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第6話 ついで

□交易都市サンドヴェール 中央区格外れ


「ふぅ……」


 男が大きく息を吐く。

 彼の背後には契約の神を祀る教会がありその中に多くの人々が避難していた。

 傭兵として街の治安維持の任務にあたっていた男は混乱しつつも状況を把握すべく情報を整理する。


(一体何が起きている。情報は……)


 こういった有事の際に避難場所と指定されている建物はいくつか存在している。

 それらには街に貼られている大規模なものとは異なり、建物を覆い隠す程度ではあるものの小さな結界の魔道具と魔石が備え付けられているのだ。

 この教会はそのような役割を持つ避難所の1つだった。

 結界を維持している彼の責任は非常に大きい。


 魔道具を補助機構として利用しつつ結界を維持しながらしばらく待つと、雇い主であるブランケット商会会長の声が街中に響き渡った。

 現在襲撃を受けているという情報により、避難所の内部が騒がしくなる。


「みなさん! ここは安全です! 放送の通り、傭兵団が【盗み屋】の討伐へと向かいました!」


 嘘だ。

 今この瞬間、どこに【盗み屋】がいるのかわからない。

 仲間との連絡すらも取れない現状、どれだけの戦力が戦地に赴けるかすらも不明だ。しかし、パニックを防ぐために虚勢であろうともこの場が安全であると示さなければならないのだ。


「この避難所に関しましては我々が結界を維持し警戒にあたりますので! どうか、ご安心ください」


 傭兵とは金で雇われ動く者達だ。

 そのため一部の旅人からは命の危機に晒されたら契約を放り棄てすぐに逃げ出すと思われているが、実際にはそのような恥知らずは非常に少ない。

 命欲しさに契約を反故にしそれが傭兵ギルドに伝われば自身の評価そのものに直結する。

 資格の剥奪はもちろん、契約の違反によって課される罰が存在することもある。

 金を払われ契約を交わしたのであれば仕事が最優先。

 この商業連盟アーレにおいて傭兵の価値とは裏切らないことだ。


「集まったのはこれだけか……」


 市民から見えないよう教会の外へと移動する。

 戦う術を持つ者を呼びかけ集まった10人ほどの集団。

 彼らはこの避難所にいる百余名の命を託された者達だ。


「あんた達は?」


「ついでで雇われた零細傭兵団だよ。結界術を使ってるのはそこの人だろ? そちらの指示に従おう」


 簡単に自己紹介をし、これからについて話し合う。


「見た限り、ここにいる大半は戦う術を持たない者達だ。旅人もほぼいない」


「ほぼってことは少しはいたんだろ? 戦力にはなりそうなのか」


「まだこの世界に来たばかりらしい。戦力にならないからと向こうの世界に呼びかけにいってくれている」


 この避難所にいた数少ない旅人は全員合計レベル100前後の者達だった。

 通常のモンスター相手であれば十分に戦力になるがこのような市街戦、加えて相手が国際指名手配犯の一味ともなれば力不足なのは否めない。

 旅人もそれを理解しているからか、素直にログアウトしSNSを通じて情報を拡散すべく動いていた。


「街の外側でも戦闘が始まっているみたいだ。とりあえず、安全が確保されるまで籠城するのはどうだろうか?」


「わかった。それでいこう。なら、4方向に分かれようか。結界に近づいてくる者がいたら、警戒を」


「了解。魔力を切らさないように気を付けてくれ」


「当然だ」


 街の中心に比較的近かったこの場所は既に避難が終わっていた。

 もしくは避難できず既に戦闘に巻き込まれたか。

 つまり結界に近づいてくるようなものがいれば、それは逃げ遅れた市民か襲撃者のどちらかだ。

 傭兵たちは四方に散らばり警戒にあたる。

 街の各地から響き渡る戦闘音が、まだ事態は収束していないと彼らに知らせていた。


「戻りました! とりあえず、できるだけたくさん呼びかけてきました! ちょうどログアウトしていたみたいで、近くのエリア探索に出かけていたグループのいくつかはすぐに戻って来てくれるそうです」


