第2話 出会い@フリチン2
冬が迫る中、それでも時折ある暖かい一日、その昼下がりのこと。
斜面を下っておるとき、四、五人の子供を引き連れて、その者が上から現れた。
「待てよ。ここら辺を勝手にうろうろするな」
斜面の高い部分に留まるゆえ、俺を見下ろしておった。身長は俺と同じくらい。百六十センチほど。といって、女ではないであろう。声は男のものだったし、細いとはいえ、露出している腕などには筋肉も付いている。単に大人になりきっていないというだけであろう。まとっているのは、子供たち同様、ボロ着というほかない、薄汚れたものであった。
「そなたたちの縄張りか?」
「そうだ」
「心配せずとも、食べられるもの――獣や木の実は何も取らぬし、その子供たちに危害を加えるつもりもない」
「なら、何でうろついている」
と問われても、説明する訳には行かぬ。どんな内容であれ、それがこの者たちを介して敵に渡っては、我らにとって不利益となる。
「関係なかろう。何も取らぬし、危害は加えぬと言うておる。何の障りがある」
「何を言うか。それならうろつく必要もあるまい」
と言って、相手は右手に持つ木の棒を振り上げる。
俺は反射的に半身に構える。
「何だ。やっぱり女か。男にしては変だと想ったんだ」
相手が見下ろしており、見えやすいということもあろう。構えた拍子に外套の襟元がはだけて半乳が見えたらしい。俺は一人で行動しているということもあり、半乳半ケツの上に外套のみをまとって動いておった。これなら、外套を脱ぐだけで、出力最大の完全武装になれる。
実際、俺の背格好から女とみなし、良からぬことを想ってであろう、近付いて来た者で俺がのした者は十人を下らぬ。その中には武器を持った者もおり、そんなときは外套を脱いで対処した。ほとんどの者が、俺の姿を見て喜んだのも束の間、地に這いつくばることになったが。
「女なら、何だ?」
「女とは戦わねえ。守るべき存在だ。だから、お前も俺が守る」
「必要ない」
「そういう訳には行かぬ」
(とんだハーレム野郎か)
「好きにしろ。俺も好きにさせてもらう」
「ああ。それでいい」
男、というか、少年は満足げな笑顔でそう言う。
(まったく、ガキが面倒くせえ)
俺はそう心中で毒づくと、その場を去った。




