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第3話 二人の少女3

 そのあと、勝った方の人たちが登って来た。頭に布を巻いている。


「おお。まさに黄天様じゃ。皆の者。かしずけ」


 先頭近くの者がそう言うと、我先にそうして、更には嗚咽まで漏れ聞こえて来る。


「いいえ。違うわ。私は」


 そこまで言えたところでかたわらに立つお姉様から腕を強く引っ張られる。何だろうと想い、そちらを見ると、


「黄天様に見えているのよ。あなたの白は幻術のせいで黄色に染まっている」


 お姉様が小声でそう言う。


「えっ。私のせい。私はお姉様の言った通りしただけで」と言いかけたところで、また、強く引っ張られ、


「もう遅いわ」と続け、そこからは大きな声で「そう。このお方こそ黄天様である。皆のために天より来た」


 お姉様はそのあと――ここに来て以来、読んだ書から学んだことなのだろう――その教えについてのあれやこれやをまじえつつ、黄天様たる私がなぜこの地に降り立ったか、そしてそれがいかにありがたいことかを力説した。まさに口からでまかせであることを良く知る私自身でさえ、それをまことのこととして信じたくなるほどに、熱を込めて。


 人びとの嗚咽の声は更に高まる。


「黄天様。何かお望みのものはありますか?」


 やがて、前の方におる一人――この人がかしらか大将なのかしら――がそう言うと、


「黄天様が何より望むは、皆のさちと安らぎ。そのためには、皆の協力が必要ぞ。いずこかに本拠となる城塞を築きたく想うておられる。その相談には黄天様の御使いたる私が預からせてもらう」


 あっ。お姉様が私の役を取った。


「それから、少しばかりのお供え物を望んでおられる。黄天様もおなかは減るのだ。ただ、あくまで少しばかりで良い。そなたらの食い物が足りなくなっては、元も子もないゆえな」


 私って確かに食いしんぼだけど、そんなにおおっぴらに言わなくても。


 そのあと、私の幻術が薄れて、周りが元の色を取り戻して行く中、フカフカした生地に肉が入ったものを食べた。饅頭まんとうとのことだった。お供え物だ。


「おいしいね」


 と私が言うと、お姉様も満足そうにうなずく。食べるのに忙しく言葉を発せないのだ。お姉様も私に劣らず、食いしんぼだ。

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