 ログインと共に戻ってきた旅人が結果を報告する。

 その内容は戦力となりそうな旅人の一団がサンドヴェールに戻ってくるというものだった。


「助かった。えっと……」


「もずく酢です!」


「もずく酢、感謝する。もしできれば、いざという時の避難を誘導して貰いたいんだが」


「……いざという時とは?」


「結界が破られた時だ」


 旅人は思わず息を呑む。


「今襲撃してきているのは、結界程度容易に破壊してもおかしくない危険な連中だ。事実、街全体に張り巡らせてあった最高位の術式結界が破られこのような事態になっている」


 もずく酢からすればそれは所詮NPCでありゲームのキャラクターだ。


「だから、その時が来たら俺達が命を賭して時間を稼ぐ」


 だが、傭兵から放たれた気迫に気圧された。

 本気で命を懸けるその姿に。

 意思の強さに。

 その熱に。


「う、わ……」


 感化される。


「わっ、かりました。その時は俺が避難を誘導します! この命に代えても安全な場所に送り届けてみせます!」


 その期待に応えるために青年は力強く返事をした。



「た、助けてくれぇっ!」


 数分後、結界の外から助けを求める声が避難所に響いた。

 それを受けて彼らに緊張が走る。


「どうする?」


「確かめるしかないだろう」


 結界を維持していた男は前に出た。


「今から簡単な質問をする。急いでるのはわかるが、これに答えられないのであれば入れるわけにはいかない」


「わ、わかった! 早くしてくれ!」


 そのままいくつかの質問を投げかける。

 中には襲撃犯の一味かという直接的な問いもあった。

 その全てにおいて怪我をした男は淀みなく答えていく。


(嘘はついてない、か……)


 《嘘感知》に一切の反応はない。

 また、会話の中身も違和感はなく名前、家族構成、天職と質問に対しすらすらと的確な答えが帰ってくる。


「……問題はなさそうだな」


「ああ、そうと分かれば話は早い。周囲の警戒を頼む」


 結界を維持していた術者は中に入れるように隙間を開けるため意識を切り替える。

 魔法師級の【結界術師】である男からすれば、その程度の制御ならば難なくこなせる。

 結界の魔道具の補助機構に干渉し助けを求める市民を結界の内部に避難させようとする。

 己の役割を果たすために。






「止めておいた方が良いにゃ」






 そして、それを制された。


「なっ!? 喋る猫!?」


「その通り、ねここ様だにゃ。頭が高いにゃ人間」


 もずく酢は思わず驚愕の声を上げる。

 教会の屋根から飛び降りてきた黒猫が、流暢な人の言葉で話しかけてきたからだ。


「……いや、旅人だな」


 傭兵は冷静にその猫が何者かを見破った。

 《気配感知》に反応がなかったことからなんらかのスキルを使っていたのだろうと予想を立てる。

 しかし、それは少し違う。


「理解が早いにゃー。もう少し夢を見てもいいのににゃー」


 ()()()()()()()()()()


「一瞬結界を開ける程度なら何の問題もない。止めてくれるな」


「おいー。そこのお前ー」


「……っ! 話を聞いて!」


 傭兵の言葉を無視しねここと名乗った黒猫は心底愉快そうな表情で。






「おみゃー、襲撃犯の一味だにゃ」






 確信と共にそう投げかけた。


「な、何を言ってるんだ! さっきも違うって言ったろ! 兵士さんも、早く結界を開けてくれ! ひ、また爆発音が!?」


 男の身体が震える。

 恐怖に表情が歪む。

 自分はどこまでも非力であると周囲に示している。


 傭兵の目には男のステータスは50かそこらの値だと示していた。

 怪我によるものか刻一刻と目減りしていくHPも見えていた。

 《嘘感知》スキルにも反応はなかった。

 スキルとステータスという常識に当てはめれば疑う余地のない被害者だった。


「はー、演技くせーにゃ。ダメダメにゃ」


 しかし、それは常識(ステータス)で測れる相手であるならばだ。

 少なくとも、この場にいる2名は当てはまらない。


「な、なにを言って!」


「骨格が、話し方が、呼吸の流れが。おみゃーの辿ってきたであろう人生が、一挙手一投足とズレてるって言ってるにゃ」


 その片翼。

 ここにいるのは、何モノかになりたいという変身願望を抱え生きてきた少女だ。

 そのためにありとあらゆる存在になりきり、変身してきた化生の者だ。

 彼女にとって何モノかになるということは、動きや話し方はもちろん、()()()()()()()()

