表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
35/62

第1話 妙案1

(視点は主人公の池田白虎びゃっこです。今回はそんなに久しぶりではないぜ、という奴です)


 俺は、この先起きるであろうことについて、とても気になることがあった。歴史知識を有するがゆえである。それは漢朝の滅亡という大きな出来事ではなく、もっと身近なもの。呂布と丁原の関係であった。もし、史実通りに進めば、呂布は丁原を殺すことになる。


 俺としては、それを何とか防ぎたい。


 まずは霊帝が死ぬ。これが全ての始まりである。これを境に朝廷は大いに乱れる。


 それまでに呂布を丁原から遠ざけられればと想うのだが。それをなしえる良い手立ては見当たらない。なんか知らんが、俺に弟子入りしてくれてはいるが。といって、その仕えるは、まずは丁原様、次にクラン御前べきであり、このお二人の下を離れてとなると、格別な理由が必要となる。


 そんな中、想わぬところから、動乱の口火が切られた。霊帝の死ではなかった。匈奴の単于ぜんうが河東へ侵攻したという。(注1)


 丁原様が軍勢を率いて発されたあとに、御前べきが俺に教えてくれたところでは、


「丁原様へ帝(霊帝)から征討の詔が下されたのよ。ただ、征討とはいっても、説得を期待されてであることは明らか。それゆえにこそ、匈奴とえにし深かりし丁原様が選ばれたのよ。

 我は随行を願い出た。説得の任は同族たる我こそ最もふさわしいと訴えたの。

 ただ、丁原様は首を縦に振らなかった。危険すぎるとして。反乱をなすということは、そこまで追い込まれたのであろう。ならば、同族とはいえ、危害を加えぬとは言い切れぬと。

 そこで呂布が私が説得に赴きます、無論、御前ベキほどうまくできるとは想いませんが。ただ、私も母方の方で匈奴の血を引くのです。ここは建陽様(丁原の字)の忠言をお聞きになり、自重ください。それで、仕方なく我はここにおる訳だ』


 最後は自嘲気味にそう言われたが、俺には丁原様や呂布の意見の方が正しく想える。


「そうですか。匈奴の単于が。何ごとか、あったのでしょうか?」


 俺は記憶を探る。このときの匈奴は、鮮卑などとは異なり、基本、漢朝に臣従していたはず。匈奴からすれば、同盟という認識であったかもしれない。そして、確かにしばしば反乱を起こしたと読んだ記憶はある。ただ、今回のも含め、その一々までは憶えていなかった。


「実は我もそれを心配しておる。かの地の同族たちに何があったのかと。しかし、我と共におる匈奴勢は、同時に丁原様の軍でもある。簡単には離れられぬ」(注2)


 それを聞いて俺に妙案が浮かんだ。


「ならば、私が参りましょうか? 御前ベキの護衛という任からは離れることになりますが。御前ベキのご兄弟もおられますし丁原様もおられます」


「うむ。我の身は心配要らぬ。申し出はありがたいのだがな。ただ、そなたでは、匈奴の者たちは耳を貸さぬであろう。そこは同族でなければ」


「そこで呂布をお借りいただければと。なので、河東への征討を終えたあととなりますが。呂布と私、それに猩猩とペロで赴くならば、軍勢を割く必要もありませぬ」


 史実では、呂布は董卓の誘いに乗って、丁原を殺す。その舞台は河東ではなく洛陽である。なら、征討のあとに動いても十分間に合うはずであった。


「おお。そうか。頼んだぞ」


(決まった。俺、転生して、初めて格好良く決まったかもしれぬ)


「フリチンよ」


(ペロの野郎。変な字をつけやがって)


(注1:後漢書によれば、中平五年九月、南単于が河東に侵攻したことが分かる。恐らくであるが、南単于は『南匈奴の単于』の意味であろう。『匈奴』の字をあえて省略したか、誤って脱落したかは不明であるが。

注2:モンゴル時代、女主人もある程度の軍勢を持った。嫁ぐときに父親より分賜されるのである。匈奴の時代は不明であるが、恐らくは同様と考える。

 また、これは本作の設定であるが、クラン御前ベキの兄弟も行動を供にしている。例えば、チンギスの正妻ボルテの兄弟(オンギラト氏)も、戦の際はチンギスの指揮下に入った)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