのものを、時に彼女は片手で軽く振り回しておった。そこで両の腰に差しているものが気になった。いずれも短い剣であった。いわゆる双剣であった。
「それは?」
俺が指さししつつ尋ねると、
「フリチン先生を見習ってよ」
(むう。最近、ペロ以上に猩猩様が俺をいじっているように想えるのは、気のせいか?)
「俺は武器は使わないけど」
「素手だと、そなたが上であろう。それではつまらぬ」
(むう。更なる強さを目指すということか。まあ、確かに接近戦を挑んで来る相手には大斧だとやりにくそうだからな。
「でも、今回はペロも呂布の旦那もいないから、猩猩様と俺のタッグマッチだね」
「タッグマッチ?」
訳が分からぬという顔で問い返して来る。ああ、プロレス、知らないんだね。説明するのも面倒に想えた俺は、
「一緒に闘えることが楽しみということ」と言い直すと、
「我もだ」と嬉しい答えが返って来た。
ふと、背後に気配を感じ急ぎ振り返る。盧植であった。もしや俺にもあの鍛冶屋に向けられた如くの憤怒が、と危惧するも、盧植の表情は、まるでほほ笑ましきものを見るという如くの、おだやかなもの。
ああ。そうか。俺って若い男ではなく珍奇女の姿なんだと改めて気付く。若い男が、何、俺の女としゃべってんだ、なんてことにはならん訳だ。