 その存在が過ごしてきた歴史そのものに”成りきる”ということだ。


 こと、観察眼という分野において少女は異常の領域へと到達している。

 それこそ、少し観察すれば対象物がどのような生を過ごしてきたのかを見破ってしまうほどに。

 その類まれなる観察眼によって過去の出来事までをも掌握し、空想の経験を己の成りきり(演技)に乗せることのできるそれは、既に人の常識で測れるようなものではなく……






「──どぶ臭い中身が漏れてるぞ、このしろーとめ」






 故に少女は人の道理を外れていた。


「ち、違う! 信じてくれよ兵士さん! ま、また! 巻き込まれちまう! すぐ入るから……」


「やめておいた方がいいにゃー、さっき私が止めなかったら結界が綻んだ一瞬を突いてこの避難所は消し飛んでたにゃー。少なくとも、それができる人間特有の意識が漏れでてたにゃー」


「ひ、ひぃいいいいい! な、なんなんだよさっきから! あんた旅人なんだってな! 不死身の化け物にはわからねえだろうけどな! 俺達は死んだら終わりなんだよ!」


 男は泣きわめく。

 旅人のことを不死身の化け物だと罵る。

 追いつめられた心情が、恐怖が、助かりたいという弱音を吐露させる。


「不死身の化け物なんて酷いにゃ」


 しかし、その怪物の目は。


「本体には影響がないと割り切っているにゃー。ついでに、雑兵相手に自分が死ぬわけがないと驕ってもいるにゃー。にゃふふ、面白いにゃー。金や名誉ではなく盗むことそのものに快楽を見出した人間。なかなかお目にかかれない人種だよねー」


 誤魔化せない。





「ゲーム感覚の私達よりも、お前の方がよっぽど化け物じみた精神性してるにゃ。()()()()♪」





 男から表情が消える。

 そこにあったのは、無だ。


「……あ、ちょっと煽り過ぎちゃったぜ。てへぺろ」


 ねここは自分がやり過ぎたことを悟る。

 もう少し時間を稼ぐつもりだったのになあ、と少しの反省と共に。


「兵士さん。結界の出力上げておいた方がいいにゃー」


「な、なにを……」


 次の瞬間、結界を張っていた男の全身に衝撃が走った。

 彼だけでなく、周囲にいた傭兵全員の身体が硬直する。

 絶対的な強者を前にした時特有の寒気。

 そして、気づいた時には……


「あー、なんでバレたんだ? 俺の変異は完璧だったはずなんだが……」


 そこには、見覚えのない長身の男が立っていた。

 いつからそこにいたのか。

 いつ、そうなったのか。

 わかるのは、この男は少なくとも避難しに来たわけではないということだけだ。


「そこらの凡夫の目は誤魔化せようと、このねここ様の目はごまかせないにゃ」


「はん、ただの観察眼ってか」


「答えてやったんだからそっちもどうやって変身してたか教えるにゃー。条件は対象を殺傷することまではわかったけどさー」


「なんでわかんだよ……まぁ、その通り。俺の異能だ。殺した相手の情報を体に張り付ける能力でな。【皮剥ぎの面】って呼んでるんだが、御覧の通り、人一人に化ける程度わけねえのよ」


「えー、そればらしていいの?」


「バレたところでどうやって対策すんだ? みんながみんなお前みたいな眼は持ってねえんだぜ?」


「あ、たしかにその通りだにゃー。疑心暗鬼になれば儲けものだよねー」


「そういうこった」


 1人と1匹は結界を挟みながら淡々と会話を続ける。


(な、なんだ。何が起きた。さっきの男はどこに行った!)


 その間に兵士は状況を理解するために必死に思考を回す。

 分身、殺した相手に変化する異能、盗みを生業とする者。


(こいつが、この男が)


 目の前の顔が手配書のものと一致していたことに気づいた。

 国際指名手配犯【盗み屋】。

 襲撃犯の一味の主犯格。


「ま、バレた以上はしょうがねえ。これ以上時間稼ぎに付き合うのも癪だし、そんじゃまぁ……」


「あ、やべ。兵士さん! 最大出力!」


「っ! もうしてい……っ!?」


 鉄を切るという概念の元武器の切れ味を上げる【斬鉄の加護】。

 攻撃の射程を広げる【遠撃の加護】。

 武器の性能を最大に引き出す代わりに一振りで壊れる【一振の加護】。

 それは複数の加護を掛け合わせ放たれる()()()()


