第2話 拠点造り2
献帝をたずさえることで予期せぬことも起こった。帝を慕う者や漢朝に忠誠を誓う者が、徐々にではあるが集まって来たことである。その中には盧植や皇甫嵩などの名だたる武将もおった。
俺としては、仇討ち後は、呂布率いる匈奴勢を中心に、というのが初期の構想であったのだが。こうなれば、もう少し望んでも良いのかもしれぬ。というより、新たに加わる漢朝の者たちの食糧を確保しなければならない。彼らは、農耕を生業とするのであるから、そのための土地というのが必要になる。
史実では、董卓配下の将たる李傕や郭汜が献帝を手元に置き、漢朝を掌握する。今のところ、戦端が開かれる可能性が最も高いのはこの者たちであった。
よって、彼らを防ぐべく部隊を九原と洛陽の間に置くことになった。漢軍を統率するのは盧植。彼自身の願い出によるものだった。部隊は奢延水(現在の無定河)沿いに展開して、屯田をなしつつ、その任務を果たすことになる。
この河沿いには、後世、五世紀のことであるが、夏国を建てた匈奴の赫連勃勃が都として統万城を築いたことからも分かる通り、軍事的な中心地として機能しえる地であった。
(注 グーグルマップで『統万城 中国』と入力すれば、その遺跡の上空写真が見られる。无定河(無定河)の北側に略正方形が二つ並んでいるが、西側にあるのが、赫連勃勃によるもの。東側は北魏もしくは唐による築城と考えられている)
また、この防衛ラインはどちらかというと、洛陽というより長安からの出撃に備えるものであった。史実通りに進めば、李傕たちはのちに長安に遷都することになるはずだった。
併せて、奢延水以北の地において、新たに加わった漢朝の者たちに農耕に従事してもらおうとの考えであった。
猩猩様が漢軍の戦い方を見たい――やはり見聞を広めたいということで、彼女にも留まってもらうことなった。
お二人には、こちらからは仕掛ける必要はなく、防衛に徹してくれれば良いと伝えておった。「恐らく、あの者たちは、仲たがいの末に自滅しましょうから」とは付け加えたが、『史実通りに行けば』と付け加えるのは控えた。
また、数は少ないが、丁原様の部隊の生存者も集って来ておった。その中にはクラン御前の弟の一人もおり、その者は呂布と俺たちで仇を討ったと聞くと、滂沱の涙を流し、嗚咽した。男とはいえ、確かに御前の面影がその顔にはあり、まるで御前が喜んで泣いているようにしか見えず、俺もまた涙に暮れることになった。




