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第1話&終話 出会い@二人の少女

(視点は妹の白蓮びゃくれんです)


 手毬てまりお姉様は相変わらず調子がいい。ついには学校まで始めた。私が勉強嫌いなのを知っているのに、私のためでもあるという。私が「おチビちゃん、おチビちゃん」とうるさいから、それでは代わりのおチビちゃんを見つけてねということらしい。おチビちゃんはおチビちゃんなんだよ、他の子ではダメなんだよとは私の心の叫びであるが、それを言って、お姉様を困らせたい訳でもない。


 そうして、集まった人たち、結果としておチビちゃんの代わりとなりえる子は少なく、むしろ、大人が多かった。お姉様いわく、


「勉強が好きな人を集めたら、こうなったのよ。若いからって、勉強が好きとは限らないわ」


 まるで私のことを言われているみたい。


 ところで、お姉様によると、選りすぐりの人材による研究チームを二組発足するとのこと。


 一組目の相手はおじいさんで、古今の戦陣について恐ろしく詳しいとのこと。お姉様としては、要塞群をより強固にするために、彼の戦陣の知識を活用したいとのこと。


 そのおじいさんいわく、「わしは一度憶えた戦陣は忘れぬ。昨日のことは忘れてしまうのにな」とのこと。いずれにしろ、こちらに私の出番はない。




 もう一組の方。こう言っては大袈裟だが、お姉様直々に私に参加要請があった。もしかして、私って選りすぐり?


 回復ヒーリングについて研究するとのこと。組む相手はおばあさんだった。腰が曲がっているせいで、私より背が低い。だからおチビちゃん候補なんて言う気はないわよねと想い、お姉様を見るも、さすがに何も言わぬ。というより、お姉様はおチビちゃん案件を忘れている気がする。それはさておき、彼女は薬について、とてもおくわしいらしい。


 ところで、研究チームの初会合の日。学び合いの終わった教室でのこと。張り切った私は、最近元気のない猫ちゃんを連れて行く。学校もなく、お姉様も相手にしてくれない時間、私はもっぱら動物たちと遊んでおった。その一匹である。


 そうして、三人――私とおばあさんとお姉様で囲むテーブルの上に猫ちゃんを載せる。


 不安げに私を見る猫ちゃんに対し、


「大丈夫よ。元気にしてあげる」


 そう言ったあと、急ぎ魔法杖を持って来る。得意な魔法では要らないんだけど、回復系はちょっとね。ただ、見た目、お年寄りが使う杖とあんまり変わらなかったりする。ダメよ、私、ネガティブになっては。


 そうして気合いを入れ直した私は、魔法杖をびしっと猫ちゃんに向け、ヒーリングの呪文を唱える。


「ほら。元気になったでしょう」


 猫ちゃんに私の声は届かなかったのか、元気のないしょぼくれた様子でテーブルの端に行き、ニャオと鳴く。私が降ろしてやると、とぼとぼと歩き去る。


 お姉様もおばあさんも、『何がしたいの? あなた』という如くの不審な目で私を見ている。名誉挽回できる良い案が浮かぶ。


 おばあさんに魔法杖をびしっと向け、呪文を唱える。おばあさんはびっくりしたのだろう。しばし、目を白黒させておった。

「このは何てことをするんだい、人に呪いをかけるなんて」


 そう叫んで私の腕をつかむ。お年寄りの割に力が強く、私はふりほどけない。あげく、お尻を叩かれる。


「なんて、悪い娘なんだい。二度とするんじゃないよ」とすごい剣幕であった。


 ようやくそれから解放されたのは、割って入ってくださったお姉様のおかげだった。御髪が乱れ、息をきらせているお姉様もステキ。そんなことを想っていると、


「あなたの下手ッピのヒーリング魔法のために呼んだ訳ではないの。使って欲しいのは解析魔法なのよ。陸仙姑りくせんこさんの薬を患者さんに投与したあと、その患者さんの具合を解析して欲しいの」(注 『仙姑』は名でもあざなでもなく、女性道士への敬称)


 解析魔法――私がゲロゲロ魔法と呼ぶ奴だ。なぜ、そう呼ぶかというと、体の中が透けて見えるからだ。心臓とか腸とか骨とか、いろんなのが。


 基本、私は攻撃&防御特化の――格好良くいえば攻防兼備の魔法少女なんだけど――だから、回復系は苦手なの、一応、理由はあるの――敵には気とか何とか――まあ、色々名前は好き勝手に付けられるのよ――を体に流して攻撃して来る奴がいる。本来は、それが見えるようにという、そのための解析魔法なんだけど。でも、ゲロゲロには変わりない。


 でも我慢する。だって、最近は昼だけでなく、夜もお姉様は大忙し。私が独占できるのは、深夜、隣で眠るときだけ。そんなお姉様と昼も一緒にいられるなんて。しかもお姉様が本気で取り組むことを一緒にできるなんて。


 張り切るしかないよね。私。


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