「死んどけや」




 ──光が迸った。




「ぐ、うおおおおおおおおおおおおおおおおお!」


 結果は火を見るまでもなく。

 まるで、子供が砂浜で城を壊すように。

 薄皮を思いっきり剝がすかのように。


「ば、ばか……な」


 その一撃は無情にも結界を打ち払った。


「ちっ、避難所ごとぶっ殺そうと思ったってのによぉ……やるじゃねえか」


 どうにか避難所への直撃を防ぐことはできたが、結界は既に見る影もない。

 魔道具の強化を受け、装備による補正を乗せ、魔力を大きく注ぎ込んで維持していたそれが一瞬で崩壊した。

 しかし、それ以上に……


「その絶望した顔、いいな。俺のことを舐めてただろ? 国際指名手配犯【盗み屋】はいつも逃げてばかりの腰抜けである! 知ってるぜぇ! なんならその情報を広めるために協力だってしたことあるからな。さっきの見たろ? お前らの中に紛れ込む程度、俺からすればわけねえのよ」


 わかってしまった。

 この男は先ほどの力を用いて市井に隠れ潜み、9大国を相手に情報戦を仕掛けていたのだと。

 そうして生き延びてきた異常者だと。


「ま、そこのちびにはバレちまったけどな」


「分、身……?」


 情報としては知っていた。

 国際指名手配【盗み屋】は分身の異能を盗んでいる。

 本体とほぼ同等の性能の肉体が別に行動することができると。


「ふざけろ……」


 これが。

 この化け物が。

 この怪物が。

 この死の形をした存在が。


「ただの、分身だと!?」


 先程の一撃を放っておきながら一切消耗した様子がない。

 連発も可能だとするならば、今自分が生きているのは相手の気まぐれでしかないのだと。


「さっさと結界の中に入れてくれれば、苦しむことなく一瞬で死ねたってのに」


 【盗み屋】は9大国に対し正面から戦いを仕掛けたことは無い。

 あくまでも盗むことと逃げに徹することで生き延びてきたからだ。

 だが、これまでひた隠しにされてきた本当の戦闘能力が明らかになった。

 【盗み屋】は危惧された通り、商業連盟アーレが10大都市の1つに戦いを挑み戦略的な勝利を収めようとしている。

 

 これは示威行為の一貫であり、過程でしかない。

 つまり、死ぬ。自分はここで死ぬ。まともな抵抗もできずに殺される。

 本当の意味でこの男の危険性を世界に知らしめるための贄の1人。


「……ねここ、だったか。さっきは疑って悪かった。謝罪しよう」


「うん、別にいいにゃー。気にするにゃー」


「そうか、そうだな……もずく酢」


「は、はい!」


 伝えるのはただ一言。


()()()()


 それは遺言だった。


「時間を稼ぐ! 絶対に奴を行かせるな!」


「楽に稼げると思ったのにこれかよ。ついてねえなぁ!」


「行け!」


 傭兵たちは叫び己を鼓舞する。

 ただでは死なないという覚悟をもって武器を構える。


「かっこいいねえ! 決死の目だ! これから死ぬ覚悟を決めた目だ! いいぜ! お前達を殺すのは最後にしてやるよ、まずは後ろにうじゃうじゃ固まってる避難民どもからだ!」


 先程まで絶望していた者達が、それでも折れずに武器を手に立ち上がった姿を見て。

 命を捨てる決意を固めるのを見て。

 実にくだらないと悪意は笑う。


「首を掻っ切って! 心臓をぶち抜いて! 一人一人徹底的に蹂躙される様を見せつけてやるよ! ひひっ! ひゃはははハハハハハッ!」


「させるわけねえだろ!」


「するんだよ。俺が決めたからそうなるんだ!」


 【盗み屋】の分身からすればこれはただのついでだ。

 竜人族を盗むための陽動のついでであり。

 10大都市を相手に自らの強さを知らしめる示威行為のついでであり。

 つまるところ、ただの余興でしかなかった。

 傭兵の覚悟も、意思も、思いも心底どうでもよかった。

 どうせなら、華々しく散って楽しませくれ。


「絶望してお前達は死ぬのさ!」


 【盗み屋】は蹂躙せんと一歩を踏み出し……


「は?」




 刹那、()()()()()()()()()()()()()()




