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第1話 拠点造り1

 俺たちは、王允おういん仕孫瑞しそんずいから様々な情報を得た。特に直近の宮廷の動向に関する情報は貴重なものであった。そもそも遠く九原きゅうげんにおったことに加え、丁原様が討たれたと知ってのちも、こちらの情報が董卓側に漏れることを恐れ、漢朝の者との接触を避けておった。


 呂布が二人と会う際、俺は同席させてもらった。いろいろと知りたいことがあったし、そのためには直接尋ねるのが最善であった。また、伝言ゲームによる誤解も避けられる。


 ときには猩猩しょうじょう様も参加した。彼女なりの考えから様々な問いを発し、その見聞を広めたいとの望みを叶えているようであった。


 ただ、最初の会見のとき、呂布から「この方はフリチン師匠です」と紹介され、まさにその衝撃のために、しばし、絶句することになる。


 更に「蓬莱ほうらいから来られた」との紹介に対しては、


「はあ、それであのような姿で戦われるのですね」と妙に納得される始末。もちろん、俺は普段は外套を上にまとっており、あの珍奇姿でうろうろしてはいないのだが、この二人には先の仇討ちのときにしっかりと見られておったのだ。


 俺たちが得た最も重要な情報は、陳留王が既に皇帝に即位されておるというもの。確かに、史実にて董卓は自らの権力掌握を決定的なものにするため、洛陽に入ってのち、早くに皇帝のすげ替えをおこなっておった。


 やはり史実通りに進むのか?


 この二人――王允と仕孫瑞――も、史実にては呂布と協力して董卓を誅殺する。それゆえ、あのとき、助太刀に来たのか? これもまた史実通りにものごとを進めようとする歴史の力ゆえか?


 史実通りということなら、皇帝(献帝)は董卓の残党たる李傕りかく郭汜かくしと共におったはず。それが俺たちと共におるということは、彼らが奪いに来て、争いになるということか? 皇帝を伴うゆえのリスクといえた。


 俺自身がここに転生して来てからしばらく、この歴史の力について考慮しなかったのには、理由があった。


 まずは、そもそもここが過去ではなく、ゲーム世界と想っておったこと。


 もう一つは王美人の存在である。彼女は史実通りなら、献帝を生んですぐに何皇后(のちに皇太后)に殺されておった。そうなると、クラン御前べきと仲良くなるということもなく、俺たちが、それを縁として、献帝と出会うなどということもなかった訳だ。


 この改変は俺たちがここに転生したゆえと考えることはできないだろうか?


 いずれにしろ、王美人に託された以上、陳留王が即位されていようがいまいが、見捨てるなどということはあり得なかったが。


 何やら、ペロはそれを心配しておったらしく、王子にへばりついておったが、俺の心情を告げると、

「さすが。フリチン。おとこだ」

 とあまりの疲弊のためか、あるいは、あまりに色んなことがありすぎたせいか、訳の分からぬことを言い、今では皇帝の側らで――結局、へばりついておることに変わりはなかったのだが――眠ってばかり、スヤスヤと寝息を立てて。


 俺たちはあまたの天幕と馬群のただ中におった。そう、あの後、呂布に付いて来ておった匈奴勢と合流し、今は再び九原に向けて黄河沿いに北上しておるところであった。董卓の残党が発するかもしれぬ追手を警戒しつつ。

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