「あいにく、アタシは戦いは専門外だからさぁ」


 そもそも、彼女がなぜこの場にいたのか。

 それは、加減も常識も知らない者達に誰が敵かを明確に示すためだ。


「化け物には化け物をぶつけるって相場が決まってるよね」


 【盗み屋】の元へ空から大量のカボチャが勢いよく降ってくる。

 それはカボチャの形を象った爆弾であり──


「なにが──っ!?」


 無数のカボチャが一斉に起爆。

 連鎖的に連なる大爆発が【盗み屋】の分身を包み込んだ。


「な、なんだ!?」


 傭兵たちは魔法が飛んできた空を見上げる。






「もう、暴れていいでいやがりますか?」






 そこには箒に横向きで座った1人の少女がいた。

 堂々と脚を組みながらねここに確認の声をかける。

 箒の先端には器用にも一匹の猫が退屈そうに座っていた。


「他の人は出来るだけ巻き込まないようににゃー」


「善処はします。それで、私はそいつをぶっ殺しやがればいいってことですね」


「そういうことにゃー」


 煙が晴れたそこには無傷の【盗み屋】の分身がいた。

 その足元に刻まれていたのは正円形の簡易陣。

 攻撃を感知すると共に即座に脚で陣を刻み、略式結界を用い攻撃を防いだのだ。


「ほら、さっさと逃げるにゃー」


「いや、だが……」


「巻き込まれるって言ってんの。わかんにゃい?」


 傭兵たちは先ほど放たれた魔法の爆心地を見る。

 あれ程の威力を有していながら周囲への被害は一切ない。

 それは、爆発の指向性すらも掌握した精密な魔力制御によるものだ。

 つまり、空にいる旅人は最低でも魔法師級、否……魔導師級の力量を持つ魔法使いであることを示している。

 足手まといになると判断した傭兵たちの動きは早かった。


「戦闘を避けながら街の(へり)へと向かう! 索敵は最低限でいい! とにかく、この場から離れるのを最優先だ! 渋る奴がいたら抱えてでも運び出せ!」


「はい! わかりました!」


 逃げ出す者達には目もくれず【盗み屋】の分身は空にいる少女を睨み続けていた。

 動かないのはひとえに警戒によるもの。


「てめえ、魔導師級か……」


「魔導師級とかよくわからねえ物差しで測るなってんですよ。私にはちゃんとパンプキンって名前がありやがります」


 少女は街中で盛大に魔法を放ち暴れられる喜びを表情に滲ませる。 


「せっかく、これだけ立派な街を爆破できやがりますからねぇ。ま、そのついでってやつです」


 NPCの事情などとんと興味はない。

 彼女にとって重要なのは魔法を街中で遠慮せずに放っていいという一点のみ。

 その大義名分があればそれでいい。

 そう、彼女にとってもついでに過ぎないのだ。

 いつも通り魔法で遊ぶついでに……国際指名手配犯を狩るだけの話。




「ここで屍を晒しやがれってんですよ」




 そうして少女は……プレイヤーネーム、パンプキンは杖を構えた。



「おいおい、パンプキンのやつ1人でやる気かよ。あの欲張りさんめ……なんか他のところでも同じ奴が暴れてるみたいだし、そっちいくべ」


「一人一殺也」


「興味ないね」


 それを遠目に見ていた者達は各地の戦場へと散っていく。

 魔導王国エルダンが筆頭クラン、【イデアル・マジック】所属。


 パンプキン。


 発光食品。


 呉羽。


 雲の糸。


 以上、()()()()()()()()()()4()()



 サンドヴェール撃滅戦、参戦。

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― 新着の感想 ―
クマはクマwww
経験、予測から相手を観察すれば次の相手の行動が見えるようになる。演算、適応、銃、擬態、蜂蜜は五感から情報を取り出すのが上手ですね、アルカだけやっぱりなんか人外の中でもイレギュラー寄りな気がします
こんにちは会話が成り立たない方の人外達。 それはそれとして【盗み屋】がまーた人外に見破られてて笑う。 なんかこの街人外多くない?絶対呪われてるでしょ。
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